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尋ねた手紙〜妖獣と人間を繋ぐ力〜  作者: すごろくひろ
高校編 ③さよならの前に

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赤と緑

「とりゃあ!」

「させるか!」

 健はパチンコ玉を直に向けて発射し続ける。直はなんとか彼の攻撃をかわし続けるものの、それが精一杯だ。彼を足止めしよう技をかけようとするも、姿をを捉えることができない。

「くっ……」

「これだから温室育ちの都会っ子は!」

 健の言葉に、直は苦虫を噛み潰したような顔をする。「図星ですか? 直くん。逃げてばかりじゃ、何も変わらないですよ?」

 さらに言葉で追い討ちをかける健。それは身体的なダメージとなって直に襲いかかる。

「ぐはっ……!」

 衝撃とともに直は彼方へ吹き飛ばされる。健は駄目押しの如くパチンコ玉を直に向けて数発発射する。


 バンッ、バンッ、バンッ!


「……」

 動けない直に全弾命中。魔方陣で防御策を立てようとするも間に合わなかった。健はゆっくりと倒れ込んだ直に近づく。

「そっちが仕掛けてきたのに……、もう終わり?」

 武器をパチンコからハンマーに変える。

「いつの間に、そんな能力を……」

 緑狸は健の行為にただただ言葉を失ってしまう。健は気にする素振りも見せず、直の目の前に立つ。

「じゃ、終わりだよ」

 健は、直を目掛けてハンマーを大きく振りかぶった。

「あれ?」

 すんでのところで健は身動きが取れなくなる。足元を見ると、直が健の足を掴みながら、手持ちの筆で足首に線を一周書いた。

「なんで、下ろせない!」

 健は慌てて身体を動かそうとするも、パニックに陥っていた。ゆっくりと彼の横を通るついでに、直は耳元で呟く。

「なんでお前なんかにボコボコにされなきゃいけないんだよ……。お前のせいで……」

 健の動きが止まる。直はゆっくりと対面へ歩く。

「お前なんて来なければ良かったのに……」

「……」

 直の言葉で健の表情は一気に曇っていく。そして一筋の涙が流れていく。

「君も僕のこと、そう思ってたんだね……」

 すると健の身体から禍々しい黒煙のようなものが放出され始めた。そいつは直が健の足首に書いた線を消しゴムの如く消していく。

「健を苦しめる奴は、許さない……」

 健はそう言うと、直のほうに向き直った。

「……?」

「直!」

 スケは瞬時に大きな緑狸に変化すると、直を軽く咥えて後方へと逃げていく。

「スケちゃん、そいつを寄越してよ」

「落ち着け、フミ」

「フミ?」

 緑狸の背中に乗せられた直は、隠れるようにして彼らの様子を伺っていた。直はふと初めて会った時の健のことを思い出していた。

「もしかして……」

 スケはフミの攻撃から直を守るべく、縦横無尽に駆け回る。スケから攻撃を仕掛けてみるものの、相手はひょいと避けていってしまう。

「まずは聞かんか! フミ! 元に戻るんじゃ!」

「嫌だ! 僕が健を守るんだ!」

 するとフミは赤狸をぎゅっと抱きしめると、一体となった。その立ち姿からは、覚悟が決まったような気迫を感じられた。

「儂も直を守らなければならぬ存在! その要求には応じぬぞ」

「えっ、ちょっ……」

 スケも元の姿に戻り、直に抱えさせる。彼らもまた同じように一体となり、健と対峙した。

「こうなったら……!」

 直の内心もバクバクしていたが、腹を括るしかなさそうだった。

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