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冴子が四六時中、知也の近くにいて、知也のことを
見張っているせいで利奈は中々、知也を死へと
誘えなかった。
苛立つ利奈に絶好のチャンスが訪れた。
冴子と一緒に歩いていた知也は
「ねぇ。喉が渇かない?…… 何か、ジュースでも
飲もうか?」
冴子に言った。
「うん、そうね……」
冴子は利奈のことが気になり、それどころじゃなかったため、
辺りを見廻しながら、知也に気のない返事をすると
そんな冴子に少しムッとしながらも
「じゃあ。おれが何か、買ってくるよ!……
ちょっと、ここで待ってて!……」
知也は急いで近くにある自動販売機へと走っていった。
自分の前から立ち去った知也の後ろ姿を
冴子は見ながら
『やばいかも?……』
嫌な予感がした冴子も慌てて、
「待ってぇ!……」
知也の後を追いかけた。
自動販売機の前で夢中でジュースを選んでいる
知也の後ろに利奈が怪しい顔で迫っていた。
『やばい!……』
知也の危機に冴子は一瞬にして、その場から
姿を消し、知也と利奈の間に割って入ると今にも知也に
襲い掛かろうとする利奈の腕を掴み、
「やめるんだ!」
小声で囁き、怖い顔で利奈のことを睨み付けた。
後ろの気配に気付いた知也が後ろを振り返ると
見知らぬ子と冴子が取っ組み合いをしていた。
「あれ? どうして、冴子がここにいるの?
……その子は?」
知也は首を傾げ、不思議そうに冴子と見知らぬ子・
【利奈】を見詰めた。
「ええっと……」
答えに困った冴子は利奈の顔を見詰めながら、
「この子は…… 私の妹……」
咄嗟に嘘をついた。
「そうのな?」
知也は冴子と取っ組み合いをしている利奈に聞き、
利奈のことを繁々と見詰めた。
突然のことにびっくりしながらも自分の正体が
バレるのがまずいと思った利奈は咄嗟に冴子の嘘に
付き合うように
「は、はい…… 冴子姉さんの妹の利奈です!」
と知也に言った。
ニコッと知也は利奈に優しく微笑みながら
「利奈ちゃんも何か、飲む?」
自動販売機の方に振り返った。
利奈はそんな知也に呆気に取られながらも
「は、はい……」
と頷いた。
利奈はしょうがなく、その場は冴子の嘘に合わせるように
自分が冴子の妹であることを通した。
知也と別れた後、利奈はすぐに冴子に
「どうしてくれるんだよ! 折角のチャンスだったのに……
おまけにてめぇの妹という、ややこしいことにもなったし……」
喰って掛かった。
「しょうがないだろう…… てめぇも知っての通り、
この世界では私らが死神であることは知られては
いけないことを……」
冴子は死神の掟のことを利奈に言った。
死神である利奈は冴子に言われなくても
死神の掟のことは充分に知っており、悔しそうに冴子から
顔を逸らすと
「それはわかっているけど…… 頼むから邪魔をするな!」
怒りながら、その場からその姿を幽霊のように消し去った。
『よかった!……』
冴子はホッとするが利奈の脅威が消え去ったわけじゃないから、
改めて気を引き締めた顔をすると利奈と同じように
その場から姿を消し去った。
それから何度となく、利奈は知也の命を奪う機会を狙ったが
その度に冴子に邪魔された。
『あいつをどうにかしないと……』
苛立つ利奈の前にイケメンの死神・吏雄【りお】が
楽しげに微笑みながら
「よぉ! 利奈。 随分、手こずっているようだな?
……手伝ってやろうか?」
利奈に気軽に話しかけてきた。
いかにも軽いノリの吏雄が苦手な利奈は
『嫌な奴に捕まった!……』
と思いながら
「良いよ・・・」
と言い、吏雄の前から立ち去ろうとした。
吏雄は勝ち誇ったような顔をしながら
「良いのか?…… このままだとあの方に怒られるぞ!……
それにお前の点数は減るなぁ! 良いことないぞ!……
別に俺は良いけど……」
利奈に言った。




