第25話 決着
向かってくるアクアスピアの穂先を弾き、そのまま斬りかかるが容易く避けられる。
それを何十回と繰り返す。
「あぁもう!そろそろ当たってくれないかな!」
「それは私のセリフだ!ことごとく私の攻撃を弾きやがって!」
そろそろ戦い始めて15分が経つ。
決着をつけるか、マナゼリーを飲まないと俺のマナが切れて負ける可能性が出てきた。
だがどっちをやるにしてもシントリエの隙がない。
空に逃げても大量のエアバレットが飛んでくるだろうし、それをかいくぐりながらマナゼリーを飲むことが俺にできるか?
正直言ってあまり自信がない。
......でもやらないと負けるのは俺だ。
やるだけやろう。
そう思い俺は飛行魔法で空へと逃げる。
「逃げんな!」
「ですよね~」
当然のように大量のエアバレットが飛んでくる。
なんでリアルで弾幕シューティングやってんだ俺と思いながらも気合で避け、マナゼリーを飲む。
「マナの補充完了!」
「じゃあそれ私ももらうぜ」
「え……!?」
エアバレットの後ろに隠れてたのか!?
しまった、3つ奪われた!?
残りのマナゼリーは5つ、これで消耗戦での勝ち筋は消えた。
もともと消耗勝ちをする気はなかったが、これで本当に真正面から勝つ必要が出てきた。
「ん、これ桃みたいな味するな」
「あぁ、マナは桃味らしくてな」
「そうか、じゃあ腹ごなしの運動と行こうぜ!」
「……そうだな!」
俺は飛行魔法で勢いをつけそのまま刀で斬りかかる。
もちろんシントリエはその攻撃を躱し、アクアスピアで反撃をする。
再びこれをループすることになり、お互いにイライラがたまりだす。
そんな中俺はふとある方法を思いついた。
俺は今回も飛行魔法で加速しつつ、刀で斬りかかる。
シントリエはその攻撃を体を反らして避けてしまうが、それに対しエアバレットで追撃する。
「ぐっ!」
「へぇ、これなら当たるのか」
どうやらようやくまともに攻撃を当てられたようだ。
エアバレットなので、そこまで大きなダメージに放っていないが、ダメージを与えられただけでも十分だ。
そう思い、再び攻撃に移ろうとしたが、シントリエの様子が妙だった。
どうやらシントリエのイライラがマックスになったようで、いきなりシントリエが大声を上げた。
「本当になんなんだよお前は!!!!」
「なにって、魔法少女ゼアだよ」
「そういう意味じゃねぇ!お前は何をしに来たんだって言ってんだよ!」
「話をしに来たって言っただろ」
どうもシントリエは苛立っているらしい。
頭に少し血を垂らしながら、迫真の顔で怒鳴ってくる。
「前の時からそうだ!あの時は千里ちゃんの声を使って!今回は昔の仲間の魔法を!」
「あ~……」
よくよく考えたらシントリエがキレて当然のことをしてるな俺……
シントリエ的には俺は捨てたはずの過去を、思い出させるようなことをしてくるうざいやつだろうし。
「そこまでしてお前は!何を聞かせたいんだ!!」
「俺はお前を助けたい」
「……は?」
シントリエの顔が何言ってんだこいつと言いたげなものへと変わった。
どうやら俺のこの発言はシントリエからすると想定外のものだったらしい。
俺はシントリエが呆けているのをいいことに話を続ける。
「お前の言う方法でも確かにほかの魔法少女を救えるかもしれない、けどそれじゃあ魔物という魔法少女が生まれなくてはいけない原因になった魔物は解決できてないだろ」
「それは私一人で……!」
「できるわけないだろ!ただでさえ魔物は年々増えていっている!それを一人で倒し続ける!?たとえマナの制限がなくてもいつかつぶれる!お前の心が死んでしまう!」
「っ!たとえそうなっても!わたしはっ!!」
「御影さんはどうする!」
「っ……!?」
御影さんの名前にシントリエは大きく動揺した。
やっぱりシントリエはまだ過去を捨てきれていないようだ。
「御影さんはお前のことを心配していた!お前を見つけたっていう電話にすぐに会おうとするぐらいには!お前は過去を捨てたかもしれない、けどほかの人もそうだと思うなよ!!!」
「っでも!それでも私は!」
「あぁ、納得しないだろうな」
「は......!?」
いきなり方向転換したような俺の言葉に、シントリエは大きな動揺を見せている。
ここだ、シントリエにこれを伝えるにはここしかない!
