第41話 疑念
なんかいい感じの話みたいになってたけどよくよく考えたら全然そんなことなくね?
泣いている恵夢をあやした後、恵夢を病院まで送った俺はそんなことを考えながら帰り道を歩いていた。
正直あの時の俺は言ってること自体は本音ではあるけど、恵夢を逃がすために結構適当に返事していた。
それがなぜか恵夢にクリティカルヒットだったのだ。
そのせいで俺視点だとシリアスというよりシリアルだったんだよな……
う~ん、そう考えるとなんというか恵夢に悪いことした気がする……
恵夢の純粋な想いを弄んでしまった感が強い。
「……後でなんか埋め合わせするか」
そうだな……、あさみたちのライブに一緒に行くか。
確かあさみたちに聞いた話だとそろそろ初ライブをやるらしいから明日にでも詳細を聞きに行けばいいかな。
「となると明日は学校に行ってあさみたちに会わないとか……」
若干面倒くさいが、まぁしょうがないか。
そこまで考えたところで家まで到着し、そのまま俺はご飯を食べた後眠りについた。
* * *
翌日の学校にて、俺はいつの間にかぶかぶかになってしまっていたジャージを着て廊下を歩いていた。
現在の身長は165cm、もともとが175cmであったことを考えると10cmも縮んでいるため、まぁぶかぶかなのは当たり前だろう。
「あれ、宇佐戯君だ!」
「あら、学校で会うのは久しぶりね」
「うげ、なんでこんなところで会うんですか……」
「俺もこの学校の生徒なんだから、ここにいてもおかしくないだろ」
廊下を歩いているとあさみたちに話しかけられた。
初っ端風見からなんか嫌な顔をされたがまぁスルーでいいだろう。
「わざわざ学校に来たってことは私たちに何か聞きたいことでもあるのかしら」
「うん、前に行ってたライブについて聞きたくてね」
「ライブ?魔法関係以外に興味を持つなんて珍しいわね」
「一応自分も関わってることだしな」
俺がライブに興味を持ったことが委員長は気になるらしい。
別に恵夢の件がなくても友達のライブぐらい普通に行くわ。
一体委員長は俺のことを何だと思っているのだろうか。
「えっとね、ライブのことなんだけど開催場所とか開催日時はまだ決まってないんだよね、歌う曲とかはもうあるんだけど……」
「そうなのか、いつそれは決まるんだ?」
「さぁ?井出さんが今開催場所を探してくれてるらしいから決まったら連絡が来るんじゃないかな?」
なるほど、じゃあ今はおっさんの連絡を待たなきゃいけないのか……
う~む、おっさんのことだしあんまりうまくいってない気がするな。
と、そんなことを思っているとあさみのスマホが大音量でなりだした。
「あれ、電話だ」
「あさみの着信音でかすぎるだろ……」
「というか学校の中なんだからせめてマナーモードにしておきなさいよ……」
「あはは……、あ、井出さんからだ、もしかしてライブの日程が決まったのかな?」
どうやらおっさんからの電話だったようだ。
あさみは全員に聞こえるようスピーカーの状態で電話に出た。
……まぁ今のところ周りに人はいないし、魔法少女の話をしても問題ないだろう。
「もしもし井出さん?」
『おう、よろこべ、ライブの開催場所と日時が決まったぞ』
「ほんとですか!」
『あぁ』
どうやらあさみの言った通り本当にライブの日程に関する話らしい。
あさみ達がどことなくワクワクとした表情でおっさんの話を聞く体勢に入った。
「それでいつどこですることに決まったんですか!」
『それはな……なんと1か月にセーヌドームでだ!』
「は!?」
「セーヌドームって確か少し遠くにあるあそこだよね!」
「えぇ、まさかそんなところでできるなんてね」
「すごいじゃん!」
いや、いやいやいや、いくら何でもセーヌドームはおかしいだろ!?
セーヌドームは北海道の2つしかないドームの片方だぞ!?
札幌ドームほど広くはないが、いくらなんでもおかしい!
「な、なんでそんなところが使えることになったんですか?」
『ん?宇佐戯か?使えるようになったのは俺の交渉能力のおか……』
「そういうのいいですから」
おっさんがふざけたこと言いそうだったので、言い切る前に遮る。
今の俺はまじめに聞いてるんだから茶化さないでほしい。
『あ~実はな?いろいろなところに掛け合ってもどうも交渉がいかなくて困ってたんだ、そんなときに俺に電話がかかってきてな、出てみるとなんとセーヌドームの運営をしている会社からだったんだよ』
「つまりセーヌドーム側から提案されたのか?」
『あぁ、俺もびっくりしたんだぞ?ライブの開催場所を探してるなんて俺が電話した場所の人以外には話してないのにいきなりそのことで電話が来たんだから、ま、これが奇跡ってもんなのかねぇ』
「……」
いや、いくらなんでも怪しいだろ!?
いくら魔法少女がライブするからってドームを使うほど集客能力があるとは思えないぞ!?
……いや、ここはいったん冷静になろう。
今の俺はあり得なさ過ぎて拒絶反応が出ているだけかもしれない。
「それでどんな条件でセーヌドームが使えることになったんですか?」
『今回のライブで出たチケットやグッズの売り上げ料金の3分の2だ』
「……なるほど、契約資料とかちゃんと確認したんですか?」
『なんだ?詐欺でも疑ってんのか?ちゃんとうちで雇ってる顧問弁護士を通して問題ないことは確認してるぞ』
「魔法少女機関って顧問弁護士居たのか……」
弁護士を通したのなら契約的には問題ないのだろう。
じゃあ本当にただの善意で使わせてくれてるのか……?
「……ちょっと用事思い出したから早退するわ!」
「ちょ!?早退以前にまだ1時間目すら始まってないわよ!?」
委員長に呼び止められた気もするが、俺は気にせず走る。
正直この話にはとんでもなく嫌な予感がする。
こういう時の直感は素直に信じることにしている俺は、この嫌な予感の正体を突き止めるために一旦家に帰ることにした。
「行っちゃったわね……」
「まぁ、宇佐戯君って気になることがあったら解明するまで一直線に進む性格だから……」
「やっぱりろくな人じゃないですよあいつ!」
小話
魔物が出た影響で日本はかなり変化しており、治安が悪化したり、本来名前が変わるはずの場所の名前が変わっていなかったり、建てられる予定だった建物が建てられなかったりする。
結局宇佐戯は学校に行かなかったのでポイント乞食します。ポイントください。




