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死神の恋  作者: 劉・小狼
18/18

 終

 『何があったんだよ……』

 知也は今にも消えそうな冴子のことを抱き締めながら、

自分に起きたことを思い出した。

 『そうだ!俺はナイフで……』

 知也は利奈が投げたナイフが自分の心臓に突き刺さったことを

思い出したがすでにそのナイフは知也の躯には刺さっておらず、

冴子の横に転がっていた。

 知也は冴子のことを抱き締めながら

 「ばか! お前、何をした?……」

 「バカって、なによ!……」

 目を開け、か細い声で冴子は知也に言い返した。

 知也は溢れ出てくる涙を必死で堪えながら

 「バカだからバカだと言ったんだよ……」

 言葉を震わせ、冴子に言い返した。

 冴子は涙を流しながら

 「ごめんなさい…… 貴方を助けるには私の命を

貴方に上げるしかなかったの……

 私はもともと、貴方を死へと誘うために貴方のもとに

やってきたの……」

 というと言いづらそうに更に

 「でも、貴方と一緒にいるうちに…… 貴方のことを

好きになってしまったの…… 自分の心に嘘をついて、

貴方のことを死へと誘おうとしたがダメだった……

貴方のことが好きだから……」

 知也に告げた。

 知也は更に消えそうになっている冴子の躯をギュッと

抱き締め、

 「お、俺も…… 冴子のことが好きだ!……

だから、俺の前からいなくなるなぁ!……

ずっと、俺の傍にいろよ!」

 と冴子に言った。

 冴子はボロボロと大粒の涙を流しながら、

 「う、嬉しい……」

 と言うものの、冴子の躯は限界が近付き、

その一部が消え始めた。

 「行くな! 行くんじゃない!」

 知也は冴子のことを抱き締めた。

 だが、知也にはどうする事も出来ず、冴子の躯は

どんどんと消え去っていった。

 自分の最後を悟った冴子は知也に満面の笑みを

微笑みながら

 「ねぇ!知也…… 最後にキスをしてぇ?……」

 と知也に言った。

 「バカ! 最後に何を言うんだよ!……」

 知也は消えて行く冴子を強く抱き締めた。

 知也に満面の笑みを微笑みながら、

何処か、哀しげな顔を見せる冴子は

 「お、お願い…… 全て、消えてなくなる前に……」

 知也にキスをせがんだ。

 冴子が消えていくことをどうしようも出来ない知也は

涙を流しながら

 「わ、わかったよ!……」

 というと冴子の顔を引き寄せ、キスをした。

 冴子は知也の温かさを最後に感じる事ができ、

 「あ、ありがとう!……」

 知也に最高の笑顔を微笑むと力尽き、その姿を全て、

知也の前から消し去った。

 「冴子!……」

 知也の声が哀しく、響き渡り、どんよりした灰色の空から

完全に冴子が消え去ったことを悲しむかのように冷たい雨が

知也の上に降り注いだ。


 それから1ヵ月後。


 長く、大学を休んでいた知也が久しぶりに大学内に現れた。

 「よぉ! 久しぶり! 知也!」

 いつも知也のことをからかっていた男子大学生らが

久しぶりに大学に現れた知也のことをバカにしたように

からかった。

 知也はいつものようにヘラヘラと笑いながら

 「ちょっと、悪い風邪をこじらせてね!……」

 と誤魔化した。

 「はははぁ…… 知也らしいや!」

 男子大学生らは知也のことを笑いながら、

その場を立ち去っていった。

 「ちょっと、待ってよ!……」

 自分を残し、先に行く男子大学生らを知也は慌てて、

追い掛けるがそんな知也の横を優しいそよ風が吹き抜けた。

 知也は立ち止り、桜の花びらが舞い散る空を見詰めていると

 「おーい!知也。 先に行くぞ!」

 男子大学生らはそんな知也のことを急き立てた。

 「ま、待ってよ!」

 知也は慌てて、男子大学生らの方へと駆けていくと

その後ろに再び、そよ風が吹き抜けた。

 「がんばれ!」

 まるで知也のことを優しく、後押しをしているかのように……


                              終わり


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