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恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部  作者: トモサン


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85/106

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部 85

美人薄命…


 そういうことかも、しれない…


 私は、目の前の、寿さんを見て、思った…


 誰が、見ても、非の打ちどころのない美人の寿さん…


 だが、おそらく、その命は、短い…


 残酷だが、それが、真実だろう…


 が、


 だからこそ、美しい…


 中国の美人で有名な西施(せいし)ではないが、病を病んだ姿が、余計に、その美しさに磨きをかけている…


 私は、そう、思った…


 そして、そんなことを、考えていると、長谷川センセイが、自分が連れてきた、看護師の女性と、いっしょに、ベッドに眠ったままの米倉正造を、色々調べ出した…


 私と寿さんは、その姿を見ながら、戸惑った…


 決して、狭い病室ではないが、直接の関係者でもない、私と寿さんが、この病室にいるのは、場違いでは?


ふと、思った…


 そして、それは、寿さんも、同じだったようだ…


 寿さんが、私を見て、ふいに、病室の外の方に、顔を向けた…


 …ここを、出よう!…


 という、意思表示だった…


 それに、気付いた私と、寿さんは、病室を出た…


 病室を出て、廊下に、行った…


 そして、私に、


 「…やはり、米倉さんの関係者でもない、私たちが、病室にいるのは…」


 と、告げた…


 思った通りだった…


 だから、


 「…私も、そう思います…」


 と、答えた…


 それから、少し、おいて、


 …これは、今日は、帰れ!…


 と、いうことかも、しれないと、気付いた…


 だから、病室から、廊下に出た…


 そういう意味も、含まれているかも、しれないと、気付いた…


 すでに、米倉正造の見舞いは、済んだ…


 だから、この後、あの長谷川センセイと、誰かが、話さなければ、ならないが、それは、私でなく、寿さんが、いれば、いい…


 寿さんは、あの長谷川センセイと、顔馴染み…


 あの長谷川センセイは、寿さんの担当医師だったのだろう…


 そう思った私は、


 「…私は、今日は、これで、失礼します…」


 と、寿さんに、言った…


 「…高見さん、帰ってしまうの?…」


 「…寿さんが、いますから…」


 そう言いながら、まだ手に、お見舞いの花束と、お菓子を、持っていることに、気付いた…


 だから、それを、急いで、寿さんに、渡した…


 「…申し訳ありませんが、これを、米倉さんに渡して、下さい…」


 「…エッ? …私が?…」


 「…ハイ…それで、米倉さんの意識が、戻らない様子なので、このお菓子は、看護師の皆さんで、食べて頂ければ、と…」


 私が、慌てて、言うと、


 「…たしかに…」


 と、寿さんが、笑った…


 「…眠っていては、お菓子は、食べられないものね…」


 「…ハイ…」


 「…わかりました…」


 寿さんが、言った…


 そして、その寿さんの


「…わかりました…」


は、同時に、自分の望んだことを、この私が、わかったことへの、


「…わかりました…」


だと、思った…


「…それでは、失礼します…」


私は、丁寧に腰を折って、寿さんに、頭を下げた…


寿さんもまた、


「…今日は、わざわざ、ありがとうございます…」


と、言って、私に頭を下げた…


まるで、すでに、寿さんは、米倉正造の代理人のような感じだった…


しかも、違和感がまったくなかった…


実に、自然な感じだった…


考えてみれば、実に驚きだった…


米倉正造と、寿さんは、まったくの他人に関わらず、ただ、寿さんが、五井に身を寄せているだけで、米倉正造の代理人のように、振る舞う…


私には、とても、できない芸当だった(苦笑)…


たいして、親しくもない関係にも、かかわらず、そんな真似は、私には、できなかった…


だから、私が、内心、驚きでいると、寿さんが、


「…高見さん…今日も、また、お会いできて、嬉しかった…」


と、別れ際に言った…


が、


実のところ、私は、まったく、嬉しくなかった(苦笑)…


むしろ、これで、寿さんと、別れられると、思って、ホッとした…


なぜなら、この寿さんは、


…切れすぎる…


…鋭すぎる…


からだ…


だから、いっしょにいると、こちらが、疲れる…


私の動作、一挙手一投足を、すべて、寿さんに、見られていると、思われると、ゾッとする…


まるで、私が、逐一、観察されているように、思われたからだ…


寿さんが、どう思っているか、知らないが、少なくとも、私は、そう思っている…


だから、ホッとした…


この寿さんと、別れられると、思うと、実に、ホッとした…


が、


当たり前だが、まさか、そんなことは、言えない…


まさか、そんなことは、口に出せるわけがない…


だから、


「…こちらこそ、今日、寿さんに再会できて、嬉しかったです…」


と、告げた…


もちろん、社交辞令だ…


本音では、二度と会いたくなかった…


もう二度と、会うのは、嫌だった…


この寿さんは、鋭すぎる…


おまけに、私以上の美人…


それが、嫌だった…


この高見ちづるも、これまで、美人と、呼ばれて、周囲に、チヤホヤされて、生きてきた…


それが、明らかに、私以上の美人が、目の前にいる…


それが、嫌だった…


ずばり、プライドが、傷つくからだ…


だから、嫌だった(爆笑)…


「…それでは、これで、失礼します…」


と、言って、寿さんと別れたときは、実に、せいせいとした…


おおげさに、言えば、実に、自由になった気分だった…


ようやく、寿さんから、離れられる…


それが、嬉しかった…


寿さんといっしょに、いれば、男のひとから、


「…どっちが、美人?…」


と、陰で、言われるのが、わかっているからだ…


それが、嫌だった…


そして、おそらく、私に勝ち目はない…


もちろん、男のひとの好みにもよるが、大抵は、寿さんを選ぶに、決まっているからだ…


だから、私は、寿さんから、離れられて、せいせいした…


実に、せいせいした…



それから、まもなく、正式に、米倉の経営する大日グループが、五井グループ入りする情報が、世間に、発表された…


世間のひとは、驚いたかも、しれないが、私には、今さらだった…


今さら、話題になる?


