第一話「灰色の高校生活」
初の投稿となります。第一話はゆっくり進むので、ぶっちゃけ、あらすじを読んでいる方は一話をすっ飛ばして二話から読むことをお勧めします。一話も読んでくださる方は「プロローグ」のようなものだと思ってお読みください。
俺、こと伊勢 裕棋の高校生活は灰色に染め上げられていた。
「あぁ、楽しいなあ...」
自分に言い聞かせるように放った一言が誰もいない放課後の教室の空気に吸い込まれていく、なぜこうなったのかは自分でも容易に想像できる、中学三年の冬、絶対になりたくないと思い描いていた自分の姿がそこにはあった。入学初日、自己紹介のついでに放った一発ギャグがまずかった。
「ちょっとスベっただけじゃんかよ...」
ちょっとどころではないのはわかっている、だがまさか夏休みがおわり、新学期になってもそれが尾を引くとは思わなかったのだ。とはいえ今更何かを変えようとしても手遅れなことくらいは俺にもわかる。というよりそんな気力はない。
「青春なんてクソくらえ!」
俺は窓の外に向かって叫んだ、突然の怒りというわけではない、ただ何もできない自分と何もしようとしない自分に対するイラつきがいつもより強くなっただけだ。
「はあ、屋上でもいくか...」
最近、日課の校内探索をしている途中に偶然、西校舎から屋上へつながる扉の鍵が壊れているのに気がついたのだ。本来は立入禁止の場所なので人目にもつかない、一人でラノベを読むにはもってこいの場所だ。今日は昨日買ってきた『推しの配信者に、リアルで告白されそうです。』の最新刊を読む予定だ。
俺は屋上のフェンスにもたれかかり一ページ目をめくり始める。...その時だった、突然「キィィィン」という電子的な高周波が屋上に響き渡り、視界、いや空間そのものが歪んで見えた。直後、眼の前が真っ暗になった、体感で10秒ほど経過して視界が戻ったとき、そこには見慣れない機械のようなものがあった。機械のようなそれは科学が十分に発達した現代の日本に暮らす俺にもアニメや小説の中以外では見覚えのないものだった。
「なんだこれ、さっきまでは絶対になかった、...人工衛星?」
呆然と立ち尽くす俺の前でNASAの人工衛星のようなものは「プシュー」という音を立てて扉が開いた、扉の内部から立ち上がる人影、扉の縁を掴み俺の胸に飛び込んできたのは見慣れぬ制服を身に纏ったすらっと背の高い美少女だった。そして名前も知らない彼女は、胸に飛び込んできた人の体温と眼前の機械に呆然とする俺に向かってこう言った。
「やっと会えた、...私の、だんな様」
それが俺が初めて彼女の声をきいた瞬間だった。
今回が初の投稿となります。一話はセリフ少なめですが、今後は本文よりセリフ多めで行こうと思うのでぜひ2話も読んでみてください!




