第53話 突入
少し時間が巻き戻ったところから始まります
あさみ達がライブをしている中、俺たちは特別観覧ルームで警戒を続けていた。
「……なかなか来ないな」
「もう1時間ぐらいは始まってから経ってるよな?」
「うぅ、来るはずなのに来ないとか逆に怖いです……」
病室に置かれていた紙に今日のライブに来るように書かれていた以上何かがあるのは間違いないのだが、今のところ何かが起こる気配はない。
まさか本当に何もないのか?
そんな考えが頭によぎり始めたころ、思愛がソファから立ち上がった。
「……これ以上ここで待つのはそろそろ危険じゃないか?」
「う〜ん……、まぁ、確かに?」
「ちょっと外の様子でも見てくるわ」
「わかった」
どうやら思愛はこれ以上待つのは嫌らしく、外に出ようとドアノブに手を掛けた。
……?
なんでドアノブをがちゃがちゃ……!
まさか!?
「……っ!?ドアが開かねぇ!」
「えっ!?」
「バブ!?」
「まじか!」
思愛にそう言われ俺もドアの前まで行き思愛と一緒にドアノブをがちゃがちゃと前後に動かす。
しかしドアはびくともしない。
どうやら本当に開かないようだ。
「閉じ込められたのか!?くそ!このドア壊すぞ!」
「待ってください!その前に私の魔法で解錠できるか試します!」
外に出るため思愛がドアを壊そうとするが、恵夢がそれを制止し、ドアに触れる。
するとドアからガチャという音が聞こえてきた。
どうやら開くことができたらしい。
「……解錠はできましたけど、開けますか?」
「……いや、開けた先に何があるかわからない、出る前に変身したほうがいいと思う」
「確かにそうですね……、わかりました!」
恵夢にドアを開けるか聞かれたが、まずは変身するべきだろう。
俺はソファに座りっぱなしだった彩夏を抱きかかえ、ドアの前に立つ。
「じゃあ変身するぞ」
「あぁ」
「はい!」
「「「変身」」」
『Are you ready?Change→XeA THE First Appearance!!!』
『Are you ready?Change→Sintrier!!!』
『Are you ready? Change→Orphen!!!』
『Are you ready?Change→Luna!!!』
その言葉と共に俺たちの体が光りに包まれる。
光が止む頃にはそこには魔法少女達がいた。
よし、これで開ける準備は万端……
いや、一応その前に最終確認をしておくか。
「これからドアを開けるが、その前に最終確認だ、この先はこれまでとは比べにならないほどの敵がいる可能性が高い、心の準備はできてるな?」
「戦う覚悟なら8年前の時点でできてるよ」
「乗りかかった船だ、最後まで乗らせてもらう」
よし、シントリエとオルフェンは大丈夫そうだな。
あとはルナだけど……
「……正直なところ私はまだ怖いです、皆さんほど覚悟を決めることなんてできません」
「そうか……」
まぁそれもしょうがないだろう。
ルナはシントリエのように覚悟がガンギマリなわけじゃない。
「けど!それ以上に私が何もできなかったせいで真司さんを失ってしまうことのほうが私は怖いんです!だから私も皆さんと一緒に行かせてください!」
「あぁ、もちろんだ!」
この分なら問題なさそうだ。
よ~しそれじゃあ……
「ドアを開けるぞ、3……2……1!」
そういって俺はドアを開け、そしてすぐさま周囲を確認する。
しかし、特にこれといって気になることは……
「っ!ゼア!ドアの陰に何かいるぞ!」
「!?」
シントリエのその声に俺はとっさに刀を生成し防御の姿勢を取る。
「うお!?」
『GYAAAAA!!!』
すると大型犬のような魔物が俺に噛みついてきた。
防御していたため刀によってその攻撃を防げたが、シントリエに教えられていなかったら少しやばかったな……
「この!」
『GYA!?』
刀に噛みついている魔物に俺は氷のとげを放ち、腹を貫く。
その一撃によって魔物はどろどろと消滅した。
「大丈夫かゼア」
「あぁ、シントリエのおかげだ」
「魔物の不意打ち……、やっぱり警戒はしないとですね」
「だな」
今の魔物はあまり強くなかったから大丈夫だったが、この先もそうとは限らない。
警戒は怠らないほうがいいだろう。
と、そんなことを考えているとオルフェンが口を開いた。
「マナ測定器は持ってきてないのか?」
「え?」
「あれがあれば魔物や魔法少女からの不意打ちなら事前にわかるだろう」
「あ~……」
そういえば、マナ測定器ってそんな機能があるんだったな。
すっかり忘れていた。
「よ~し、ここから先はマナ測定器を使いながら進もうか!」
「忘れていたのか……」
オルフェンからのジト目で見られている気がするが、まぁ気にしなくていいだろう。
俺はポケットからマナ測定器を取り出し、測定しながらひとまず出口に向かうことにした。
「ん、曲がり角の先に2体魔物がいるな」
「りょ~かい、先に出てきたほうは私が相手する」
「じゃあ私は後のほうを相手しますね!」
俺が魔物の場所を伝えると、シントリエとルナがそういって前に出た。
『G……』
『GYA……!?』
「はい、終わり」
「来るとわかってれば結構簡単ですね」
「うわぁ……」
瞬殺だった。
出てきた2体の魔物は即座にシントリエのアクアスピアと恵夢のナイフで貫かれ、奇声を上げきる前に消滅した。
「この調子なら案外余裕か?」
「確かに今のところは余裕だが油断はすんなよゼア」
「わかってるよ」
シントリエの注意に返事を返し、再び先を進む。
その道中何度か魔物と遭遇するものの、どれも瞬殺で終わってしまった。
「もう出口か……」
「どうする?いったん外に出てみるか?」
「え?でも真司さんはこのドームの中にいるんじゃ?」
「私としては一回外に出てみるのがいいと思うが」
特に苦戦することなく出口までたどり着けてしまった。
なんだ?ここまで余裕だと逆に怖いぞ?
