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花屋は本日も通常営業です  作者: 花束 ねる


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27/52

第27話 すべてドライにはなりません



店の片隅。


天井には、すでに乾いたカスミ草が吊り下げられていた。


「あらあら〜゜」

「あらあら〜゜」

「あらあら〜゜」

「あらあら〜゜」

「あらあら〜゜」


その隣には、乾いたスターチスが一本。


「んだな〜゜」


そこへ店員が、新しい花を持ってきた。


青いカスミ草。


スターチス。


バラ。


次々と天井に吊るされていく。


乾いたカスミ草たちが、新しく吊るされた青いカスミ草を見る。


「あら、あなたもこっちなのね〜゜」

「あらあら〜゜」

「あら、青くなってるわねえ〜゜」

「きれいねえ〜゜」

「あらあらあら〜゜」


青いカスミ草たちが揺れた。


「私の番、またかしら〜♪」

「またなのね〜♪」

「今度は何かしら〜♪」


その隣では、新しく吊るされたスターチスたちが揺れている。


「おらもここだべか〜」

「おらもだ〜」

「何すんだべな〜」

「まあいいべ〜」


乾いたスターチスが答えた。


「んだな〜゜」


バラたちは黙っていた。


「…………」

「…………」

「…………」


「あら、増えたわねえ〜゜」

「あらあら〜゜」

「にぎやかねえ〜゜」

「ちょっとジメっとしてるわねえ〜゜」

「あらあら〜゜」


「んだな〜゜」


生のスターチスたちが、乾いたスターチスを見る。


「おらも乾ぐのか〜」

「おらもか〜」

「んだべか〜」

「まあいいべ〜」


「んだな〜゜」


バラが、乾いたスターチスを見る。


「…………お前、もう乾いているな」

「んだな〜゜」

「同じスターチスだろ」

「んだな〜゜」

「…………そうか」



一週間が経った。


新しく吊るされた花から、少しずつ水分が抜けていく。


青いカスミ草たちが揺れた。


「少し軽くなったかしら〜♪」

「私もかしら〜♪」

「まだみたいね〜♪」


スターチスたちも揺れている。


「だいぶ乾いできたな〜」

「んだな〜」

「もうちょいだな〜」

「おらもだ〜」


乾いたカスミ草たちが見ている。


「あら、もう少しかしらねえ〜゜」

「あらあら〜゜」

「ゆっくり待ちましょうねえ〜゜」

「あら〜゜」

「あらあら〜゜」


乾いたスターチスも揺れた。


「んだな〜゜」


バラたちは吊るされたまま黙っている。


「…………長いな」

「…………」

「…………」



さらに時間が経った。



二週間。



三週間。



店員が、吊るされていた花をすべて外した。


花が作業台に並べられる。


乾いたカスミ草たちが声を上げた。


「あら、下りてきたわねえ〜゜」

「あらあら〜゜」

「久しぶりねえ〜゜」

「あら〜゜」

「あらあら〜゜」


乾いたスターチスも続く。


「んだな〜゜」


青いカスミ草たちも乾いていた。


「きれいに乾いたわ〜♪゜」

「私も〜♪゜」

「今度は何になるのかしら〜♪゜」


バラたちも水分を失っている。


「…………゜」

「…………゜」

「…………゜」


新しく吊るされたスターチスたちも声を上げた。


「んだな〜゜」

「乾いだな〜゜」

「んだ〜゜」


「おら、まだだ〜」


乾いたカスミ草たちが、その一本を見る。


「あら〜゜?」

「あらあら〜゜」


店員が、一本ずつ状態を確認していく。


カスミ草。


スターチス。


青いカスミ草。


バラ。


その手が、一本のスターチスで止まった。


ほかのスターチスとは違い、茎に水分が残っていた。


「あら、まだ乾いてないわねえ〜゜」

「あらあら〜゜」


茎には、白いものが広がっている。


「あら、白いものが付いてるわねえ〜゜」

「あらあら〜゜」


愛さんが告げた。


「カビです」


「んだか〜」


店員が、そのスターチスを作業台の端へ分けた。


店員は、捨てやすい長さにスターチスを切り分けた。


「ちぇーっと行ってくるな〜」


ゴミ箱の蓋が開いた。


切り分けられたスターチスが、ゴミ箱に入れられた。


