49話
家の中に入ると、悠橙先輩から逃げるように自室へと飛び込んだ。
浴衣を脱ぎ捨て、普段着に着替えて、ベッドに仰向けになる。
「はぁ~……」
深いため息を吐いた。
今後、悠橙先輩とどういう顔をして接していけばいいのだろう?
おもむろにスマホを手に取り、姫輝にLINEを送る。
『もう着いた?』
『ええ、今、梨琴さんの部屋にいます』
梨琴さんの部屋。そう言われてなんか感心してしまう。ちゃんと分別ができているのだと。あたしは姫輝の部屋を自室と呼んでいる。まあ、間違ったことではないからいいよね。
続けて悩みを相談する。
『悠橙先輩が疑っているみたいだし、今後、どう接したらいいのか分からないよ。どうしよう!』
メッセージを送ってから、既読はついているのに、返事がすぐに帰ってこない。
姫輝もどうしたらいいか分からないのだろう。そう思っていたら、スマホがピロンと音を立てた。
『どうしようも何も、今まで通りしかないんじゃありません? ずばり言われたら素直に答えるべきでしょうけど、それまでは気にしなくていいと思います。私はに~にから信頼されていると自負していますわ』
うんまあ、信頼が厚いならいいよね。
ただ、それは姫輝と悠橙先輩との関係であって、あたし、梨琴としての信頼があるかどうかが疑わしい。
ポチポチとスマホを操作し、その旨を伝える。
『それは姫輝と悠橙先輩は信頼関係あるだろうけど、あたしは家族ではないから、信頼関係はまだ築かれていないでしょ?』
すると、姫輝から意外なメッセージが飛んでくる。
『に~には、チャラい男ではありませんよ? 女の子の手をそんな簡単に握る人ではないです! 実妹である私だって手を繋いだことはありません。まあ、未就学児くらいの時には手を引いて貰っていましたが、小学生に上がってからはそういうことは自然となくなりました』
なるほど……?
『え? じゃあ、手を繋いだ意味は? 余計におかしくない?』
『……私であって私でないということに気づいているのかもしれませんね……』
『……話が振り出しに戻ってないかい? じゃあ、どうすればいいのさ?』
『ですから、そのまま気にせずですよ』
『気にするなって、気になるじゃん!』
『まあ、なんとかなりますよ。あ、お風呂に入れって言われたので、おやすみなさい』
「ちょっ! 待て待て待て! おやすみなさいじゃないよ!」
スマホに訴えかけるも、当然、姫輝からの返事は返ってこない。
姫輝の言うことも分からなくもないが、自分で考えるしかなさそうだ。
いつも読んで頂きありがとうございます。
この作品に限らずですが、大事なシーンになると、内容がぐだぐだになるという……気のせいであってほしいです……。
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