29話
お互いの予定が合う日。早速、姫輝ご要望のハンバーガー店に行った。
ハンバーガー店といってもピンキリなので、ピンであるお安い所にした。姫輝の要望道理であろうと、腕を組み頷くが、心の中では、本来のあたしの財布の中身が吹き飛ぶ心配をしているだけである。
「このハンバーガーが人気なんだよ」
そんなことを吹き込んだが、実際はお安めのハンバーガーである。
あたしはというと、カロリー爆弾かと思えるような豪華なハンバーガー。
注文を受け取り、席について食べ始める。
「「頂きます」」
二人で同時にかぶりついた。
「美味しいですわ! こんな美味しいものが庶民の味だなんて!」
喜びのあまり目を輝かせている純粋な姫輝に、罪悪感を感じてしまう。
(すみません……それ、一番安いし、そんなに人気がないやつなんです)
心の中で謝罪をしてすませ、その後は何事もなかったかのように、あたしも今までよりもお高めのハンバーガーを堪能した。
ハンバーガーを食べ終わり、ポテトを摘まみながら、姫輝に話しかける。
「この前の勉強会。悠橙先輩の印象に残ったかな?」
そこで姫輝が赤面をして、両手で顔を覆う。
「わぁ~、印象に残って欲しくないですわ!」
「でも、姫輝のことだから、元々あんな感じじゃない?」
姫輝は両手を少し下ろし、目だけを出してきた。
「うぅ……家族として接しているのと、異性として接しろというのは別物ですわ」
そう言われて考える。そういうものなのか? あたしには兄弟がいないから、想像もつかない。
姫輝は話題を変えたいのか、質問をしてきた。
「それはそうとして、梨琴さんは夏休みをどう過ごしているのですか?」
「ん? どういうこと?」
姫輝はあたしの察しの鈍さに、眉間にしわを寄せて強調する。
「ですから! ばれないように過ごすには、梨琴さんとしてどのように過ごせばいいのですか!」
あ~、そういうことね。
「えっと、毎年だらだらと家で過ごしたり、遊びに出かけたりする」
「宿題とかの勉強は?」
「夏休み最後の三日位、徹夜で……」
「……私のペースでやらせて頂きます。って梨琴さんも毎日宿題を進めて下さいよ! 私の印象が悪くなるじゃないですか!」
あたしは苦笑いしながら頭をかく。
「あはは、そうだね。まあ、善処はします」
姫輝はジト目であたしを見つめ、一言。
「……ちゃんとやらなかったら、お兄様の件は協力しませんからね……」
あたしは焦って両手で姫輝を制す。
「わかった。わかった。やりますから!」
形勢不利になったあたしも話題を変える。
「姫輝の方は夏休みはどうやって過ごしているの?」
姫輝は顎に人差し指をあてて、考える。
「ん~、そうですわね。別荘や旅行に行くとかですかね?」
(別荘! 旅行! しかも悠橙先輩と一緒に行ける!)
そんなことを考えていると、姫輝がお願いをしてきた。
「梨琴さん。夏休みの間、アルバイトというのを体験してみてもいいですか?」
そこでふと考える。お嬢様にバイトは過酷な労働ではないだろうか?
だが、それはそれで面白いかもしれない。本来のあたしの財布の中身も、あたしが働かずして増えるので、いいことではある。まあ、現在使ってしまっているのは姫輝なのだが。あたしは許可をする。
「うん、いいよ。やってごらんよ。なんか決めているの?」
「そうですわね……」
姫輝はきょろきょろと辺りを見渡す。
「接客の仕事をやってみたいですわ」
あたしは口にしていたストローから、飲み物を吹き出す。
「姫輝に接客ができるの?」
「適任では?」
まあ、適任……なのか? クラスでカリスマ的な存在だし。運動能力からして、軽作業とかもだめそうだし、頭の中に思い浮かべると、確かにテキパキと仕事をこなす姫輝の姿がイメージされる。
「う~ん、まあ……いいかな?」
わからんが、試してみるのもありだろう。問題あっても怒られるのはどうせ姫輝だ。あたしはあたしで悠橙先輩との旅行などを満喫しよう。
そう思っていたら、姫輝が心を読んだかのように。
「あ、雉子島家の旅行などは、私もついて行かせて頂きますから」
「へ? なんで?」
疑問のあまり、間抜けな声が出てしまった。
「梨琴さんとお兄様を二人きりになったりしたら、梨琴さんが暴走するかもしれないからです」
「あ~、理解した」
正論に対して反論できなかった。
いつも読んで頂きありがとうございます。
今日もストック分の小出しです(汗)。
すみません!
体調は変わらず。
いや、運動系の調子はいいんですよ。散歩とかその他色々。
執筆が捗らない。病気によって執筆に必要な能力が低下しているかのようでして。そういう病気なんですよ……。
少しずつリハビリを頑張りながら進めたいと思います。
当面ストック分です。
あまり進まないと自分でどのように書こうと考えていたのか忘れてしまいそう(汗)。
こんな私が完結できるように応援して頂けたらと思います。
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