そんな感じだった…


なぜなら、自分は、そんな情報は、とっくに、掴んでいたからだ…


私は、大日グループの五井グループ入りのニュースをテレビやネットで、見て、


「…なぜ、私は、大日グループの株を買わなかったんだろ?…」


と、いまさらながら、気付いた…


私は、事前に、米倉の運営する、大日グループの五井グループ入りを知っていたからだ…


事前に、この情報を掴んでいたのだから、大日グループの株を買っておけば、間違いなく、株は、高騰する…


それが、わかっていたにも、かかわらず、私は、大日グループの株を買わなかった…


今のご時世、スマホひとつで、株を買うことが、できる…


だから、私は、今さらながら、自分の愚かさを思った…


大学を出て、会社に入って、考えたことのひとつに、学校で、成績のいいことと、仕事や、その他もろもろの頭の良さとは、別物だということに、気付いた…


思えば、これも、そのひとつ…


私は、五井や米倉の関係者では、ないのだから、事前に、米倉の運営する大日グループの五井グループ入りを知っていたとしても、世間の人間は、当然、それを知らない…


だから、私が、事前に、大日グループの株を買っていたとしても、それは、インサイダー取引に当たらない…


つまり、警察に逮捕されない…


そういうことだ…


無論、私個人が、大日グループの株を買ったとしても、せいぜい、総額百万円ぐらいだろう…


が、


大日グループの株は、五井グループ入りの報道を受けて、間違いなく、高騰する…


すぐに、3倍、4倍と、高騰するに、違いない…


下手をすれば、10倍になったかも、しれない…


倒産寸前に追い込まれ、水野と合併すると、アナウンスすることで、なんとか、生き延びた大日グループの株は、とんでもなく、安かった…


だから、10倍は、高騰しても、おかしくはない…


つまりは、私が、大日グループの株を事前に買っておけば、百万円が、一千万になったということだ…


私は、考えた…


そして、世の中には、私と同じ立場に立てば、すぐに、大日グループの株を買うものも、少なからず、いる…


確実に儲かることが、わかっているからだ…


だから、それをしない、私は、愚か…


つくづく愚かだと、思った…


が、


同時に、自分が、そんなことをしないから、きっと、あの米倉正造にも、そして、透(とおる)の父親の水野良平にも、信頼されているのだと、考え直した…


それをすれば、私は、儲け話を決して、見逃さないしたたかな女だと、思われるからだ(苦笑)…


そして、私が、そんな行動をして、もし、その行動が、正造や、水野良平に、バレれば、二度と、二人とも、私を信頼することは、ないだろう…


私は、思った…


なぜなら、もし、私が、彼らの立場ならば、そんな人間は、決して、信用しないからだ…


だから、あらためて、考え直せば、そんなことは、しなくて、よかったと、思い直した…


いや、


問題は、そこではない…


問題は、そこではなく、なぜ、そんなことを、思いつかなかったか? だ…


それが、問題だ…


私が、さっき言った、大学を出て、いわゆる、学力と、会社に入って、学力以外の頭の良さに、気付いたというのは、まさに、それだった…


すぐに、考えれば、気付くことを、気付く人間と、気付かぬ人間が、いる…


