第二話「未来の嫁?」
前回突如としてタイムマシーンで現れた天音卯月ちゃんとの下校やちょっとした同棲に向けた準備を書いてみました。ぜひ読んでみてください。
「やっと会えた...私の、だんな様」
聞き間違いなどではない、彼女は俺の胸の中で確かにそう言った。
「.....、はぁ」
間の抜けた声が出た。混乱と脳の処理が限界を超えたからだろうか、それにしてもわからない。突如として目の前に現れた妙な機械にだんな様?一体この女は何を言っているのだろうか、いまだ混乱している俺に彼女は笑顔で口を開いた。
「はじめまして、こんにちは。私の名前は「伊勢」...じゃなかった、天音 卯月。そしてよろしく、私の未来のだんな様♡」
うん、可愛い。年齢は同じか少し上くらいだろうか、長い髪に、タイツに隠れた脚、スレンダーなモデル体型、そのすべてがとにかく可愛い。
「...よ、よろしくお願いします、?」
「はい、よろしくお願いします♡。」
理解できないことは多々あるが美女が俺のことをだんな様と呼んでくれているのだ、ここは素直に受け入れるとしよう。だが俺の嫁?が搭乗していたこの機械については別だ。俺は改めて目の前の巨大な機械を見上げた。なんだコレ、ここはSTEINS;◯ATEの聖地なんかじゃないぞ。まぁ、ここは乗ってきた本人に聞くのが一番だろう。
「えっと、それじゃあ天音さん..?君が乗ってきたその機械は何なのか、聞いてもいい?」
彼女はすっと立ち上がり少し意外そうな顔で答えた。
「まぁ、俗に言うタイムマシーンね、未来や過去を行き来できるの。...そんなことよりまず私のことを聞いてくるかと思ったのに、だんな様は眼の前の美少女よりこの無骨な機械のほうが気になるの?」
タイムマシーンか嫁の美少女か、なんて贅沢な選択肢だろうか。だがもちろん答えは決まっている。
「それはもちろん、眼の前の美少女です。」
彼女は微笑みながら得意げにこう答えた。
「うむ、ならばよろしい」
あぁ...得意げな顔も可愛いなあ、こんな状況でなければ2〜3時間ほど眺めていたいくらいだ。
だが状況が状況なのでそうは言っていられない、そうだな...夫婦だしまずはお互いのことをよく知ることが大切だな。まずは相手の年齢だろうか。
「未来から来たってことは天音さんは今、何歳なの...?」
女性に歳を聞くなと母親からは教わっているがこんな状況で律儀に母親の言いつけを守るほど俺はよい子ではない。
「女性に年齢は聞くなってお母様から教わらなかったの?」
...やはり母は偉大だ、帰ったら日々の感謝を伝えておこう。
「ごめん。未来から来たって言うから気になって、」
「まったく旦那様は...。まぁいいわ、精神年齢は26歳だけど体の方は時間軸に引っ張られて現役JKの17歳よ。ついでに言えば制服もこの時間軸の私の服装に引っ張られたものね。」
やはり年上か、それに今の話を信じるなら彼女は約9年後の未来から来たことになる、まあ突如として現れたタイムマシーンと美少女を前にして信じないという選択肢はないのだが。
「それはそうと旦那様、私、お金もなければ今夜寝る場所もないのだけれど、...」
「まさかだけど、うちに泊まるの、?」
「そのまさかよ、だんな様が一人暮らしなの知ってるんだから。それに、こんな美人と同棲できるなんて光栄でしょ?」
それは勿論この上なく光栄なのだが。あまりの急展開に俺の脳はまたもや限界を迎えた。そして追い打ちをかけるかのように彼女はこう続けた。
「TOL◯VEるとふたり◯っちは押し入れにしまっておいてね♡」
...まったく、未来の俺は何をやっているんだ。俺は電子派への移行を強く心に決めた。
今までの書籍をどう処分するか考え始めた矢先、下校を促すチャイムが屋上に鳴り響いた。腕時計を見てみると、時刻は5時25分、学校は5時半に閉まるのであと5分で校門をでなくてはならない。
「そういえばこのタイムマシン?って定番の光学迷彩か何かが付いてるの?」
「よく知ってるわね、その通りよだんな様、STEINS;G◯TEのおかげかしら。」
