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ゼノマギア  作者: ささみ
第2章 なぜ彼は魔法少女であれるのか
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第48話 予告状

 宇佐戯さんに作戦を聞かせてもらってから1週間……

 私は今一般客に変装しながらセーヌドームの中に入っていた。


「私のほうは準備万端です、宇佐戯さんの方は大丈夫ですか?」

『あぁ、こっちも大丈夫だ、今レストランであさみ達とご飯を食べてるところだから、あと30分ぐらいはここにいると思う』

「わかりました、じゃあ作戦開始します」

『あぁ、健闘を祈る』


 宇佐戯さんが連れてきた魔法少女、あさみさん達の場所を確認し、私は従業員の姿へと変装を変え、関係者以外立ち入り禁止の場所へと入った。


「……よし、人影はありませんね」

『監視カメラには気をつけろよ、不審な動きをすると感づかれる』

「もちろんわかってます」


 入ってみるとだいぶ長い廊下となっていて、そこに点々と監視カメラが設置されている。

 今の姿であれば多少映っても問題ないと思うけど、慎重に行こう。


「……どうやらここは控室や休憩スペースのようですね」

『あぁ、ここに重要な情報はなさそうだな』

「じゃあもっと奥の方に行きますね」


 どうやらここにはまだ求めているものはないみたい。

 私はなるべく自然に奥の方へと進んでいく。

 そして一番奥にあったとあるドアまで来た。


「社員以外立ち入り禁止……」

『この奥に目的のものがありそうだけど、カギがついてるな』

「開錠魔法で開けますか?」

『いや、監視カメラがある、そこで開くと怪しまれると思う』

「わかりました」


 どうやら今のまま開けるわけにはいかないらしい。

 ならどうすればいいのだろうか。


『そうだな……、カモフラージュでなんとかできないか?』

「カモフラージュですか?」


 カモフラージュは私の固有魔法で発動できる魔法の一つで、私がイメージした画像を張り付けることができる。

 普段は変装用に使っている魔法だが、それでなんとかできるのだろうか。


『一回死角まで行ってから、監視カメラに誰もいない画像を張り付ければ誤魔化せるんじゃないか?』

「あぁ、確かにできるかもですね」


 私は言われた通り監視カメラの死角に入り、誰もいない画像を張り付けた。


「よし、じゃあ後は開錠魔法で……できた!」

『よくやった、早速中に入ってくれ』

「はい!」


 私は社員以外立ち入り禁止の扉を開き、中へと入った。

 すると再び長い廊下に出たので、まず適当に近くのドアの場所まで来た。


「……え?」

『マジか……こんなところで?』


 ドアに貼ってあった札を見ると、そこには研究室と書かれていた。

 普通に考えてドームに研究室は必要ないはず。

 ここで一体何が行われているの?


『研究室があるなら近くに資料室もあるはずだ、そこに入ってくれ』

「はい」


 私は周りを警戒しつつ、資料室を探す。

 すると本当に結構近くで発見できた。


「鍵はかかってないですね、それじゃあ入りますよ」

『あぁ、ん!?ちょっと待てル……!?』

「え……?」


 私は資料室の扉を開き、人がいないかを確認しつつ中へと入ろうとした瞬間だった。

 その音を最後に宇佐戯さんの声が聞こえなくなる。

 そして同時に私は背中に悪寒が走り勢いよく後ろに飛ぶ。


「っ!?」


 その瞬間開こうとしていた扉が引き裂かれた。

 私は後ろに下がっていなかったらどうなっていたかを思わず想像し、体が少し震えた。


「おしい、あとちょっとで真っ二つにしてあげたのに」


 そういいながら、資料室の扉を壊してあいつが現れた。


「アクセラ……!」

「あら、私の名前を知ってたのね」


 こいつが出てきた以上今は逃げるしかない。

 私は作戦通りあさみさん達がいる場所へと走ろうとした。

 だが私の足は次のアクセラの言葉で止まってしまった。


「あら?あさみとかいう魔法少女のところに行くつもり?」

「なんであなたがそれを!?」


 作戦がばれていた!?

 一体どこで!?


「ふふ、ずいぶんと慌てているわね」

「ぐ……」


 このまま慌てていても状況は好転しない。

 どうする、あさみさん達のことがばれている以上、作戦通りにはもう行かない。

 私がここでアクセラを倒すしかないの?