それにこの道中誰とも会わなかったことも引っかかるし……
「う~ん……、いろいろと気になることはあるけど、状況を把握するために一回外に出るのはありだと思う」
「よし、ならいったん外に出るで決定だな」
そういってシントリエが出口のドアを開く。
そのドアは特に鍵がかかっているということもなく普通に開き、開かれたドアから魔物が現れるといったことも起きない。
「……出るか」
「……そうだな」
セーヌドームを出てあたりを見渡……!?
「なんだあれ!?」
「ん?……んぁ!?」
「ひ、飛行船……?」
「なんでこんなところに……」
外に出て真っ先に目に入ったのは空に浮かんでいた巨大な飛行船だった。
おそらくセーヌドームを覆ってしまえるほどの巨大な飛行船。
こんなもの世界中を探しても存在しないはずだ。
「よし、乗り込むか」
「え?」
「判断が速くないか!?」
シントリエの即断即決にルナとオルフェンが驚きの声を上げる。
ただまぁ、実際あんなあからさまに怪しい飛行船だ。
乗り込まないわけにもいかないだろう。
「十中八九あそこが敵の拠点だろ」
「ってことはあの飛行船に真司さんが!」
「多分な」
「であれば乗り込みましょう!」
どうやらルナも乗り込む気になったようだ。
なら次はどうやって乗り込むかだな。
「俺は飛行魔法で行けるけどお前らはどうする?」
「私とルナならバリアを足場にジャンプしてれば行けるだろ、マナの少ないオルフェンはお前が抱えてくれ」
「なるほどな、よし、そうしよう」
「……あれ、今私とんでもない無茶振りされました?」
シントリエの提案通り、俺はオルフェンをおんぶする。
ルナは不安そうな表情をしているが、まぁやればできる子だし大丈夫だろ。
「じゃあ行くぞ!」
「あぁ」
「頼んだ」
「う~!もう!やってやりますよ!」
俺は飛行魔法を発動し飛行船に向けて飛んで行き、そのあとをシントリエとルナがバリアを足場についていく。
最初は若干ルナの速度が遅かったが、だんだん慣れてきたようで、気が付くと俺とそう大差ない速度になっていた。
「……あれ、思ってたより簡単ですね?」
「ゼアの飛行魔法と比べるとマナの消費が激しいがな、まぁ魔法少女ならこれぐらいできる」
「魔法少女のすごさを改めて実感しますね」
予想通りルナも何とかなったようだ。
これなら4人で飛行船に突入できる。
「よし、このまま突っ込むぞ!」
「もちろんだ!」
「背中に私がいることを忘れるなよ!?」
「え!?ちょ!?」
俺は飛び蹴り姿勢になり、そのまま窓ガラスへと飛んで行く。
その結果俺と衝突した窓ガラスはガシャンと派手に割れていった。
「ダイナミックエントリー!!!」
「なぜそんなにテンションが高いんだ!?」
そうオルフェンに突っ込まれつつ、俺は飛行船の廊下に着地した。
……窓ガラスを割って敵のアジトに突入するシチュエーションって男の子なら全員興奮すると思うんだ。
小話
省略しているが宇佐戯は毎回変身する前にマナゼリーを飲んでヘッドホンにディスクを入れている
宇佐戯がダイナミックエントリーしたのでポイント乞食します。ポイントください。




