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尋ねた手紙〜妖獣と人間を繋ぐ力〜  作者: すごろくひろ
高校編 ③さよならの前に

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直亮健文赤緑

 翌朝、二人は伏見神社を後にすると、ひっそりと家に戻った。直も健もそれぞれの部屋の窓から、スーッと透き通って侵入する。いつの間にか心寧が用意していた式神が二人に化けていて、それぞれが式神の身体に触れると、ボンッと煙を立てていなくなった。

「……」

 直は少し寂しげな顔をしたが、すぐさま変身を解いた。力が入らなくなり、そのままベッドの上に倒れ込む直。深く息を吐きながら、何とか寝る姿勢をとることができた。

「……」

 眠りにつくことができない。眠気があるのに、疲れているのに、怠さと筋肉痛が直の身体を襲う。それでもあくびは止まらなかった。

 ふと、スケが直の布団の中に潜り込む。そしてすぐ横で丸くなる彼を直は優しく抱く。

「温かい……」

 すると急激に体が緩み始めたと思うと、すんなりと眠ってしまった。


 *


「……る、あたる」

 目を覚ますと、フミを抱えた健の姿があった。近くには覗き穴みたいな物が見える。

「あれ、見て?」

「⁈」

 健に促されそこから覗いてみると、装束姿の直と健が戦っていた。しかしその二人には怪異の特徴ともいえる黒いモヤがまとわりついていた。

「なんであいつらが⁈」

 翔平たちが二人の前に対峙していた。猫耳少年が何かを叫びながら切り掛かるも、二人は軽々しく跳ね返してしまう。

「心の闇に囚われやがって! いい加減戻って来い!」

 翔平が必死に何度もモヤに切り掛かり、二人の身体に差し込んでも手応えがない。豪太がロケットランチャーを発射しても、簡単に跳ね除けられてしまう。

「そんなあ、俺の駆使した科学の結晶が……」

 豪太が膝から崩れ落ちてしまう。その瞬間、偽の二人は、豪太を目掛けて弾幕を打ち付けんとする。


「ぐっ……」


「里太郎⁈」

 豪太の前に里太郎が立ちはだかり、全弾受け止めていた。よろめく彼を豪太はすぐさま後ろから支える。

「ごうちゃん……、大丈夫?」

 豪太は戦々恐々とした面持ちながらも、一回縦に頷く。そして里太郎は、二人の方に向き直った。

「二人とも一緒に帰ろう? 僕たちはこんなところで戦うべきじゃない」

 里太郎が術をかけようとするも、効き目がない。さらに偽の二人は攻撃を仕掛けようとする。それでも里太郎は、目を見て訴え続けた。

「今度は僕が助ける番。生徒会長として、友達として!」

 その時だった。里太郎の手から閃光が鋭く偽の二人に向けられた。

「うがっ……」

「ひっ……」

 二人はその場で倒れ込んでしまう。

「今だ!」

 ♪〜

 なごみが杖から音楽を鳴らす。癒しの音楽で翔平たちの傷を癒していた。しかしそれだけではない。二人に纏う黒いモヤも薄くなり始めていた!

「もっと届け!」

 豪太が特製スピーカーを召喚して、さらに音を強める。動けなくなる偽物の直と健。

「直亮健文戻元生共赤緑!」

 心寧が二人に目掛けて札を貼り付けたと同時に、翔平が二人を同時に刺した。


 モヤを纏って仲間たちを攻撃していた偽物の二人は、ゆっくりと消滅していく。

「……僕たちも怪異になってたんだね」

 直は健の言葉にゾワっとする。

「怖っ……」

 すると本人たちも輝かしい光を纏い始めた。そして再び装束姿に変身していく。少しだけ心が暖かくなるような気がしていた。二人は互いに目を合わせると、その窓からゆっくりと舞い降りていった。過去の自分たちに別れを告げて。

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