第9話:「残業代は出ますか?」
▲ 始まりの町・大通り(朝・快晴)
快晴の空の下、ヤメタロウ(伊間柄 八女太郎)が前世の「納期直前の決起集会」のときのような、狂気すら孕んだギラギラした目で、5人のヒロインたちの前に立っている。
ヤメタロウの足元には、すっかり影を踏むのが定位置になったココ。
ヤメタロウの周囲10メートルを律儀に往復ガードする青髪のセナ。
そして、その横で「有休消化」と書いた手作りのフラッグを持つギャル・リカちん。
ヤメタロウ:
「いいかお前ら! 現代への帰還ボタン(退職届)のロックを解除するには、魔王城のメインサーバーに直接アクセスするしかない。……つまり、これより我がパーティーは、魔王討伐という名の『最終デスマーチ(短期集中残業)』に突入する!!」
メル(ピンク髪):
「了解。魔王も、物理(杖)でデバッグして定時退社を勝ち取ります」(杖をバットのように構える)
ヤメタロウ:
「メル、お前のその『杖ダマンテ』の攻撃力は我が社の……いや、我がパーティーの最大火力だ。存分に暴れてくれ。だがな、魔王城への道中には、無数のセキュリティ(魔物の大群)が配置されている。普通に戦っては納期(実家への帰還)に間に合わん」
メガネ魔法使い(NPC):
「ええ、最短ルートでも徒歩で3週間はかかりますね」
ヤメタロウ:
「フッ、前世で『納期まであと3日なのに、仕様書が白紙だった修羅場』を乗り越えてきたこの俺を舐めるなよ。……こんな時のために、前世の社畜チートスキルを使って、この世界の『移動速度の計算式』をハッキング(最適化)しておいた!!」
リカちん(ギャル):
「え、マジ待って? ヤメタロウ、移動スピードまでチートデバッグした感じ? マジ有能すぎてウケる〜☆」
ヤメタロウ:
「そうだ! ノア、お前は『座標固定バグ』のせいで1歩も動けない代わりに、俺が抱えて移動する時の『重量の判定』がバグでマイナス(気球並みに軽い)になっている。……これを利用する!!」
ノア(白髪聖女):
「えっ、私のポンコツ無敵バグを、また何か別のシステムに組み込むのですか……?(空中浮遊したまま震える)」
ヤメタロウ:
「ノア、お前を俺が小脇に抱え(重量マイナス)、さらに俺の周囲を時速100キロで爆走しているセナの『周回ガードの遠心力』のベクトルを、魔王城の方向(北)へと強引にリダイレクト(転送)処理する!!」
ヤメタロウが空中のキーを「ッターン!」と叩く!
【 エラー:移動ベクトルの不正な上書きを検知 】
【 確率1/2:ランダムなメンバーの防具耐久値が全損(衣服崩壊)します 】
ヤメタロウ:
「構うか! これぞ社畜の『徹夜のブースト(特急進行)』だ!! 飛ぶぞお前らァァァ!!」
パシィィィン、と世界に綺麗な電子音が響いた瞬間、セナの爆速の遠心力とノアのマイナス重量がガチッと噛み合い、ヤメタロウたち全員が「時速300キロの超高速弾丸」となって、魔王城のある北の空へと大気圏を突き抜けるような勢いでカッ飛んでいった!
全員:
「「「「「ひゃあああああああ!!!!!(無表情のメルを除く)」」」」」
ノア:
「勇者様ぁぁぁ! 飛んだ衝撃のせいで……私とセナちゃんの服が……やっぱり1/2で弾け飛んで……上空1万メートルでバカンス仕様にぃぃぃ(空中フリーズのまま爆走)」
セナ:
「問題ありませんヤメタロウ様! 半裸のまま、時速300キロの肉体の盾として機能いたします!!」
リカちん:
「ギャハハ! 上空のグラビアマジ映え〜☆ ヤメタロウ、このまま魔王城に直撃(ノーアポ訪問)とかマジ社畜の極みじゃん☆」
ヤメタロウ:
「ノーアポ突撃じゃねえよ! 最短ルートでの『飛び込み営業(魔王討伐)』だァァァァーーー!!!」




