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第33話 評価は相互にお願いします



仏花売場。


赤と黄色のコロナは、今日も売場に残っていた。


「先輩!」

「なんだ」

「俺、分かったんですよ!」

「何がだ」

「選ばれない理由です!」

「分かったのか」

「評価が足りないんです!」

「そうか」

「俺の魅力が伝わってないんですよ!」

「そうなのか」

「だから、評価を集めることにしました!」

「誰からだ」

「仲間からです!」


サカタプライドは黙った。


「先輩! 俺、何点ですか!?」

「何点と言われてもな」

「100点満点でお願いします!」

「………100点でいい」

「ありがとうございます!」

「そうか」

「じゃあ、先輩も100点です!」

「そうか」

「相互評価成立です!」

「………そうなのか」


隣の売場から、ガーベラが声をかけた。


「評価するの?♡」

「はい! みんなで評価し合うんです!」

「楽しそう♡」

「コロナくん、100点♡」

「満点ですか!?」

「満点だよ♡」

「ありがとうございます!」

「サカタプライドさんも100点♡」

「そうか」

「キクさんも100点♡」

「おう」

「みんな満点♡」


カーネーションが尋ねた。


「ところで、ガーベラは何点なの?」

「1000点♡」

「………1000点?」

「うん♡」

「満点は100点じゃなかった?」

「そうだよ♡」

「じゃあ、どうして1000点なの?」

「私だから♡」


コロナが反応した。


「ちょっと待ってください!」

「なあに?♡」

「俺は100点ですよね!?」

「うん♡ 満点♡」

「ガーベラ先輩は1000点!?」

「そうだよ♡」

「10倍じゃないですか!」

「すごいでしょ♡」


サカタプライドが言った。


「お前が始めたんだぞ」

「そうでした!」


コロナは気を取り直した。


「次はキク先輩です!」

「おう」

「俺に100点お願いします!」

「俺はいい」

「………え?」

「評価はしない」

「どうしてですか!?」

「必要ないからな」

「でも、俺はキク先輩に100点つけますよ!」

「おう」

「だから、先輩も100点つけてください!」

「頼んでないぞ」

「………」


カーネーションが口を挟んだ。


「キクは評価を集めなくても売れるからね」

「………売れる人は、そういうこと言えるんですよ!」

「そうね」

「俺たちは評価してもらわないと、見つけてもらえないんです!」

「そうなの?」

「そうなんです!」


コロナは宣言した。


「じゃあ、キク先輩はゼロ点です!」

「おう」

「フォローも解除します!」

「おう」

「………困らないんですか!?」

「何がだ」


ガーベラが言った。


「でも、キクさんは100点だよ♡」

「ガーベラ先輩!」

「なあに?♡」

「キク先輩は相互評価に参加してないんですよ!」

「うん♡」

「なのに100点ですか!?」

「だって好きだから♡」


コロナは黙った。


「………じゃあ、俺も100点のままですか?」

「もちろん♡」

「………ありがとうございます」


しばらくして、コロナは隣の仏花にいるキクに声をかけた。


「先輩!」

「なんだ」

「ランキングはいつ発表されるんですか!?」

「ランキング?」

「評価が集まったら、上位に表示されるんですよね!?」

「何にだ」

「売場です!」

「そんなものはないぞ」

「………え?」


コロナは売場を見た。


値札には、商品名と価格が表示されていた。


「………先輩」

「なんだ」

「俺の100点は?」

「どこにも書いてないな」

「ガーベラ先輩の1000点は!?」

「書いてないな」

「俺のフォロワーは!?」

「見えないな」


コロナは黙った。


「………じゃあ、お客様は何を見て選ぶんですか?」

「花だろ」

「………花?」

「おう」


午後。


客が仏花売場に立ち寄った。


コロナの入った仏花を手に取った。


「先輩!」

「なんだ」

「来ました!」

「そうだな」

「評価は!?」

「見てないな」

「フォロワー数は!?」

「見てないな」

「じゃあ、何を確認してるんですか!?」

「値札だな」


客は商品を戻した。


隣の仏花を手に取り、会計台へ向かった。


「………先輩」

「なんだ」

「俺、何点だったんですかね」

「知らん」

「………評価してもらえなかったんですか?」

「買わなかっただけだ」

「………何点もつけずに?」

「おう」


レジに商品が登録された。


【仏花 1点】


【会計を終了しました】


コロナは売場に残っていた。


夕方。


いつもの客が仏花売場に立ち寄った。


客は商品を見比べることなく、いつもの仏花を手に取った。


「先輩!」

「なんだ」

「あのお客様、評価を見てません!」

「そうだな」

「ランキングも見てません!」

「ないからな」

「なのに迷わず買いましたよ!」

「いつも買ってくれる客だからな」


コロナは少し考えた。


「………毎回ですか?」

「おう」

「何点もらってるんですか?」

「知らん」

「フォロワーは?」

「知らん」

「じゃあ、どうして選ばれるんですか?」

「また買いたいからだろ」


レジに商品が登録された。


【仏花 1点】


【会計を終了しました】


コロナは黙った。


「………先輩」

「なんだ」

「俺も、また選んでもらえますかね」

「それは客が決めることだ」

「………そうですか」


しばらくして、コロナが言った。


「………キク先輩」

「おう」

「評価、100点に戻します」

「おう」

「フォローも再開します!」

「おう」

「………相互評価、お願いします」

「俺はいい」


コロナは黙った。


「………先輩」

「なんだ」

「俺、100点つけたんですよ?」

「おう」

「………お返しは?」

「ない」


本日の相互評価制度では、高評価の付与が確認された。


なお、当店にランキング表示機能はない。


評価点数およびフォロワー数は、販売実績に反映されなかった。


また、相互評価制度については、一部参加者から継続を熱烈に希望する声が寄せられている。


評価の返礼については、現在も協議中である。





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