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ゼノマギア  作者: ささみ
第2章 なぜ彼は魔法少女であれるのか
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第37話 ウイルス

 あれから2週間が経過した。

 男性恐怖症の克服はどうやら少しだがマシになったようで、半径2メートルぐらい距離があれば、近くに男性がいても大丈夫なようになったらしい。

 でもこのままどんどん克服できるように手伝うことはできない、なぜなら……


「え、宇佐戯さん退院しちゃうんですか?」

「うん、もともと結構前から完治自体はしてたしね」


 そう、俺の退院日が明後日に決まってしまったのだ。

 なのでこれからは病院で手伝いことはできない。


「そ、それじゃあ私も退院を……」

「いや、無理でしょ」

「うぅ……」


 恵夢はとある理由によりずっと病院で住んでいるらしく、体は健康体なのだが退院することができないらしい。

 一時外出ぐらいはできるらしいが、外泊とかは無理なようだ。

 正直どんな事情があればそんなことになるのかが気になるところだが、恵夢はそれ以上のことを教えてくれなかった。


「まぁ、今後も連絡してくれれば暇があれば会いに行くし、なんなら外で遊びに行くこともできるから、そう心配するな」

「え、でも私連絡手段が……」

「そういうと思ってこれを持ってきた」


 そういって俺は千里に家から持ってきてもらったスマホを恵夢に差し出した。


「え、これ、いいの?」

「大丈夫、俺が昔使ってたやつだし」

「そうなの?ありがとう、大切に使うね!」


 適当に高性能なプリペイドSIMを千里に買ってもらって中に入れているため、電話もちゃんとできるようになっている。

 これで千里もちゃんと俺に連絡が取れるだろう。


「これで俺がここから退院しても、またいつでも会えるだろ?」

「はい!」

「じゃぁもう俺が退院しても大丈夫だな?」

「……うん、寂しいけどこれからも会えるなら大丈夫!」


 よし、これで問題解決だな。

 少し会いづらくはなるだろうが、二度と会えなくなるわけじゃない。

 これからも会おうと思えば会えるんだ。


「さて、それじゃぁこれから会いづらくなる分、今日と明日を目いっぱい使おうか」

「はい!」


 そうして俺と恵夢は退院日まで会話や持ち込んだゲームをして一緒の時間を過ごした。

 そしてその退院日……


「それじゃあ、またな」

「うん!絶対すぐにまた会おうね!」


 俺は別れの言葉を恵夢に伝えて病院を出た。

 恵夢は大きく手を振って見送ってくれる。


「ずいぶんと仲良くしてたみたいだな、あの恵夢って子と」

「ん、思愛か、来てたんだな」

「仲間の退院日に来ないほど人の心捨ててねぇよ」

「まぁそれはそうか」


 病院を出てすぐのところで思愛が話しかけてきた。

 少し先には車に乗った千里と彩夏の姿もあるため、わざわざ全員で迎えに来てくれたらしい。


「……まぁ別に良いか」

「なにが?」

「なんでもねぇよ、ほら、さっさと帰るぞ」

「えぇ……」


 なんか思愛が意味深なことを言ってきた。

 なんだ?何が気になったんだ?

 めちゃくちゃ気になるが、思愛は口を割る気はないらしい。

 俺はしょうがなくあきらめて、千里の車に乗り込んで家へと帰った。


 そしてその翌日、俺は久しぶりに魔法少女機関に来ていた。


「宇佐戯か!もう退院してたんだな」

「あれ、連絡してませんでしたっけ」


 俺が中に入った途端いきなり驚かれてしまった。

 退院したからこれからは復帰できますって連絡は送ったはずなのだが、見ていないのだろうか?


