32話
夕食後、ベッドに寝転がりながら、姫輝にメールを送る。
比那田さんたちと旅行に行く件である。
速攻、スマホの呼び出し音が鳴った。
あたしは姫輝にまた怒られる覚悟をしつつ、電話に出る。
『梨琴さん! どういうことですか!?』
電話の向こう側の姫輝を想像しつつ、返事を返す。
「えっと……成り行きでそうなりました」
『どういう成り行きでこうなるんですか!?』
お冠なようなので、宥めるべく言い訳をする。
「い、いや、姫輝はバイトで接客をするんでしょ? それならコミュ障を卒業できるだろうから、友達が増えてもいいじゃん?」
『誰がコミュ障ですか!? コミュニケーション位取れますわよ!』
電話の向こうから、盛大な溜息が聞こえてきた。
『……それでどこに行くことになったのですか?』
「え、えっとね。伊豆高原。海って候補が出たんだけど、姫輝って色白だし、運動神経ないから、海だと死ぬかと思って」
『なんで海で死ぬんですか!?』
「え? 溺れたり、焼け死んだり?」
『泳ぐことはできますし、焼け死ぬような海ってどこです!?』
「いや、肌を焼きたくないかなってことを大げさにいいました……」
『……』
そして、また電話の向こうで溜息が聞こえた。
『それで話し合いは特に問題なかったですか?』
そう言われて、恵野さんのインパクトの大きさを思い出したので聞いてみる。
「恵野さんってフードファイターか何か?」
『は?』
通じないので、言葉を付け足してみる。
「いや、旅行会議の時、恵野さんだけ会議に加わらないで、黙々と大量に食べ続けていただけなんだけど?」
『そうなのですか? それは知りませんでした』
「やっぱりコミュ障……」
『ち・が・い・ま・す!』
否定をされたので、自分の心の中にだけ留めておく。「やっぱり姫輝はコミュ障のぼっち」だということを。
『それにしても伊豆高原ですか。私も行きたかったですわ』
「いや、今の姫輝は『梨琴』なんだから、クラスも違うから接点ないじゃん」
そう言葉にすると、重々しい声で答えてくる。
『それ以前に、梨琴さんが中間テストと期末テストで赤点を取っていたから、私が補習を受ける羽目になったので、それどころではないのですけど。どうやったら、こんな点数が取れるんですか?』
ふと、そのことを思い出す。うん、確かに赤点を取ってしまった科目もある。そして、その夏休みに補習を受けるように言われていたことも。
あたしは今回の入れ替わり事件をありがたく受け入れる。
「悪いけど、後はよろしくね」
『よろしくねじゃありませんわ!!』
スマホから姫輝の声が大音量で響いた。
いつも読んで頂きありがとうございます。
梨琴のやらかしと姫輝のお小言パターン。
作者的には好きな展開です。
言い合える仲っていいですよね。信頼がなければできないこと。
もう6月も1/3が経ちましたね。
7月中にはこの作品を完結させたい所です。
今年中にこの作品以外の未完作品を2作品完結させたいです。
ちなみに、いつからだったか忘れましたが、作者はドライアイという悩みを抱えており、執筆の進みが悪くなっております。
『起床ガチャ』で起きたときに、目が痛くて開けれないか、無事に何事もなく開けることができて執筆できるか。
こんな私が完結できるように応援して頂けたらと思います。
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