「そのまま何もしないなら私から行くわ!」

「くっ!」


 アクセラが剣で斬りかかってきた。

 もうこれ以上迷っている時間はないのだろう。

 私は生成したナイフで剣を受け止めつつ、ここで戦う覚悟を決めた。


「私だって!」

「あら、私と戦う気?」


 アクセラはずいぶんと余裕に見える。

 当然だ。

 私は前回ぼろぼろにされて逃げることしかできなかったのだから。

 それでも私は戦うことをもうやめる気はない。


「ふっ!」

「その程度……!?」


 私はナイフで斬りかかると見せかけて足からワイヤーを発射し、アクセラの足へと巻き付ける。

 そのまま思いっきりワイヤーを引き、バランスを崩すことに成功した。


「そこ!」

「まだよ!」


 ワイヤーを消し、倒れこんだアクセラにナイフを投げつけるがバリアによって弾かれてしまった。


「ちっ」

「ふふ、どうやらバリアを貫けるほど威力のある魔法は使えないみたいね」


 アクセラの言う通りだ。

 私の怪盗七つ道具には攻撃力が低く、バリアを貫けるような魔法は存在しない。

 だから私は手数で勝負するしかない。


「ふっ!」

「甘い!」


 再び私のナイフとアクセラの剣が激しく打ち合った。


 *  *  *


 少し時間が巻き戻り、ルナがアクセラと遭遇する少し前……


「ねぇ、宇佐戯君、さっきからパソコンで何してるの?」

「ん?ちょっといろいろあってな」


 俺はご飯を食べ終わったらしいあさみにそう聞かれた。

 ルナの支援をするためにパソコンに送られてくる映像を見ていたのだが、あさみからするとレストランに来たのに何も食べずにパソコンをいじっているように見えるため気になったのだろう。


「せっかく下見に来たんだから宇佐戯君も楽しんだらいいのに」

「あはは……」


 それあさみたちをここまで連れてくるための建前だからなぁ……

 と、そんなことをあさみと話していると、ルナが資料室に着いたらしい。


『鍵はかかってないですね、それじゃあ入りますよ』

「あぁ、ん!?」


 その瞬間だった、レストランの壁が突如崩壊した。

 俺は思わずその方向を見て驚愕する。


『『『GYAAAA!!!』』』


 魔物だ。

 しかも単体じゃない、崩壊した壁の向こうに数える気がなくなるほど大量にいる。

 間違いなく魔物の大群といえるだろう。

 やばい、これはやばいぞ……

 魔物の大群が発生したときにはいつもアクセラが裏にいた。

 ということは作戦がアクセラにばれている可能性が高い!


「ちょっと待てル……!?」

『GYAA!!!』

「宇佐戯君!」


 俺がそのことをルナに伝えようとした瞬間、俺に向かって獣のような魔物がかぎ爪を振り下ろしてきた

 そしてその攻撃が命中する直前、あさみが俺の体を引っ張り、その結果ギリギリのところで当たることはなかった。

 しかし、パソコンは守ることができず、そのまま破壊されてしまった。


「ぐっ」

「大丈夫!?」

「あぁ、助かった……」


 ルナに状況を伝えられなかった。

 俺との連絡が途絶えた以上緊急事態だということは伝わるだろうが、この先ルナの状況が分からなくなってしまったのがかなり痛い。

 作戦がばれている以上アクセラはルナのすぐ近くにいる可能性が高い。

 このままだと魔物の大群と同時にアクセラの相手をしなくてはいけなくなる。

 と、そんなことを考えているうちに気が付けばあさみたちが魔物の軍勢の前に立っていた。


「清華ちゃん!楓ちゃん!行くよ!」

「えぇ!」

「わかった!」

「「「変身!」」」

『Are you ready? Change→Himetsubaki!!!』

『Are you ready? Change→Viora!!!』

『Are you ready? Change→Anemone!!!』


 体が光に包まれて、気が付くと3人の魔法少女が現れる。


「蔓延る魔物に熱血パンチ!魔法少女ヒメツバキ!」

「凍てつく氷でかっちこち!魔法少女ビオラ!」

「通り過ぎるはまさしくマッハ!魔法少女アネモネ!」

「「「さぁお覚悟はよろしくて?」」」


 ……魔物の軍勢はあさみたちに任せればいいか。

 そう思った俺は、ルナを助けるためにあさみたちを置いて走り出した。

 ドームはかなり広く、ルナの場所まで行くには7分ほどはかかる。

 俺はその時間を可能な限り縮めるために走りながらマナゼリーを飲んだ。


「変身!」

『Are you ready? Change→XeA THE First Appearance!!!』


 体が光に包まれ、ゼアへと姿が変わる。

 そしてすぐさま飛行魔法を発動した。


「この速度ならあと3分で着く!」


 それまで持ちこたえてくれ恵夢!


 *  *  *


「はあ!」

「くどい!」


 ナイフと剣が何度も打ち合う。

 状況はまだイーブンでどちらにも傾いていなかった。


「そこよ!」

「ぐっ!?」


 剣が顔を掠め、少し血が流れた。

 このままじゃ間違いなく負ける、私はそう思わされた。

 ……こうなったらもうあれを使うしかない!


「予告状!」

「はぁ?」

「これから3分以内にあなたを倒します!」

「そんな事が出来るわけ!?」


 その瞬間、私のナイフがアクセラの肩を貫いた。


「この!」

「遅いです!」


 アクセラが勢い任せに剣を振るが、少し身を反らして躱す。

 予告状魔法、指定した時間の間自身の身体能力や魔法の威力を底上げできる魔法だけど、その代わり指定した時間を過ぎた瞬間強制的にマナが尽きて変身解除される。

 これを使ってしまった以上あまり時間を浪費するわけにはいかない。

 速攻で倒してみせる!