「俺は魔物を根絶したい」
「……な、何言って……」
「そうすればもう魔法少女が生まれる理由もなくなってお前の理想もかなうんじゃないか?」
「そんなこと私以上に不可能に決まって……!」
「俺はマナゼリーや固有魔法のコピーを実現した天才だぞ?魔物の根絶ぐらい成功させてやる!」
「……!」
もちろんそれとこれとは話が全然違うだろう。
けどもしかしたら本当にできるかもと思わせるぐらいの説得力はあるはずだ。
俺なら本当に魔物を根絶できるかもしれないと、少しでも思わせることができたなら俺の勝ちだ。
「本当にできるの……?そんな夢みたいなこと……?」
「できるまでやってみせる、それだけの覚悟はもうできてる。」
「そう……、じゃあ見せてみて、その覚悟を......!」
「あぁ……!」
シントリエがアクアスピアを持って走ってくる。
ここだ。
そう俺は思った。
突然俺の体が強く光る。
「なっ!?このタイミングで発光の魔法を!?」
「頭から抜けてただろ?」
発光の魔法によって目がつぶされたシントリエは、周囲のバリアを張って、俺の攻撃に備えている。
だから俺は今こそ必殺技を使うことを決めた。
俺は持っていた刀を投げ捨て口を開く。
「行くぜ必殺技!」
「……は?」
俺は変身用とは別のディスクを取り出し、ヘッドホン型変身ガジェットの左側に差し込む。
すると自動的に飛行の魔法によって飛び上がり、右足にソイルニードルの土が纏わりついたうえで、ファイアボールの火が宿った。
「え?なにそれ?」
「はぁぁぁぁぁ!!!」
「え、ちょ、まっ!?」
シントリエの目が回復して見えるようになったみたいだが、もうこの必殺技を止める暇はない。
重力と飛行魔法の2重の加速による高速の蹴りがシントリエに命中し、ついでにファイアボールにより爆発する。
「がはっ!?」
「……決まったな」
俺の必殺技を食らったシントリエは盛大に土煙を出しながら吹き飛ばされた。
死んではないが結構なダメージが入ったはずだ。
「本当……なんなんだよお前……いきなり必殺技とか言って出しやがって……」
「あれ?意外とまだ余裕?」
土煙の中から少しふらついているが普通に立っているシントリエが出てきた。
まだ戦う気があるのかと思い、戦闘態勢をとる。
「いや、普通に戦闘不能だよ、もうこれ以上戦う気はねぇから安心しろ」
「そ、そうか、よかった……」
必殺技は大量にマナを使うので、変身ガジェットに必殺技用のマナゼリーを入れて、それに集まったマナで発動させている。
そのためマナが集まるまでしばらく必殺技は出せないので、これ以上戦う必要がないのはこっちとしても助かる。
「それで?本当に魔物を根絶する気か?」
「……あぁ、覚悟は見せたはずだ」
「そうか……、分かったよ、私の作戦はもうあきらめる」
「……よかった~」
思わず俺の口から安堵の言葉が出る。
ここまで覚悟決そんなめたのに成功してなかったらマジでそうしようかと......
「その代わり条件がある」
「え?」
なんかシントリエに怖いこと言われた。
条件?
何それ怖いからやめてくれない?
俺がシントリエの言葉に戦々恐々としていると、シントリエが口を開く。
「私もその魔物の根絶に協力させてくれ」
……え?
「なんだそんなこと?普通に最初からそのつもりだったんだけど」
「え?そうなのか?」
「いや、シントリエを助けたいからこの提案してるのに、一緒にやる気がないわけないじゃん」
「……確かにそうだな」
なんかびくびくして損したな……
「それじゃあ、一緒に魔物の根絶に行こうか」
「あぁ、......それで具体的には何をするんだ?」
「実はまだ何も考えてないって言ったら怒る?」
「お前マジか……」
覚悟だけはあったが、どうやって魔物を根絶するかなんて考えているわけがなかった。
だってシントリエのことで頭いっぱいだったし。
「まぁとりあえず御影さんに手伝いをお願いしに行こうか」
「え!?今から千里ちゃんに会いに行くのか!?」
「お前の暴走を止められたことも報告しなきゃだしな」
「はぁ……、まぁそれはそうだよなぁ......、どうやって謝ろう……」
「まぁ、がんば!」
「なんでそんな他人事なんだよ!お前にも考えてもらうからな!」
「えぇ~、全くしょうがないな~」
二人の少女はそんなことを話しながら研究所跡地を出ていく。
その表情はところどころ怪我をしているが間違いなく笑顔であった。
今回の使用魔法紹介
魔法名
発光
攻撃力E
スピードA
使いやすさE
射程距離E
汎用性E
魔力消費 3
概要
ただ光るだけ、それ以上でも以下でもない。不意打ちの目つぶしか、懐中電灯の代わりぐらいにしか使い道は一切ない、にもかかわらず魔物に目つぶしは効かないので意味がない。かなり弱い外れともいえる魔法である。
今回の必殺技紹介
必殺技名
ファイアストライク
攻撃力C
スピードC
使いやすさC
射程距離C
汎用性C
概要
右足に火を宿したキックの必殺技で、ファイアボール、ソイルニードル、飛行の3つの魔法を混合して作られている。
ただソイルニードルは足をファイアボールから守るために使われているだけなのでそれ以上の意味はない。
魔法少女に命中しても気絶で済むぐらいの威力に調整されているため、見た目の派手さのわりにそこまで威力は高くない。
小話
宇佐戯が変身解除し忘れていることに気が付いたのは森を抜けるちょっと前ぐらい
シントリエが仲間に加わったのでポイント乞食します。ポイントください。




