第49話 後手
これからの更新はできても週1になると思います。
病室の扉を開く。
するとそこには泣き崩れ自責する恵夢の姿があった。
「どうして真司さんが……、また私の……。私のせいで無関係な真司さんが……」
「……」
俺はその姿を見て、かける言葉が思いつかなかった。
いや、むしろそれでいいのかもしれない。
今慰めの言葉を言ったところで恵夢はむしろつらくなってしまうだろうから。
だから俺は今できることをしよう。
そう思い俺はまずこの病室を細かく確認することにした。
「……あった」
部屋に置いてある人工観葉植物の土部分を少しほじると、盗聴器が出てきた。
おそらくこれのせいで作戦がばれたのだろう。
いつからあったのかはわからないが、盗聴器が見つかった以上このままこの部屋にいるわけにはいかない。
「恵夢、今から俺の家に行くぞ」
「……え?」
「盗聴器が見つかった、この部屋で話し合うと相手に筒抜けになる」
「そんな……、これ以上宇佐戯さんに迷惑をかけるわけには……」
……もしかして恵夢は自分のせいで俺にまで被害が出るとか思ってるのか?
もしそう思っているならそれは勘違いだ。
「いいか恵夢、前にも言ったがこれは俺がしたいと思ったからしているんだ、恵夢のためじゃない」
「え……?」
「だから恵夢も自分がしたいと思った事をしろ。」
「……!」
よその人が聞いたらひどく冷たいようにも聞こえる言葉だが、どうやらうまく伝わってくれたらしい。
恵夢はまだ涙目ではあるものの、立ち上がった。
「すみません宇佐戯さん、確かにそうでしたね!」
「よし、じゃあ恵夢はこれから何をしたい?」
「真司さんを助けに行きたいです!」
「なら俺はそれを手助けしたい、もともとあの作戦を持ち掛けたのは俺だし、その真司さんがさらわれたのには俺にも責任の一端があるからな」
「そんな、宇佐戯さんは悪くないですよ!」
「そう言ってくれるのはうれしいけどね……」
そんなことを話しつつ、俺と恵夢は一緒に家まで向かった。
* * *
「着いたぞ、ここが俺の家だ」
「へぇ、結構大きい家ですね!」
「そうか?」
俺としてはそう思ったことはないが、社章令嬢で広い家に住んでいたこともあるだろう恵夢が言うなら恐らくそうなのだろう。
「ほら取りあえず入ってくれ」
「はい!」
玄関の扉を開き、俺たちはその中へと入る。
すると目の前には思愛達三人がおり、俺に話しかけてきた。
「帰って来たんだな」
「作戦はうまくいったの……って、あら?その子って確か……」
「あぁ、前に言った恵夢だ」
潜入作戦の都合上思愛達と俺は一緒に行動できないため、家に残ってもらっていたのだが、どうやら俺が作戦を終えるのをここで待っていてくれたらしい。
……今思えば病院に護衛として置いていればこんな状況に放っていなかったのではないか。
そんな今更な後悔をしていると、今度は恵夢が俺に話しかけてきた。
「え~と?宇佐戯さんのご家族ですか?」
「あ~……、どちらかといえば居候かな」
「なる……ほど……?」
「取りあえずこいつらがどういう人かを説明するからリビングまで来てくれ」
「わかりました!」
ということで、俺たちはリビングへと入り、ソファーにそれぞれ座り、恵夢に思愛達との出会いを説明した。
その間恵夢はいい感じにリアクションをしてくれており、俺としても話していて楽しかった。
「……っていう感じで思愛達と出会っていったんだ」
「なるほど……、やっぱり宇佐戯さんってすごい人なんですね!」
「え?そうか?」
「はい!だって最初の魔法少女であるシントリエさんに真正面から立ち向かって勝ったんですよね?経験の差がかなりあるはずなのにそんな結果を出せるなんてすごいです!」
「う~ん、俺としては数年間ずっと怪盗として不正の証拠を集めている恵夢もすごいと思うけどね」
「えへへ、そうですか?」
