46話
「こんばんは」
不貞腐れつつも、あたしたちに挨拶をしてくる姫輝。
嫉妬故に、あたしと悠橙先輩の手繋ぎを、チョップで切ったな? ブラコンが!
まあ、それはそれで『梨琴が嫉妬している感』が出ていいか。
『好きです!』みたいな気持ちを溢れ出しておくのも大事であろう。
告白は当然あたしがするけどね。元に戻れてからだけど……。
「こんばんは」
悠橙先輩が、姫輝に挨拶をしている。
あたしはと言うと、挨拶そっちのけで姫輝の浴衣に視線を向ける。
「梨琴! 浴衣、とても似合ってるよ! ねえ、お兄様?」
あたしの可愛さをアプローチする作戦に出た。売れる時に売り込んでおく。
「そ、そうですか?」
もじもじと照れている姫輝。いや、おまえは照れなくていい。悠橙先輩が照れてくれ。
「そうだね。梨琴ちゃん、とても似合っているよ」
屈託のない笑顔で頬を赤く染めている。そんな表情をされたら、あたしの方がデレデレ顔になって熱を帯びてくる。とても美味しい表情を頂きました。サイコー。
「それじゃあ、会場に行こうか」
再び、あたしの手をとる悠橙先輩。
疑問に思い、隣から顔を見上げてみる。心なしか表情がいつもと違う。どことなく緊張感が漂っているように見える。
(それにしても、梨琴である姫輝の前でも手を繋ぐのか? 悠橙先輩を今までストーカーの如く見ていたけど、学校で姫輝と手を繋いでいたことを見たことがない。家でも姫輝とこんなにベタベタしていた記憶はない。急にどうしたのだろう? まさか、『梨琴に可愛い妹を取られる!』と思ってシスコンを拗らせてしまったのか? これは由々しき問題だ)
不安げな眼差しで見つめていたあたしに気づいた。
「ん? どうしたの?」
「い、いや、別に……」
慌てて顔を反対側に背けた。
心が動揺している。先ほどとは違い、不安で胸が締め付けられる。
もし仮に、元に戻れたとして告白しても、「妹が大事だから」と断られてしまうのではないだろうか……。
あたしは心ここにあらずの状態で手を引かれるまま歩いていたら、気づいた時には花火大会の会場についていた。
いつも読んで頂きありがとうございます。
恋愛トラブルらしさを発生させてみました。
今までは入れ替わりトラブルでしたからね。
ある意味、ここも入れ替わりトラブル?
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