15
『う、うそだろう!…… 冴子が死神?……』
その手紙をすっかり、冴子からだと信じた知也は
驚きを隠せなかった。
だが、思い起こせば、冴子と逢ってから危険な事が多く
命が危なかったように思えた。
「やっぱり、そうなんだ……」
知也はやっと、冴子が死神であることを悟った。
そんな知也の様子を遠くのビルの屋上から小悪魔の微笑みながら、
利奈は見詰めていた。
数日後……
冴子が知也に事情をせつめいしようと大学に現れ、大学内で
知也のことを見つけ、
「ねぇ。 知也、ちょっと聞いて……」
知也に近寄ろうとしたが知也はまるで冴子を恐れ、
遠ざけるように友達らと共に冴子の前から立ち去っていった。
『ど、どうして?……』
冴子は悲しげな表情で遠ざかって行く知也の背中を
追いかけた。
そんな冴子の姿を遠くの方で見ていた利奈は
小悪魔のような微笑みを浮かべながら
「最後の仕上げね!……」
と呟くと幽霊のようにその姿を消し去った。
冴子のことを恐れ、逃げるように冴子から遠ざかった
知也だったが冴子のことが好きだった知也は心が
痛め付けられるほど、痛かった。
その気持ちは冴子も同じだった。
初めはいつものように知也の意のちっを奪おうとしていた
冴子だたが知也と一緒に居るうちにいつの間にか、自分が
知也に惹かれ、恋していることに気が付いていた。
それは死神としては重大な欠点で一番、やっては
いけないことだった。
『そんなことはわかっている……』
冴子地震もそんなことはわかっている。
だが、知也のことが好きっていうことは自分では
止められなかった。
『もう良いわ! 死神としての資格やこの命がどうなっても……
たとえ、知也に嫌われても…… 知也は私が守るわ!』
強く決心をした冴子は知也から貰った星型のペンダントを
ギュッと握り締めると知也のもとに急いだ。
同じ頃。
『一体、俺はどうしたら、良いんだ?』
冴子に冷たい態度を取った知也だったが知也自身も冴子が
好きっていうことが止めることが出来ず、
『彼女【冴子】が死神であろうと俺が冴子が好きっていうことは
変わらない。 やっぱり、俺は冴子のことが好きだ!』
冴子のことが好きって言う事を再認識した知也は
『ごめんなぁ!……』
冴子のもとへ駆け出した。
そんな冴子のもとに急ぐ、知也のもとに利奈が突然、現れた。
急に現れた利奈に知也は立ち止まり、
「ど、どうしたの?」
冴子の妹と思い、利奈に離しかけた。
利奈は真剣な顔で知也のことを見詰めながら
「じ、実は…… おねえちゃんが話があるから
貴方を連れて来て……」
知也に言うと利奈を冴子の妹と信じきっていて、
一刻も早く、冴子のもとに辿り着きたかった知也は
すっかり、利奈の言葉を信じ、
「冴子はどこ?……」
と利奈に訊いた。
「付いてきて! 案内するから……」
利奈の後を付いていき、知也は人気のない森の中へと
連れて来られた。
人気がなくなり、薄気味悪い森の中で知也は不安そうに
先に歩く、利奈の背中に
「本当に冴子がこんな所にいるの?」
利奈に訊くと
「はははぁ……」
今まで大人しそうで可愛らしかった利奈が一転、豹変し、
高笑いをしながら、知也の方に振り返った。
「バカね! こんな所にあんな【冴子】バカが
いる訳ないでしょ!」
「なら、どうして?……」
冴子がいないと知った知也は驚き、利奈に聞き返すと
「それは決まっているじゃないか! お前を死へと
誘うためさ……」
知也の後ろに突然、吏雄が現れ、まるで蛇のように
知也に纏わり付いた。
「ど、どういうことだ?」
知也が自分が置かれている状況が飲み込めずにいると
吏雄は知也に纏わり付いたまま、
「実は俺達もあいつ【冴子】と同じように死神なんだ。」
知也の耳元で嫌な笑い声を上げた。