彼女がタイムマシンの扉近くでボタン操作をするとタイムマシンが背景と完全に同化して見えなくなった。
「じゃあ早速、だんな様のお部屋へ帰りましょうか。」
彼女に手を引かれ、屋上をあとにした。そしてそれは俺が初めて女子と手を繋いだ瞬間だった。
...柔らかいし後ろを歩くといい匂いがする。なんだこれ、最高か。
下校時間ギリギリだったので校内には生徒はほとんど残っておらず、俺と彼女はすんなり校外へ出ることができた。
「だんな様、途中の和菓子屋さんでなにか買っていきましょ」
本当に何から何までよく知っている、この街には「つむぎ堂」という和菓子屋がある。和菓子屋なのにケーキやシュークリームなんかも売っているおかしな店だ、借りているアパートからも近いので未来の俺が彼女に振る舞ってあげたのかもしれないな。
「じゃあ、よっていこうか。バイト代も入ったばっかりで余裕もあるし」
「ありがと、久しぶりだし何を買うか迷うわね、だんな様はいつものシュークリーム?」
もう驚かないぞ、だんだん慣れてきた。どうやら未来の俺は嫁にすべてを知り尽くされているらしい。
「じゃ、じゃあそうするかな」
俺はぎこちなく答えてから再び彼女の隣を歩き始めた。
家についた俺は秘蔵のラノベが机に出しっぱなしであることに気がついた。
「天音さん、ちょっと外で待っててもらえる?いろいろ片付けたいものがあって...」
「天音さんじゃなくて卯月でいいわよ、あと私は別に秘蔵のラノベが出しっぱなしなくらい気にしないけど」
「お、俺が気にするんだよ、とにかく待ってて」
彼女にそう言い残して一人、部屋の片付けを始めた。...改めてみるとこれを嫁に知られた未来の俺やばいな。俺の眼の前には彼女に見つかれば別れ話を切り出されそうな程の大量の書物があった。後で金庫でも買って封印しよう。そう決意した俺は片付けを終わらせ、彼女を部屋に招き入れた。
「へー、高校生なのに部屋がきれいなんて珍しい。あっこの漫画もう持ってたんだ」
とんでもない偏見を言いながら彼女は表紙に「スイキュー」と書かれた漫画を手に取った。これも履修済みとはなかなかセンスがある。
「部屋にある漫画とかラノベは好きに読んでいいよ。あ、でも押し入れだけは絶対に開けないで。」
押し入れには先ほど封印した書物が眠っているのだ。流石に未来の俺も嫁に教えてはいまい。
「押し入れの書物なら知ってるから大丈夫よ、流石にちょと引いたけど、...あっ、でも本当にちょっとだけよ、?」
そうか、ちょっとだけか。露骨に絶望する俺に焦ったのか急いでフォローしてくる。
未来の俺よ、頼むからしっかりしてくれ。
そんなこんなをしているうちに時計の針はもう7時を回っていた。
「ご飯どうする?外食する?」
本当は彼女の手料理が食べたいのだがあえて聞いてみた、恋愛の駆け引きというやつだ、恋愛経験は彼女とあってからの約1時間半程しかないが..。
「私が作ってあげるわ、食材はある?」
「まぁ、自炊してるからあるにはあるよ、賞味期限とかはだいたい切れてるけど、」
「それじゃだめじゃない、うーん、使えそうなのもあるにはあるけど」
男子高校生なんてだいたいそんなもんだ、こっちに越してきたばかりの頃勢いで道具だけ揃えたのでやってはみたものの、うまく作れたのは小5のとき実習で作った豚汁のみ。なんとも悲しいエピソードだ。悲しい過去を振り返っているとしばらく冷蔵庫の中を覗いていた卯月が口を開いた、
「よし、近くのド◯キに行きましょう。それなら私の布団もパジャマもついでに手に入るわ。」
さすが驚安の殿堂、どうやら9年後の世界でも生き残っているらしい。
俺は今月の親からの小遣いが入った封筒を取り出し卯月と共にドンキ◯ーテへと歩き始めた。
今回の投稿で二回目となります。こんばんわ、やまはるです。小説を書くのは初めてなのですが。思っていたよりずっと大変でした笑。今回はヒロインである天音卯月ちゃんの名前に悩みました。読みづらいかもしれませんがあまね うずきです。どうか覚えていってください!!