そして、必ずしも、それは、学歴に関係しない…


そういうことだ…


真逆に、学歴に直結した頭の良さや悪さを感じたこともある…


その代表が、いわゆる出世だろう…


自分の学歴や、能力を考えれば、出世できるか、どうか、すぐにわかるものだが、わからない人間も、それなりに、目にした…


わかりやすい話、担当で、優れていれば、すぐに、その担当をまとめるリーダーになり、主任、課長、部長と、出世することが、できると、簡単に考える…


もはや、お笑いだ…


そして、そういう人間を見て、すべからく共通したことは、相手の学力等に、なんの関心もなく、ただ、与えられた業務ができるかどうか?


それが、すべての判断基準だったことだ…


例えば、会社の同僚が、英語が堪能だとする…


普通ならば、その同僚は、どこの高校を出て、どこの大学を出たのか?


ずばり、気になる…


なぜなら、その同僚が出た学校の偏差値が、気になるからだ…


そして、次には、どうして、英語を学びたくなったのか?


それが、疑問になる…


わかりやすい例えで、言えば、映画館で、上映した映画の字幕を見て、ホントは、英語で、どう言っているのか、知りたくなったとか?


当然、字幕に書かれた言葉は、短くしなければ、ならないから、すべてを書くことはできないからだ…


普通は、そんなことを、考えるものだが、その同僚は、そんなことは、思いもしなかった…


ただ、与えられた、業務ができるから、自分は優れている…


それだけだった(爆笑)…


 そして、その同僚を見て、もっとも、驚いたのは、周囲の人間を見て、今年の新入社員は、レベルが上がったか?


 あるいは、


 下がったのか?


 その判断もできないことだった…


 小学生ではないのだから、ひとと接すれば、なんとなく、相手の学力はわかるものだ…


 MARCHレベルか?


 日東専駒レベルか?


 それ以上か?


 それ以下か?


 はたまた、高卒か?


 それが、皆目見当もつかない…


 なにより、そんなことに、まったく興味がない…


 なぜなら、その同僚にとって、与えられた業務ができるか、否かが、すべての判断基準だったからだ…


 だから、ハッキリ言って、それ以外の判断基準がなにもない…


 他にあるのは、ただ社内の噂話だけ…


 誰々が、出世するか、どうかとか?


 他には、なにもない…


 まさに、驚き…


 驚きの人間だった(爆笑)…


 だから、当然、その後、その同僚は、出世とは、無縁…


 まったく、無縁の人生を歩んだ…


 当たり前のことだった(爆笑)…


 そして、その同僚は、すでに退職したと、風の噂で聞いた…


 私も、金崎実業に入社して、十年超…


 いくつかの営業所を渡り歩いた…


 だから、その同僚とは、今や営業所も、別々…


 あくまで、風の噂で、退職したと、聞いたに過ぎない…


 そして、私が、ひとの能力を考えたとき、いつも、真っ先に、その同僚のことが、脳裏に浮かんだ…


 彼女のことが、脳裏に浮かんだ…


 彼女は、まさに、私にとって、反面教師…


 最高の反面教師だった…


 彼女のようになりたくない…


 そう言う意味で、一番の反面教師だった…


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