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第97話 概念の改変と誕生する最強パーティー

【ファルスーノルン過去:新星歴4817年10月26日】



恐れていた事態が発生した。


アグアニードがおそらく『眠っていた初期型』と遭遇し、恐ろしさに心が折れてしまっていた。


今はモンスレアナの【安定】で、何とかアグアニードは落ち着いたが。



「皆、どうやら本格的にやばい奴が出てきたようだ。アグが遭遇し、眷族が一人食われた」


俺の言葉に全員の視線がアグアニードに注がれる。

彼は静かに、ゆっくりと口を開いた。


「…あいつは…ノアーナ様みたいなスライムだった………魔法が…効かなかった」


いつも明るいアグアニードの低いテンションに、皆がごくりとつばを飲み込む。


「この前アーちゃんが言ったように……近くにいても…吸収はされなかった…けど……関係ない………直接食われてしまう……」


アグアニードの目に涙が浮かぶ。

体は震えていた。



「……強いの?………そいつ」


茜が問いかける。


「…………存在値は12,000くらいだった………けど……勝てる気がしなかった」


「仕方ないですわ。アグ、元気出して。あんたが悪いんじゃない。仕方なかったのですわ――あーし達ではノアーナ様は殺せない」


大分体調の戻ったアースノートは、真っすぐに茜を見つめる。


「茜、あなたにしか頼めない。初期型だとノアーナ様は吸収されてしまう。アグアニードが遭遇したおかげであーしは今あいつを捉えた。今あいつはモレイスト地下大宮殿の最奥にいる」


茜の顔に緊張が走る。


「残念だけど、あーしたちは行っても意味がない。琥珀を纏っている茜以外はただの餌だ。漆黒の因子を持ってしまったネルもダメ。あなたしかいないの」


緊迫した雰囲気の中、モンスレアナが口を開く。


「ノアーナ様、セリレの呪縛を解いていただけませんか?あれならきっと力になれます。あなた様の因子を持っていない強者です…茜一人で行かせるのは………実力は知っていますが不安ですもの」


続いてエリスラーナも俺に視線を向けた。


「ラスターも行かせる」


そう言ってエリスラーナは装飾のゴテゴテした杖を取り出した。


「ノアーナ様。これも………」


懐かしい杖だ。

そうか、あいつか。


「………ギルアデスおじ様も……連れていって」


ダラスリニアも提案してくれた。



※※※※※



俺は腕を組み思考を巡らす。


(…時間を与えれば――おそらく星が滅びる)


「…茜」

「はい」


俺は茜を見つめた。

決意の込めた美しい瞳をまっすぐ俺に向けていた。


「お前を失いたくない。だが、放置すれば星が滅びる。すまない、頼む」

「任せてよ。やっとみんなに恩返しができる」


俺は皆を見回した。

決意を込めて。


「よし、セリレの呪縛を解く。…………OKだ。他の皆をここに集めてくれ。俺はもう一度コアへ行く。きっと今度は付与できる気がするんだ」


ネルが不安げな表情をしていたが、俺はかまわず転移した。

同時に皆が忙しく動き出す。


このままでは――俺たちの愛する世界、終わってしまう。

皆、承知していたんだ。



※※※※※



俺は一人クリスタルを見つめ、この前の茜が来た時のことを想っていた。


茜が来たとき、クリスタルは揺らいだ。

慌てて戻ってしまいあれから来ていなかったが………


「…揺らいでいる」


俺は心を込めて、茜のことを想いながら付与を始める。


俺からあふれ出る緑を纏った琥珀の魔力がクリスタルを包む。

激しく弾かれるが…


――クリスタルの揺らぎはますます強くなっていく。


「くっ、俺の、いや俺たちの絆を、舐めるなよ!!」


俺にやさしく微笑む茜の顔を想い浮かベながら。

そして心からの俺の想い――


俺は渾身の力を込めてさらに魔力を放出した。


激しく弾きあう魔力が、徐々に浸透を始める。


「うう、うおおおおおおおおおおおおおおっっ!!」



――まばゆい光があふれ出す。




俺は力尽き、倒れた。



漆黒の周りを優しく守るように。


――琥珀がまとったクリスタルを見ながら。



※※※※※



「フン、我を呼びつけおって。ツマラヌ用ではなかろうな?魔王よ。………なんじゃ?えらく弱くなりおって。ククク、積年の恨み晴らせそうじゃな?」


威圧を放つセリレの頭をモンスレアナがポカリとはたく。


「セリレ、もう遊んであげないわよ?」

「うっ!?………冗談じゃ……怒らないでくれ」


風の大精霊龍セリレ・リレリアルノは本来性別を持たない。

茜とともに行くため今は20歳くらいの女性に擬態していた。


水色の髪は肩口で揃えられ、同じ色の眉は細く美しい。

煌めく金色の瞳は大きめの整った目の中で輝いている。


青色のうっすら輝く着物のような形状のものを纏い、腰を緑の帯で引き締めていた。


存在値は43,328。

メチャクチャ強い美人さんだ。


「ありがとうセリレ。かなり危険だとは思う………強制送還を組み込んだ。いざとなったら逃げてくれ」


「フン、なんじゃ?イヤにサービスが良いのう………そんなにか?」

「ああ、放っておけば星が滅びる」


「………そこな娘でも、勝てないのか?」


ちらりと茜を見るセリレ。


「いや。…彼女が勝てなければそこでゲームオーバーだ。純粋な力なら負けない」


「ふむ………わかった。協力しよう」

「ああ、助かる。制限はもう撤廃した。お前を恐れていたんだ。すまなかった」


「フン。まあ良いわ……暇つぶしじゃ。お前の為ではない。モンスがどうしてもというから来てやったのじゃ。礼ならモンスに言え」


そっぽを向くセリレ。


(ハハッ。可愛いところあるじゃないか)


「ノアーナ様。微力の身ですが私の力、いかようにもお使いください」


闇の神眷族第1席のギルアデスが膝をつき俺に口を開いた。

存在値は5,192。


確かにこの中では低いが、ギルアデスには魔眼がある。


「ありがとうギルアデス。先ほども言ったが危険だ。お前の魔眼で皆を守ってやってくれ。それからお前の長い経験は必ず皆を救うだろう。頼んだぞ」


驚愕し、慄いてしまう。


「はっ、かしこまりました」


魔眼の力は誰にも言っていない。

ダラスリニアお嬢様ですら知らないはずだ。


やはり魔王は特別だ。

そう思い、ギルアデスは御前を退いた。


「ノアーナ様久しぶり!俺も力貸すよ」

「ラスター助かる」


「エリスに聞いた。俺たちもガルンシア島では何回か戦った。あれはやばいね」

「ああ、力を貸してくれ」


「……やっと恩返しができる」



ここに俺と神々を除いた最強のパーティーが誕生した。



さあ、反撃と行こうじゃないか。


確かに絶望だ。

だが――


(まだ、抗える)


俺はそう、心から思っていたんだ。


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