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入れ替わりで激やば!  作者: 藤谷 葵
第五章:好きな人と夏祭りとかヤバい

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41話

 伊豆旅行が終わり、しばらくぶりの姫輝との勉強会。


 理由はあたし……いや、正確に言うと、姫輝が補習を受ける羽目になり、あたしに対する信用が低下したためである。

 つまるところ、『宿題をちゃんとやらないのではないだろうか』という、疑惑の目が姫輝から向けられているからである。


 場所はあたしが今現在住んでいる、姫輝の家。

 「勉強をするなら、場合によっては、に~にに聞けるから」という姫輝の提案である。


 その提案に、笑みをこらえながら同意した。鬼姫輝モードになっているので、流石のあたしでも素直には喜べない。


 全てにおいて地獄を感じるよりも、少しの天国気分を味わってもいいのではないか? 蜘蛛の糸のお話のように。まあ、あれは結局、地獄に落ちるのだが……あたしも勉強地獄という点では同じか。


 自室で悠橙先輩に、手取り足取り勉強を教わっていることを想像して、口からよだれを垂らしつつ、「ぐへへ……」と妄想に耽っていると、インターホンの鳴る音が聞こえてきた。


 よだれを袖で拭い、部屋から飛び出し足早に階段を駆け下りる。

 姫輝の両親は仕事なので不在だが、もちろん悠橙先輩はご在宅である。姫輝が悠橙先輩に見られる前に、恒例の服装チェック!


 インターホン越しに、訪問者を確認して、玄関の扉を開けて出迎える。

 特に問題なさそうな格好なので、ほっと胸をなでおろした。


「……おはようございます……下心が透けて見えていますわよ……」


 その言葉に、あたしの身体は強張る。


「し、下心じゃないもん! 上心だもん!」


 姫輝はため息を吐き、奥にいるに~にに聞こえるように、「お邪魔します」と挨拶をして、家に上がった。


 姫輝を先に部屋に行かせて、あたしは飲み物を二人分入れる。

 部屋に持っていき、ローテーブルの上に置いた。


 姫輝は白いタンスの上に飾ってある、テディベアのぬいぐるみを見つめると、ジト目で一言。


「梨琴さんは楽しい旅行だったようですわね。私は楽しくない補習を受けていましたが……」


 姫輝がチクりチクりと、棘のある言葉を投げかけてくる。あたしはわざとらしい作り笑いで、姫輝を宥める。


「あ、あははは。ひ、姫輝とも一緒に、姫輝の別荘に行くんでしょ?」

「それはそうですけど、それとこれとは話が違いますわ」


 姫輝は頬をぷく~っと膨らませる。


「まあまあ。姫輝と行く旅行もあたしは楽しみにしているよ」


 その言葉に姫輝は呆れ顔になる。


「いえ、そういう話ではないんですが……赤点を取らないで下さいと言う話です」

「そ、それでも、今はあたしが赤点を取っても、あたしが補習を受ける羽目になるだけじゃん」


 そう言うと、姫輝は般若のような表情になり、あたしの頭に両手のこぶしをぐりぐりと押し付ける。


「入れ替わりが戻った場合を考えていないのですか?」

「ごめんなさい! ごめんなさい! すみません! すみません!」


 涙目になりつつ、拷問からの解放を求めた。


 早速、「二度とこうならないように!」と姫輝は強調した言葉を放ち、それを合図に勉強を開始する。

 室内は静寂し、時計の針の音と、シャーペンの芯がノートを走る音だけが聞こえる。


 ……まあ、赤点常習犯なので、集中力はすぐに切れる。

 飲み物を手に取り、ストローを啜る。視線を姫輝に向けると、ふと気になる。「どこら辺を勉強しているのだろう?」と。


「姫輝は今、どこの所を勉強しているの? 二組は五組より進んでいたよね? 二組の方の予習?」


 すると姫輝は睨みつけてくる。


「……万全を期すために、五組の復習ですわ」


 あたしは蛇に睨まれたカエルのように、動けなくなる。なんとかカエルのように飛び跳ねて、助けを呼ぶことを試みる。


「そ……そろそろ、に~にを呼ぼうか?」

「まだ、早いですわ。文句は言い足らないですから」

「わ、わかった! に~にを呼んでくるね!」

「あっ! ちょ、ちょっと?」


 制止する声を聞き流し、姫輝の攻撃から防御壁となってくれる悠橙先輩を呼びに行った。

いつも読んで頂きありがとうございます。


今回、初めて『感情類語辞典』を推敲時に使用しました。

持っていたけど、ずっと使わずにいました。

理由は使えなかったからです。

最近、「ひょっとして、こう使えばいいのか?」と気づき、試してみた次第です。

『感情類語辞典』に限らず、『語彙力系辞典』は全部同じような使い方で使えそうな?

使えなかったアイテムが使えるようになり、少し成長を感じました。

問題は、初稿の段階の書き方に問題があって、使いづらさがあるというのが課題となりましたが……。


まだまだ未熟ですが、応援や感想を頂けると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく拝読させて頂いています。 あたしの頭に両手のこぶしをぐりぐりと押し付ける。 頭にをこめかみにした方が良い様な? 姫輝と梨琴のお土産って合っていますか? (確か外見が梨琴の方にテディベ…
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