第26話 仲間
「思愛ちゃん!」
「お、おい、やめろよ千里ちゃん……」
「あらぁ~」
御影さんに会いたいことを伝え、再び札幌の喫茶店へとタクシーでやってきた俺とシントリエが店内に入ると、いきなり御影さんがシントリエに抱き着いた。
その光景を見た俺は思わず感嘆の声を上げてしまった。
「まぁ、久しぶりの再会なんだし、しばらくそうしていたらいいんじゃないかな?」
「い、いや、いくらなんでもこれは恥ずいわ!」
「思愛ちゃん、思愛ちゃんのにおいがする~」
「匂い嗅いでるんじゃねぇよ!?しばらく風呂入ってねぇんだから!」
あ~、まぁシントリエはあの研究所の跡地を拠点にしてたらしいし、そりゃ風呂にも入ってないだろうな。
このまま風呂に入れさせないのもあれだし、風呂に入ってきてもらうか?
「この辺りに温泉ってありますか?」
「思愛ちゃん……、温泉なら近くにスーパー銭湯があるわよ!思愛ちゃん!私と一緒に入りましょうか!」
「はぁ!?この歳で一緒にとかありえねぇだろ!?」
「いや、友人同士なら普通にあるだろ」
なんというかシントリエって意外と情緒が子供っぽいんだよな……
まぁ、シントリエの境遇を考えれば当然か。
「とりあえず御影さん、風呂に入るのはいいですけど今はちょっと話したいことがあるので、一旦シントリエを離してください」
「……そうね、宇佐戯君が言うならしょうがないわ、一旦離すわね」
「ぷはぁ、は、恥ずかしぬかと思った」
あくまで一旦離すだけだからまた抱き着かれると思うが、まぁそれは別にいいだろう。
「さて、とりあえずシントリエとの間で合ったことを話しますね」
「えぇ、お願いするわ」
俺は御影さんにシントリエと決闘をして説得したことを話した。
聞いている御影さんの顔は真剣そのものだった。
「なるほどね、ありがとう宇佐戯君、思愛ちゃんを止めてくれて」
「いえ、俺がしたいと思ったことをしただけなので」
「それでもよ、本当に感謝してるんだから」
「そうですか、じゃあ素直に受け取っておきます」
「えぇ、そうして頂戴」
なんというか、こうも真剣に感謝を言われると気恥ずかしい気がする。
っと、そうだ、御影さんに協力してほしいんだった。
「それでですね、御影さんにお願いしたいことがあるんですけど……」
「魔物の根絶のことでしょう?私の脳科学者としての知識がどれぐらい通用するかはわからないけど、ぜひとも協力させて頂戴」
「え、そんなに即決していいんですか?結構大変なお願いだと思うんですけど」
「いいのよ、宇佐戯君には思愛ちゃんを助けてもらった恩ができちゃったし、それに前に必ず力になるって約束したしね」
協力のお願いをしようと思ったら、説明をする前に協力するといわれてしまった。
なんというかここまで即決されると大丈夫なのかと不安になってしまう。
「さて、これで話し合いも終わったわよね?それじゃあさっそくスーパー銭湯に行くわよ!」
「お~!」
「ま、マジで行くのかよ……」
シントリエはまぁまぁいやそうな顔をしているが、ここまで来たらもう行かないという選択肢はないと思う。
ということで御影さんの車を使ってスーパー銭湯へ向かい、そのまま風呂に入った。
そして、風呂から上がった後食事処で合流する。
「ふぅ、久しぶりに楽しく風呂に入れたわ……」
「私は逆に疲れたんだけど……、そういうところ昔と変わんないな」
「それは思愛ちゃんの見た目が全く変わってなかったから、思わず昔のころに戻ったみたいではしゃいじゃったのよ……」
「そういう千里も昔と全く見た目変わってねぇじゃねぇか」
「え?そうなんですか?」
シントリエの言う昔ってことは中学生ぐらいのころだろうが、そのころから御影さんの見た目は変わっていないらしい。
その話を聞いてまじまじと御影さんを見ると、隈の濃さのわりに結構肌は若々しいし、16歳といわれても納得できる容姿だと思った。
けど中学生の身長ではなくないか?
165cmぐらいはあるぞ?
「実は私中学生ぐらいのころから身長高かったのよね、まぁある時期を境に全くの伸びなくなったのだけど」
「へぇ~、そうなんですね」
「まぁ、変わらない分にはいいんじゃねぇか?」
「そうね、これ以上身長が伸びても困るだけだと思うし」
「あはは……」
これから先どんどん身長が縮むことが確定している俺としては何ともうらやましい会話だ。
そんなことを思っていると千里さんが話し出した。
「さて、折角の思愛ちゃんとの再会なんだし乾杯と行きましょうか」
「え、酒を飲むのか?」
「何言ってるのよ、私も思愛ちゃんももう20歳じゃない!」
「俺はまだ未成年だから……、というか車で来てるのに飲ませるわけないじゃないですか!?」
「あっ!?すっかり忘れてたわ!?」
「だ、大丈夫なのか御影さん……」
「千里ちゃんって、頭いいんだけど結構こういうぬけたところあるんだよな……」
なんか幸先が不安になってきたぞ……、本当に大丈夫なのか?
「けどせっかく仲間になったんだから、せっかくならそういう宴会的なことがしたいのよね……」
「仲間ですか?」
「そうよ!せっかく魔物の根絶をしようっていう仲間になったのにこのままだと親睦を深められないわ!」
仲間……確かにそうだ。
言われてみて気づいたけどこの3人は同じ目的を持った仲間なんだ。
じゃあ確かに親睦を深めないとな!
「そうだな、じゃあひとつ言いたいことあるから行っていいか?」
「おっ、何かな宇佐戯君!」
「仲間なら全員名前で呼び合わないか?これまで御影さんとシントリエって呼んでたから若干堅苦しい気がして」
「あぁ!確かにそうね、私はもちろん千里って呼んでもらっていいわよ!」
「ありがと、思愛もそれでいいか?」
「もう名前で呼んでるじゃねぇか、まぁ私もそれで構わねぇよ、宇佐戯」
「よし!」
思えば思愛から名前を呼ばれたことがない気がするし、なんというか名前で呼ばれるとうれしさがこみあげてくる気がした。
「それじゃあ、仲間としてこれからがんばるか!」
「もちろん!」
「あぁ」
その号令を皮切りに俺たちはどんどんと会話をし、親睦を深めていった。
小話
宇佐戯たちは結構大声で話しているが、それ以上に酒を飲んで大声で話している人も大勢いるので特に問題ない
1章のエピローグが終わったのでポイント乞食します。ポイントください。