恵夢に褒められたため俺も褒め返してやると、恵夢は少し恥ずかしかったのか少し頬を赤くしながらうれしそうな表情を返してくれた。
う~ん、純粋無垢だ。
なんというか心が癒されていく感覚がする。
「それそろ作戦がどうなったのかを聞かせてくれねぇか?」
「ん?あぁ、そうだった……、簡単にあったことを説明するとな......」
恵夢にもところどころ何があったのかの補足を入れてもらいつつ、作戦の結果を話す。
「なるほどな、つまり作戦は大失敗ってわけか」
「そうだな、結局セーヌドームで何をする気だったのか分からず、しかも恵夢の大切な人が誘拐された、完全敗北だ」
「……その誘拐に関してだけれど、2週間後にセーヌドームっていうのはある意味チャンスなんじゃないかしら?」
「チャンス……ですか?」
「えぇ、今日から2週間後はちょうど魔法少女によるライブがある日よ、つまり何か大きなことがあった場合魔法少女たちが加勢してくれる可能性があるわ」
「なるほど……」
どうやら清華はこの状況がチャンスにもなりえると判断したようだ。
俺としてもそうなりえるとは思っている。
だが一つ気になる点が俺にはあった。
「相手側もその日に魔法少女のライブが起きることは知っているはずだ、なのにわざわざその日を指定したってことは何かあるんじゃないか?」
「……確かにそうね、今の発言は楽観的過ぎたかもしれないわ。ごめんなさいね」
「いや、別に謝ることじゃない、俺の考えが杞憂である可能性も全然あるからな」
あくまで楽観視をするべきではないというだけだ。
魔法少女たちの協力を得られるかもしれないということは考慮しておいた方がいいだろう。
「それで肝心の真司さんの救出をどうするのかについてなんだが……」
「ん?正面突破以外に方法あるのか?」
「……正直に言うとそれしか俺も思いつかない」
「げ、まじかよ」
「ほ、本当にそれで大丈夫なんですか宇佐戯さん!?」
俺が救出方法について話そうとすると、それよりも先に思愛に言われてしまった。
思愛的には冗談のつもりだったんだろうが、いくら考えてもその方法しか思いつかなかった。
「ぶっちゃけ情報が少なすぎるんだよ、方法を考えようにも判断材料がない」
「そ、そこまで追い込まれてるんですね……」
「人質がいる以上情報収集をしようにもリスクが高すぎるんだ」
「つまり下手に動いてそれがバレると人質が殺される可能性もあるからってことよね?」
「あぁ」
正直これに関しては相手が1枚上手だったと納得するしかない。
今からこの状況を覆すのは無理だろう。
「けど正面突破で大丈夫なのかよ?戦えない千里ちゃんを除いた私ら4人で勝てるような相手なのか?」
「相手の戦力が分からない以上何とも言えないかな」
「だ、大丈夫ですよきっと!」
「口だけなら……いや、まぁそうだな、やるしかないか」
どうやら思愛と恵夢は正面突破に乗り気なようだ。
まだ何も話していない彩夏も首を縦に振ってくれており、どうやらこの正面突破に協力してくれるらしい。
「よし、それじゃあ今俺たちにできる唯一のことをしようか」
「唯一のことですか?」
「何をする気だ?」
どうやら、思愛達はこれから何をするのかを思いつかないようだ。
まぁ、俺たちは今までこれをやってこなかったからそれも仕方ないだろう。
「そんなの決まってるだろ?正面突破には敵を上回る力を身に着けなければならない!つまりは特訓だ!」
「あ~……まぁ確かに今できる唯一のことだな」
「真司さんのためです!どんな厳しい特訓でもこなして見せます!」
よし、どうやらみんな特訓に乗り気なようだ。
正直俺の性格的に全く似合わないことを言っている自覚はあるが、今はとにかく特訓だ!
小話
主人公チームで純粋に努力家タイプなのは実は恵夢だけだったりする。
3週間ぶりに投稿するのでポイント乞食します。ポイントください。




