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【コミカライズ連載中】悪役令嬢覇王伝~転生したら身長245cm体重210kgの恵体でした。だから無双します~  作者: 砂礫レキ@悪役令嬢覇王伝コミカライズ原作


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十七話 全ては悪役令嬢の剛掌の上

 豪奢だがどこか物寂しい雰囲気の生徒会室。

 そこに形だけのノックをして一人の男子学生が入って来る。


「義姉さん、今回の騒動の報告が上がって来たよ」


 そうカインが書類を手にゴリアテッサに話しかける。


「申せ」


 短い返答に気を悪くした風も無くカインは頷き口を開いた。


「男子生徒たちとついでに校長に魅了の術をかけた隣国の男爵令嬢だけど、彼女自身にも魅了がかけられていたよ」

「やはりな」

「魔術部に解析させた結果、それはドブカス……じゃなくて隣国のドブール王太子の能力だと判明した」


 どうやら彼は気に入った女性相手に無意識に魅了術を使っていたようだね。

 そうカインは溜息を吐いた。


「但し突然数十人の女性を篭絡したのは意図しての行為だと自白しているよ」

「フン、下種が」

「彼は女神からの祝福を活用して何が悪いと開き直っていたけれどね」

「愚かな、あの女神の胡散臭さなど声だけでもわかるだろうに」


 実際アンジェリーナは夢の中で女神マルタの誘いを跳ね除けている。

 そのことをゴリアテッサは知らないが知っていても驚かないに違いなかった。 


「でも現状魅了の能力は消え逆に女性たちから強く嫌悪されるようになっている。女神の加護を悪用した天罰かな?」


 鼻で笑いながらカインが言う。ドブールに同情する様子は欠片も無い。

 ゴリアテッサが隣国から拉致してきたドブールは聖マルタ学園にある地下牢に繋がれている。

 そこでもずっと元気に悪態を吐いていると監獄部部長から報告を受けていた。全く反省をしていない。


わたくしが女神マルタを撃破したのが契機ではあるだろうが、いずれにしろ愚かな男は自滅する運命よ」  


 そう口にするゴリアテッサの声には微かな呆れが含まれている。

 それはきっと自分と同じ理由なのだろうと義弟は察した。


「まあ悪用って言っても魅了の正しい利用方法って……洗脳以外あるのかなって感じたけど」

「あの馬鹿女神はドブールの持つ能力チートが何かも確認せず徒に効果量を増やしたらしい」

「ハハ、それはあの元女神様らしいというか」


 カインは冷え切った目で乾いた笑い声を上げる。

 

「王太子の魅了能力は少し前に消えたけれど、魅了期間が長い男爵令嬢は自然解除が遅れたみたいだった」

「だから言いなりになって我が下僕たちを洗脳したということか」

「うん、でも今は男爵令嬢含め全員魅了から覚めてるけどね……凄いなアンジェリーナ嬢は」


 殴り合っただけで男たちの洗脳を解除しちゃった。そう感心したようにカインは言う。

 ゴリアテッサは無言で窓を見た。

 今日の彼女は鉄仮面をつけていない。なのでその剛毅な美貌が惜しげもなくガラスに映る。


「あの娘の拳には聖なる力が宿っている。邪悪な力や呪いを打ち砕くことが出来るのはその為よ」

「へえ……義姉さんは随分と彼女に詳しいね、情報通の僕さえ知らなかったのに」


 面白がるような口調でカインが言う。しかしその瞳には嫉妬の炎が奥深く燃えていた。

 そんな義弟の頭をゴリアテッサは雄大な掌で軽く叩く。


「うわっ」

「情報通キャラを気取るには修行不足だな、カインよ」


 そう口にしてゴリアテッサは珍しく微笑む。

 途端カインの頬が茹でられたように赤くなった。

 それを誤魔化すように彼は話題を変える。


「そ、そう言えば何で義姉さんは魔術師に依頼してまで王太子の呪いについて調べて隣国に知らせてあげたの?」


 感謝どころかこうやって逆恨みされたのに。

 半分誤魔化し、そして半分は本心でカインは問いかける。


 ゴリアテッサ子飼いの魔術師は口調こそ独特だが能力は突出している。

 隣国の婚約破棄騒動は完全に他山の石。

 強者との闘いのみを求めるゴリアテッサにとって目的は魔神と召喚した令嬢のみ。


 王太子の魅了を悪用した浮気と、能力が反転して周囲から嫌われる結末などどうでも良い筈だった。

 わざわざ丁寧に呪いの効果まで調べ上げて自分の名前で隣国の国王夫妻に通達する必要など無いのだ。


 結果王太子はゴリアテッサを黒幕と逆恨みし、復讐を果たそうとしたでは無いか。

 その作戦の一端としてアンジェリーナの退学が持ち上がったことをカインは把握していた。

  

「別にあの愚物が生涯女たちから嫌悪されても我は構わぬ……だが奴の親や本人はどうか」

「それは困るだろうね、あんなのでも王太子なんだから」

「フ……その呪いを解除する為なら、数年分の学費なぞ容易く払うだろうな」


 義姉の笑みにカインは全てを察する。


「……もしかして、アンジェリーナ嬢の学費を出させる為に?」

「たまたま今回は学費になるだけのこと、悪役令嬢たるもの握れる弱みを見逃しなどしないわ」

「つまり彼らに人質の自覚を与える為に、あえて呪いの詳細を教えたってことか」


 でもアンジェリーナの拳が聖なる力に覚醒していなければどうしたのだろう。

 そんな思いでカインは義姉を見つめる。


「その時は……我が直々に王太子の息の根を止めるだけ。伏線は必ずしも回収する必要は無い」

「ハハ……その方が世の為になったかもね、でも彼女の拳で改心してくれることを祈るよ」


 彼女と拳を交わした連中に言わせると目が覚めるぐらい痛いらしいからね。

 そうカインは笑い、隣国との交渉の為にその場から離れた。



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魔術師は褐色肌のギャル(男)です。


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