51話
雉子島家の旅行の日が来た。
あたし、姫輝、悠橙先輩の三人で電車を乗り継ぎ、JR軽井沢駅へと辿り着いた。
(ここが軽井沢か~。初めて来た! どことなく空気が気品漂い美味しい気がする!)
まあ、気のせいだろう。
別荘があるのは、旧軽井沢とのこと。とりあえず、バス停でバスが来るのを待つ。その間、雑談。
「とりあえず、小腹が空いてきたし、旧軽井沢停留所で降りたら、姫輝の好きな醤油味焼き団子でも食べようか」
「わ~! 嬉しい!」
表向きは笑顔で話すあたし。軽井沢自体初めて来たので食べたことはない。楽しみのあまり、内面のあたしも笑顔である。
「そ、そうなんですね……楽しみです」
あたしに反して、外見梨琴で中身姫輝の歯切れが悪い。食いしん坊がバレたせいか?
しばらくすると、バスが来た。三人で乗り込み、旧軽井沢へと向かう。
バスの中、夏休みなので当然他の観光客も来ており賑わっている。
席が三人固まって座れない。悠橙先輩は気を遣ってくれて、一人離れた席へと座った。
そのおかげで、あたしと姫輝は一緒に座れた。
聞いていない情報の醤油味焼き団子の話を聞いておこうと、小声で姫輝に尋ねる。
「ねえ、醤油味焼き団子が好きって話を聞いてなかったんだけど? 辻褄合わせのために味とか教えてよ」
「……」
神妙な表情で考え事をしている姫輝。
あたしは姫輝の前で手を振る。
「お~い?」
「……私が好きなのは、焼き団子ではなく、フレンチトーストですわ……」
「ふ~ん……」
(フレンチトーストか……お嬢様っぽい姫輝には焼き団子より似合いそうだな……って、はっ?)
あたしは姫輝の様子のおかしさに気づいた。
「え? え? ちょっと待って。どういうこと? 悠橙先輩は姫輝が焼き団子を好きって言ったよ?」
ついつい声のボリュームが少し大きめになってしまった。慌てて後ろの方に座っている悠橙先輩の方へと振り返る。
窓の外を見ていて、こちらが騒いでいることに気づいていないようだ。まあ、他の観光客も騒いでいるしね。
声のボリュームを落として、姫輝に話しかける。
「……悠橙先輩が勘違いしているとか?」
その質問に、姫輝は首を横に振った。
「ありえませんわ。そもそも私は軽井沢に来て、焼き団子自体を食べたことがありませんから」
「……気づかれてる?」
「鎌をかけられたみたいですね……」
「半信半疑だったのが、確定しちゃったってこと!? どうするの? 事情を話しちゃう?」
姫輝は顎に手を添え考えている。
開口一番、とんでもないことを口にした。
「梨琴さんが信用を失って嫌われる覚悟があるなら……」
「嫌だよ!!」
「ですよね。私もに~にに嫌われたくありませんから。しばらく様子を見ましょう。この後、上手くやり過ごせば『気のせいか』で済むかもしれませんし……梨琴さんはなるべく大人しくしていて下さい。いくらこの前、カフェで軽井沢旅行の話をしたからと言って、細かいところまで話せていませんし、先ほどのように鎌をかけられる可能性があります」
「わ、わかった」
楽しみにしていた軽井沢旅行に暗雲が立ち込め、嵐が来る予感がした。
いつも読んで頂きありがとうございます。
進むにつれて、実力不足が露呈しております。
段々と話がぐだぐだになってきました(汗)。
もっとプロット(設定)を練るべきでした。
こんな作者ですが、応援や感想を頂けると嬉しいです。




