27話
「姫輝! うちで勉強会をしよう!」
姫輝と一緒に下校する中、色々な意味を含めた提案をした。
そんなあたしの内心を知らずに、姫輝の表情は、パーっと明るくなった。
「ぜひ!」
姫輝はルンルン気分で浮かれている。おおかた、ホームシックにでもなっているのだろう。ちなみにあたしはホームシックにはなっていない。あたしには悠橙先輩がいるからね。
家族にちょっぴりだけ罪悪感を感じながら、姫輝と勉強会の話を進めていく。
「姫輝、ちゃんとした服を着て来てよ?」
しばらく姫輝は顎に手を添え考える。
そして、あたしに質問をする。
「梨琴さんの持っている服の中で、『ちゃんとした服』の定義とはなんですの!?」
失礼な質問が来たな。
「あたしが持っている服の中で、姫輝から見て一番まともそうなもの!」
姫輝の持っている服と、あたしの持っている服を比較すると、あたしの服はダサいのか?
(いや、姫輝の服の質が良すぎるだけだ。あたしは一般的なはずだ)
心の中でそう言い聞かせ、なんとか自己肯定感を保った。
そして、日曜日の勉強会当日。
自宅、いや正確に言うと姫輝の家でそわそわと、姫輝が来るのを待っている。
場所はリビングで。何しろ休日。当然、パパ、ママ、に~にがご在宅である。
あたしが何をしているのかと視線が集まるが、姫輝の服装のチェックをしなければならないので、やむを得ない。
すると、当たり前だが質問される。
「……姫輝……インターホンの前で何をしているんだ?」
パパが質問してきた。まあ、当然気になるよね。
「えっと……その……友達が来るの」
そう言うと、家族がお互いの顔を見合わせて、呆然としている。
「姫輝、お友達ができたの?」
嬉しそうなママの表情。どんだけ友達がいないんだよ!
まあ、勉強ばかりしているせいかな。
そんな話をしていたら、インターホンが鳴った。
あたしがインターホンの画面を確認すると、パパ、ママ、に~にまで横から後ろからと覗き込んできた。
「まあ、本当にお友達が来たわ」
ママさん、なんて失礼な発言だろうか。いや、あたしが言われたわけではないが。まあ、親として姫輝のことが心配故に出た言葉だろうな。
あたしはインターホンの画面を消すと、玄関へと向かう。すると、家族もぞろぞろとついてくる。
「パパ! ママ! 恥ずかしいからあっちに行ってよ!」
実の親ではないが、あたしはもう馴染んでいる。そこへ悠橙先輩が疑問を投げかけてきた。
「俺はいいのか?」
そう言われて悩んだ。悠橙先輩とは梨琴としての接点を増やしたい。だが、まだ服装の確認をしていない。インターホンでは、ちらっとしか確認できなかった。家族が覗き込むんだもん。
「えっと……やっぱり、に~にもだめ!」
あたしは顔の前で両腕をクロスさせてバツを示した。
三人をリビングに閉じ込め、姫輝を出迎える。
「おはよう!」
「おはようございます」
姫輝は挨拶をしつつ、玄関から室内をチラチラと覗き込む。家族の顔を見たいのだろうが、それはあたしができなくした。すまん。
心の中でそう思いつつ、二人で姫輝の部屋。いや、今はあたしの部屋へと向かった。
部屋の中に入ると姫輝は開口一言。
「……なんか部屋がちょっと散らかってきてません?」
「……気のせい……」
「それならまあいいですわ」
そう言うと、姫輝はローテーブルが置いてある絨毯に座る。
勉強会の準備をしていると、部屋のドアがノックされた。
「「は~い」」
あたしの返事に姫輝が被せてきた。今はあんたのうちじゃないでしょ!
それに気づいたのか、姫輝はちょっとアワアワしている。
ドアが開き、に~にがトレイに飲み物を持ってきてくれた。
ちなみに見た目でわかる。オレンジジュースである。
「梨琴さん。こちら、あたしのお兄ちゃんです」
「……はあ……初めまして?」
演技力のなさを批判するかのように、あたしは机の下から姫輝の足を軽く蹴飛ばす。
久しぶりに、に~にに会って目を輝かせていた姫輝は、渋々と自己紹介をする。
「私は藪垣梨琴と申します」
(言い方がお堅い! もっと柔らかく好印象が持てるように!)
なんてあたしの心を姫輝が読めるわけもなく、に~には挨拶だけをして部屋を去っていった。
いつも読んで頂きありがとうございます。
ストック分の小出しです(汗)。
最近、作者が思っている以上に未熟を実感したため、読まれるのがお恥ずかしい限りです。
いや、でも、読んで頂きたい!
そして、感想を頂きたい!
批判とかではなくて「もっとこういう展開だと面白いと思うよ~」みたいにゆる~く。
こんな私が完結できるように応援して頂けたらと思います。
お気軽に感想や応援コメントを頂けると嬉しいです。ちょっとした一言の応援でも!