「実は今緊急事態でな、スマホを見る余裕がなかったんだ」

「緊急事態?また魔物が襲ってきたんですか?」

「いや、そういうわけじゃない、実は魔法少女機関の中にあるコンピュータのすべてにウイルスが感染しているんだ」

「はぁ!?」


 どういうことかをおっさんに詳しく聞くと、どうやら魔物の大群が襲い掛かってきたその翌日に、後始末でバタバタしている隙をついて、何者かが魔法少女機関に侵入していたらしい。

 不審者がいること自体には案外早く気が付けたらしいが、その時にはすでにウイルスが仕込まれた後だったようで、それからずっとそのウイルスの対処をしていたらしい。


「つまり俺が入院している1か月ずっとその対処をしてたんですか......」

「あぁ、そのせいでお前のお見舞いにもいけてなくてな」

「いや、こんな緊急事態ならしょうがないですよ」


 そういえば一回も来てなかったな……

 恵夢がいたから退屈しなかったし、気が付かなかった。

 というか国立で優秀な人材の集まる魔法少女機関が、1か月も対処できないウイルスってどんだけ強力なんだ?


「それでどこまで対処はできてるんですか?」

「これ以上被害が出ないように押し止めることはできてるんだが、それ以上ができないんだ」

「ん~、俺にも見せてくれません?」

「それは別にいいが、分かるのか?」


 そう言われつつもおっさんは素直にウイルスに完成したコンピュータを見せてくれた。

 ……ん?これ多分……


「お、おい?なんか入力してるけど大丈夫なのか?大丈夫なんだよな?」

「……」

「ちょっ、なんか赤文字の馬鹿でかい警告文出てるんだけど!?」


 俺はおっさんのがやを無視して入力を続ける。

 そしておよそ10分後、俺は入力の手を止めた。


「ふぅ、多分これで治ったんじゃないですか?」

「は?いやそんなわけ……」


 おっさんがコンピュータを触り確認をする。

 俺が思ってる通りのウイルスならこれで対処できたと思うが……


「ま、マジで治ってる……」

「よし、これでなんとかなりましたね」


 どうやら大丈夫だったようだ。

 これでいつも通りマナの研究に没頭できるな!


「俺たちが1か月かけても治らなかったのに何でこの一瞬で治せるんだよ……」

「ミステリアス系超天才美少年ハッカーなんで」

「なんだその肩書……」


 ミステリアス系以下略は俺が昔冗談で名乗っていた肩書だ。

 今はなんか恥ずいし使わないが、昔はこの名乗りでいろいろとしていた。

 まぁ今はそんなことより何のためにウイルスが仕込まれたのかを調べなくちゃいけないだろう。


「そんなことより何かしら情報が抜かれた形跡はないですか?」

「俺としてはもうちょっと気になるんだが……、あ?」

「っ!何か抜かれてたんですか!」

「……あぁ、それもよりにもよって一番抜かれたくなかった情報がな……」


 一番抜かれたくなかった情報!?

 どんな情報だ?

 所属してる魔法少女の本名か?


「どんな情報が抜かれたんですか!」

「……マナゼリーに関する情報だ」

「はぁ!?」


 やばい、確かに一番抜かれたくなかった情報だ。

 もしもあれを飲むやつがいたらだれでも魔法が使えるようになってしまう。


「幸いマナゼリーの作成方法や作成者については機密事項だからもデータ化していないが、それ以外の部分についてはすべて抜かれている」

「……不幸中の幸いですねそれは」


 作成者である俺のことがばれていないのなら、情報をさらに得るために俺に襲撃が行われるといったことは起きないだろう。

 ただそれでもマナゼリーの存在がばれたのはまずい。

 存在することが確定しているのなら、そこにたどり着くのにそう時間はかからないだろう。

 だからそうなる前に犯人を捕まえなければいけない。


「警察に不審者のことは連絡したんですか?」

「あぁ、すでに動いてくれているらしい、ただ前に来ていたあの二人が定期的に調査の連絡をくれるんだが、あまり進展していないらしい」

「そうですか……」


 あの二人……

 多分神薙と恵理さんのことだろう。

 あの二人が動いても進展していないということは犯人はかなりのやり手のようだ。

 ……今はできることをやっておくか。


「取りあえず俺は再発防止用にセキュリティを強化しておきますね」

「そんなこともできるのか?じゃあせっかくだしめちゃくちゃ強くしてくれ」

「よし」


 おっさんからの許可も得たため、俺は作業を始めた。

小話

宇佐戯が10分程度で対処できたのはそのウイルスを昔見たことがあるため、そうじゃなかったら流石に30分はかかっていた。


マナゼリーの情報が盗まれたのでポイント乞食します。ポイントください。

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