表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死神の恋  作者: 劉・小狼
10/18

 10

 駅に降り立った知也は少しもそんな佳苗のことを

気にすることなく、

 「じゃあ。俺は冴子ちゃんを家まで送って帰るから……」

 冴子と共に歩き出そうとした。

 「もう!ちょっと…… 知也!」

 佳苗は少し声を荒げ、強い口調で知也のことを呼び止めた。

 「え? なに?……」

 やっと、不機嫌な佳苗のことに気がついた知也は

佳苗の方を振り向き、

 「今日は知也が送って……」

 駄々を捏ねた。

 知也はそんな佳苗に少しイラつき、

 「だから…… 俺は冴子……」

 冴子のことを見詰めながら、そう言うと佳苗は

涙を溜め、潤ませながら

 「私は知也が良いの……」

 今にも泣きそうな顔をし、拗ねた。

 見かねた浩太が

 「その子【冴子】は俺が送るよ!……

知也は佳苗ちゃんのことを送ってやれよ!」

 慌てて、冴子のもとに駆け寄り、冴子のことを見ながら

 「良いよね?……」

 冴子に訊いた。

 今の状況に少し困り、戸惑っていた冴子は

 「ええぇ……」

 と頷いた。

 冴子が頷いたことで冴子を浩太が佳苗を知也が

家まで送ることになり、それぞれ別れ、家路に向かった。

 明らかに不機嫌なオーラを放ち、自分の先を歩く

知也の 背中を見詰めながら、佳苗は

 「ご、ごめんなさい……」

 涙を浮かべ、知也の後を追いかけ、知也の背中に

呟くように謝った。

 ため息を吐いた知也は

 「もう別に良いよ……」

 佳苗の方を振り返ることなく、冷たく言い放った。

 『どうしよう? 完全に怒っている……』

 佳苗にはすぐに知也が機嫌が悪いのはわかった。

 それが自分のせいだという事も……


 しばらく、無言のまま、佳苗と距離を置き、歩いていた

知也だったが

 「今日は俺もごめん! お前達との遊びに知らない子を

連れて来て……」

 ぽつりと独り言のように佳苗に謝った。

 佳苗は振り向かず、独り言のように呟いた知也の背中を

見詰めたまま、

 「うんん…… 私が悪いの…… あんな所で

幼い子供のように駄々を捏ねて…… ごめんなさい!」

 知也に謝った。

 そんな話以外、別に会話もないまま、佳苗の家に辿り着くと

 「送ってくれてありがとう!」

 と言い、足早に家の中に入ろうとする佳苗に

 「おい! ちょっと、待てよ!……」

 知也は佳苗のことを呼び止めた。

 『え?……』

 突然の知也の声に驚き、佳苗が振り返ると

 「これ、やるよ!」

 知也は佳苗にハート型のネックレスを投げて渡した。

 知也が投げたハート型のネックレスを驚いた顔で

受け取った佳苗は

 「な、なに? これ?……」

 知也に聞くと知也は照れくさそうに

 「遊園地で見つけたから……」

 一言いうと佳苗の前から立ち去った。

 「あ、ありがとう!……」

 佳苗が涙を潤ませ、知也にお礼を言おうとするが

知也の姿はもう小さく遠ざかっていた。


 翌日から佳苗は知也から貰ったハート型のネックレスを

見せびらかせるように首から提げていた。

 同じようなモノを冴子もしているとも知らずに……


 中々、知也のことを死へと誘わない冴子に痺れを切らした

霊界の冴子の上司は

 『もう待てん!…… 利奈はいるか?』

 怒鳴りながら、利奈という死神を呼んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