蓋が閉じた。


青いカスミ草たちが見送った。


「あら、いってらっしゃい〜♪゜」

「あらあら〜♪゜」

「またね〜♪゜」


新しく乾いたスターチスたちも続いた。


「またな〜゜」

「んだな〜゜」

「またな〜゜」


少しして。


ゴミ箱の奥から、声がした。


「またな〜」


バラたちは黙っていた。


「…………゜」

「…………゜」

「…………゜」


店員は、残ったドライフラワーを再び吊るした。



数日後。


店員が、吊るしていたドライフラワーを外した。


花たちは、再び作業台に並べられた。


乾いたカスミ草たちが声を上げる。


「あら、またここねえ〜゜」

「あらあら〜゜」

「今度は何かしら〜゜」

「あら〜゜」

「あらあら〜゜」


スターチスたちも続く。


「んだな〜゜」

「んだ〜゜」

「何すんだべな〜゜」

「また何かすんのか〜゜」


青いカスミ草たちが揺れた。


「私、また何かになるのかしら〜♪゜」

「今度は何かしら〜♪゜」

「楽しみね〜♪゜」


バラたちは黙っている。


「…………゜」

「…………゜」

「…………゜」


カスミ草が切り分けられた。


「あら〜゜」

「あらあら〜゜」

「あらあらあら〜゜」

「あら〜゜」

「あらあら〜゜」


スターチスも短く切られた。


「んだ〜゜」

「こっちもだな〜゜」

「んだんだ〜゜」

「短ぐなったな〜゜」


青いカスミ草も切り分けられる。


「またなのね〜♪゜」

「短くなったわ〜♪゜」

「今度はこっちね〜♪゜」


バラにも花バサミが入った。


「…………また切るのか゜」

「…………゜」

「…………゜」


花が集められた。


いくつかに分けて束ねられる。


ペーパーが巻かれた。


リボンが結ばれた。


小さなドライフラワーの花束が、いくつか出来上がった。


「あらあらあら〜゜」

「あら、きれいねえ〜゜」

「あらあら〜゜」

「あら〜゜」

「あらあら〜゜」


「んだな〜゜」

「んだ〜゜」

「できたな〜゜」

「売場だな〜゜」


「また売場ね〜♪゜」

「行ってくるわ〜♪゜」

「今度は売れるかしら〜♪゜」


「…………゜」

「…………゜」

「…………゜」


愛さんが告げた。


「販売します」


花束が売場に並んだ。


しばらくして。


一つ、売場からなくなった。


また一つ、なくなった。


花束は少しずつ減っていった。


さらに時間が経った。


店員が、売場に残った花束を下げた。


再び作業台に置かれる。


残っていたカスミ草たちが声を上げた。


「あら〜゜?」

「あら、戻ってきたわねえ〜゜」


スターチスたちも揺れた。


「んだな〜゜」

「まただな〜゜」


青いカスミ草が続く。


「またここなのね〜♪゜」


バラは黙っていた。


「…………゜」


店員がリボンを外した。


ペーパーを外す。


束を解く。


「あらあら〜゜」

「あら〜゜」


「んだな〜゜」

「んだ〜゜」


「またなのね〜♪゜」


「…………゜」


残った花に、傷みはなかった。


店員が花バサミを取った。


バラの視界に、ゴミ箱が入った。


残ったカスミ草が、さらに短く切られる。


「あら〜゜」

「あらあら〜゜」


スターチスにも花バサミが入る。


「んだ〜゜」

「まただな〜゜」


青いカスミ草も短くなる。


「まだ使えるわね〜♪゜」


花バサミが、バラの茎に当てられた。


「…………また切るのか゜」


愛さんが告げた。


「使用可能です」


茎が切られた。


短くなった花が集められる。


今度は、小さなドライフラワーのアレンジになった。


「あらあら〜゜」

「あら、今度はこっちねえ〜゜」


「んだな〜゜」

「まただな〜゜」


「今度は売れるかしら〜♪゜」


「…………゜」


新しい値札が付いた。


店員が、ドライフラワーのアレンジを持ち上げた。


「あら、また売場ねえ〜゜」

「あらあら〜゜」


「んだな〜゜」

「行ってくるな〜゜」


「今度こそね〜♪゜」


「…………゜」


愛さんが告げた。


「販売します」


ドライフラワーのアレンジは、再び売場に並べられた。





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