「ぎぃ、この、がぁ!?」

「もっともっと速く!」


 予告状によりさらに引き上げられた身のこなしでアクセラを翻弄し、少しずつダメージを与えていく。

 このままいけば勝てる!

 そう思った矢先のことだった。


「この、あまり私を舐めるなよ!」

「な!?」


 アクセラの体に土が纏わりついていく。

 私はこのままではまずいと思い、アクセラにワイヤーを放ったが、容易く弾かれてしまった。


「ふ、ふふふ、ここからは私の独壇場よ!」

「きゃぁ!?」


 纏わりついた土が鎧へと変化し、アクセラの防御力が格段に向上してしまった。

 しかもパワーまで明らかに上昇している。

 このままだと時間切れに!


「ほらほらほらほら!」

「ぐぅ……!」


 土でできたこぶしが私に迫ってくる。

 何とかナイフで弾き切れているが、それ以上をする余裕がない。

 残り時間は残り1分程度だけど、もう勝てる見込みはないに等しいだろう。


「とどめよ!」

「っ!」


 鎧に包まれていたこぶしが、さらに土を纏い巨大化し、私に迫ってくる。

 これが当たれば間違いなく私は死ぬだろう。

 だがいつの間にか周囲が土の壁で囲まれており、もう逃げ道がなかった。

 ……負けちゃったか。


 その瞬間目の前に純白の天使が現れ、その手に持っていた巨大な氷のハンマーで土のこぶしが砕かれた。


「え……」

「貴様は!?」

「悪いなルナ、だいぶ遅くなった」


 そう話しかけてくれた天使は、私のことをいつも助けてくれる宇佐戯さん……、いや、ゼアだった。


「そんなこと気にしてませんよ!むしろありがとうございます」

「そう?ならよかった」

「この、今回も私の邪魔を!」


 そういいながらアクセラが剣で斬りかかってくる。

 しかしゼアはたやすくその剣を刀で斬った。


「なぁ!?」


「さぁルナ、ここからは俺たちのステージだ!」

「はい!」


 残り時間は30秒ほどしかないだろう。

 だがゼアと一緒ならきっと問題ない。

 今の私たちなら勝てる!


「「ハァ!」」

「ぐぅ!?きさまらぁぁぁ!」


 私のナイフとゼアの刀が明確にダメージを与えていく。

 そしてそれによってアクセラに明確な隙が見えた。

 私はすかさずアクセラにワイヤーを巻き付け拘束し、そのまま思いっきり引っ張る。


「ゼア!」

「了解!」


 引っ張られたことで大きな隙をさらしながら近づいてくるアクセラに、私とゼアのこぶしが命中した。


「がぁぁぁぁ!?」


 アクセラが血を吐きながら盛大に吹き飛び、壁に叩きつけられる。

 その衝撃により腕や足があらぬ方向に向いており、これでもうアクセラは戦闘不能になったはずだ。


「この、くそどもがぁ……!」

「もうこれ以上戦うのは無理だろ、素直にあきらめるんだな」

「私たちの勝利です!」


 よかった、勝てた。

 そう私が安堵したと同時にアクセラの口が開く。


「ふ、ふふふ、確かにこの勝負は私の負けかもしれないわね、けど全体を見れば私の勝利よ」

「は?」

「な、なにいってるの?」


 私はアクセラの言う意図が分からず、ただの負け惜しみだと思った。

 だけど、そういうわけではなかった。


「ふふ、あなた、ルナだっけ?確か病院に住んでたはずよね?」

「え……?なんでそれを……?」

「ふふふふふ、そして、あなたの育ての親もそこで働いている」

「……!」

「ねぇ、今その病院がどうなっているかわかるかしら?」

「っ!?まさか!?」

「ふふ、これでわかったでしょう?私の勝ちだって」

「お前……!」

「ふふ、あぁ、その顔が見れて私は大満足よ、それじゃあ私はもう帰るわね」

「なっ、待て……!?」


 アクセラの後ろに謎の穴が生成され、その中へアクセラが入ろうとする。

 私はそれを追おうとしたが、その直後私の体が光だし、元の恵夢の体に戻ってしまった。

 予告状の時間切れだ。

 そしてその隙にアクセラはもう逃げてしまった。


「ぐ、真司さん……!」

「待て恵夢!俺の飛行魔法で一緒に飛んだ方が速い!」


 私は走って病院まで行こうとしたが、宇佐戯さんにより早い方法を提案され、その方法で一緒に病院まで急ぐ。

 そして病院まで着いた瞬間私は走りだす。


「真司さん……!」


 私は居るならきっと私の病室だと思い、そこまで走る。

 途中看護師さんに呼び止められた気もするが、今はそれどころじゃない。

 私は勢いよく、病室の扉を開く。


「真司さん……!!!」


 しかしそこには誰もいない。

 そしてその代わりとばかりに1枚の紙が置いてあった。


『返してほしければ魔法少女機関や警察に頼らず、2週間後の魔法少女ライブの日にセーヌドームまで来い。逆らえば人質の命はないと思え』


 そこにはそう書かれていた。

小話

魔物の大群のほうはあさみ達が10分程度で片付けた。


そろそろこの章のクライマックスなのでポイント乞食します。ポイントください。

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