36話
運動をして、いい汗かいたので、温泉に向かうことにした。
湯船に浸かり、四人窓の外を見るような感じで並び、ぼへ~っとしていると、陶原さんが、声をかけてきた。
「姫輝さんって、今まで孤高で冷たい印象だったけど、そうでもないんだね~。今日一日一緒に過ごしてそう思ったよ」
孤高で冷たい印象か……どちらかというと、根暗なボッチの間違えじゃないか?
姫輝は不器用そうだしな。友達とか作ろうとすると『あうあう』と呻いて戸惑う姫輝が想像されてしまう。
いや待てよ? あたしがそう思っているだけで、姫輝は社交性はあるのか? 実際、夏休みにバイトを経験したいと言い出したし……。
そこまで考えて、今日の自分の行いを振り返る。
(あれ? こんなに友達とまったりした感じになってよかったのか?)
元に戻った時、姫輝が対応できるのであろうか? とりあえず今回の旅行の出来事は、きちんと報連相をするとして、元に戻った姫輝がどこまで友達と仲良くできるのだろう。また根暗なボッチ……いや、孤高の冷たい人にならないか?
(まあ、姫輝ならなんとかなるだろう)
あたしは湯船のお湯をざぶりと顔にかけて、勝手にその考えを水……いや、お湯に流した。
お風呂から上がり、服に着替える。
ここで瓶牛乳が欲しいところである。腰に手をあて、くいっと飲みたい。
だが、銭湯と違い、ここは保養所なので、そのようなものはない。残念だが諦めざる負えない。
あたしは「こういうお風呂から上がった後は瓶牛乳を飲みたいよね」と同意を求めるような視線で他の三人に視線を向けると、恵野さんが一人で腰に手をあてて、瓶牛乳を飲んでいる。
「はぁ? ちょっ! 恵野さん? なんで瓶牛乳を飲んでいるの!?」
あたしの質問に、恵野さんは首を傾げる。
「……さっき購入して用意しておいたからだけど……」
お互いに見つめあい、しばし時間が止まる。
あたしは我に返ると開口一言。
「いやいや、いつの間に!? それにここで牛乳飲んだらだめじゃなくて!?」
「こぼさないから平気」
そして、ぐびぐびと再び牛乳を飲み始める。恵野さんの喉がごくごくと鳴る音で、あたしも唾をごくりと飲み込む。
恵野さんを窘めたのは、僻みじゃないよ? ここは飲食禁止だから注意しただけだよ? 僻みなんて六割程度しかない。
あたしは、自分の発言がおかしくないよね? という同意を求めるように、比那田さんと陶原さんの顔を見る。
比那田さんはため息を吐き、陶原さんは苦笑いしている。
(恵野さんの日常なんだな~)
などと思っていると、恵野さんは飲み終えるとゲプと息を吐いた。
それが合図かのように、あたしたちは脱衣所から廊下へと出ていく。
部屋に戻ると恵野さんは牛乳瓶を洗って干している。
「……その牛乳瓶、どうするの?」
「……置いていく」
置いていくのは倫理的に……いいのか? 保養所で買えるビールの瓶とかはそのまま置いて行っているだろうし。いや、だが持ち込みの牛乳瓶はいいのか?
悩んでいると、夕食のアナウンスが鳴ったので、あたしたちは食堂へと向かった。
いつも読んで頂きありがとうございます。
久しぶりの更新です。まあ、ストック分を出しただけですが……。
※今現在、53話まで書き終わっている。
久しぶりの更新に踏み切ったのは、再び、作業が進み始めたことが理由です。
※2026年8月15日から少しずつですが、創作の再開。
ドライアイは眼科で貰った目薬を差してますし、pcの画面なら見れるようになりました。
スマホや紙媒体の本を読むと痛くなりますが……。
そして、持病?によるモチベーションの低下。
こちらは私なりに必死に考えました。
※AIと一緒に
その結果、『創作による作業療法』を行うという流れになりました。
私の病気や性格に合ったやり方を探しました。
まだ試験的ではありますが……。
この作品の投稿はまだまだ続きますが、執筆の進捗としては終わりが見えてきたので、ラストスパートという感じです。
まあ、無理しない程度に頑張ります。
こんな作者ですが、応援としてちょっとした感想でも頂けたらと思います。




