第88話 紡がれる真の絆
気が付くと皆が立ち上がり、俺に視線を向けていた。
俺は崩れるかのように、椅子に腰を落として茫然としてしまう。
周りには先ほどの光の残滓が、キラキラと徐々に消えていくところだった。
「?!…いま、のは…?!…」
茫然と呟く俺。
ムクがすっと立ち上がり真直ぐに視線を向け、おもむろに跪き口を開いた。
「私は……執事長失格ですな……こんなにも主が苦しんでいたというのに…」
ミナトは立ち尽くしポロポロと泣いている。
俺に親愛の瞳を向けながら。
ロロンとコロンが口を開く。
「ごめんなさい、ごめんなさい…信じるって…いった…のに…」
「コクコク…ぐすっ…ひっく…」
カンジーロウが跪く。
「俺は情けないです。命の恩人の言葉を……」
ミュールスが近づいてきて俺の手を取る。
「光喜様……ごめんなさい…」
カリンもミュールスの上から手を乗せる
「…………光喜様…」
皆から伝わる俺を思いやる気持ち。
心を満たしていく優しい波動。
その様子に俺の視界が滲んでゆく…
「ぐすっ…み、みんな…ひっ…ぐすっ……」
「うおおおおー、おれは、なんて、うおお――――」
涙をボロボロ流しながら、雄たけびを上げるナハムザート。
ノニイとエルマの可愛い手が、俺の両肩を優しく触れた。
「光喜様……光喜様……お許しください…」
「……ぐすっ…こう…き……さま…うああ…」
俺はたまらずに大泣きしたんだ。
――姉ちゃんが死んだときみたいに…
でも。
…あの時とは違う………
嬉しくて………
泣いたんだ……
そして。
優しい想いを溢れさせながら。
ネルの心が落ち着く香りに。
柔らかい、まるで太陽のようなぬくもりに。
俺は包まれた。
抱き着いたネルの美しい顔。
可愛く魅力的な唇が静かに動く。
「――わたくしは愚かでした。もう絶対に何があっても…一緒です…」
※※※※※
――ああ。
俺は本当に…帰ってきたんだ。
今度こそみんなを…
いや、皆で一緒に。
俺たちで…守るんだ!
突如として。
俺たちを金色に輝く暖かな光が皆の中からあふれ出す。
それが一つになって煌々と輝きだした。
「「「「「「「「「「「「!!!!!!!」」」」」」」」」」」」
――ああ、そうか。
みんなと…
つながったんだ……
想いが。
感情が。
今までの経験が。
混ざり合い溶け合い――魂に共有されていた。
繋がる12人の心。
紡がれた真の絆。
俺たちにかけられていた、虚実と記憶障害が完全に解除されていた。
※※※※※
俺たちはまず初めに、かつての仲間たちに黙祷を捧げた。
そしてあまりに膨大な思い出に、しばらく別れそれぞれ整理するために休憩をとった。
――そして2刻後。
※※※※※
愛する仲間たちが執務室に集合する。
経験が共有されたことで、俺たちはこれから行うことを確かめ合う。
全てを取り戻し、そして俺の願い――いや違う。
皆の願いを果たすために。
※※※※※
「方向性を絞った虚実の権能の正常化」
「光神ルースミールの真核の奪還」
「茜の復活」
「神々との共有」
「もう一人の俺との対峙」
共有されたこれからの行動の礎。
それを行う事、失われた仲間へのせめてもの供養。
俺は胸を張り、改めて大切な家族を見渡した。
「今からこれを、戻った俺に気づいた『もう一人の俺』が力を完全に取り戻す前に行う必要がある。まあ、どれも俺が動かないといけない内容ばかりだが、それでも皆に協力してほしい」
「光喜様、違いますよ。わたくしは一緒です。そして…」
「ああ、そうだな。一番最後の対決の時には全員の力が必要だ」
皆の表情が明るい。
とても世界の危機とは思えないほどに。
「まずは神々との連携が先だな。ネル、一緒に行こう。ロロンとコロン、ムクも来てくれ。お前らに力を与えたい」
静かに頷くムク。
上気させ興奮気味のロロンとコロン。
「ナハムザート、カンジーロウとミュールス、エルマ、カリン、ノニイを連れて『超古代迷宮ラーナルナ』で限界まで鍛えてきてくれ。強さがいる。リナーリアは後方支援だ。簡易ハウスを持って行って旨い飯と回復を頼んだ」
「「「はっ!」」」
「「「「承知しました」」」」
「うん。頑張る」「こくこく」
「うん分かった!」
「光喜様。決着つけよう。今度こそね!」
皆が生き生きと動き出そうとしている。
雰囲気は最高潮だ。
(っ!?―――あっ!?)
――一つ言い忘れたことがあった。
「あーそのなんだ…共有したからわかると思うが、女性陣は夜には全員集合だ」
「…!!??!!!!!!!!」
「力を取り戻したい」
女性陣全員顔真っ赤です。
はい。
なんか締まらんね。
だけど、これこそが俺たちグースワースだ。
もう、悲しい涙はいらない。
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