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Interlude 万里とお兄ちゃん エジプト紀行
まだ私が、“ミュウル”ではなかった頃――
小言の増えたママが帰ったあと。
私は、病棟の裏庭にある古いベンチへと向かった。
「万里、来たね。今月の『彩紀行』買ってきたよ」
「お兄ちゃん、ありがとう!」
2人でめくるページには、黄金の砂地と青すぎる空、三角の山――写真なのに、窓から見えるような景色が広がっていた。
「何千年も前の人が、こんなにキレイに石を積み上げたんだねぇ。王様のために」
「うん。行ってみたい?」
「行きたい!」
お兄ちゃんは寂しげに微笑んで、私のあざだらけの足を見た。
けれど、「お前には行けないよ」なんて、一度も言わなかった。
「じゃあ、今日のところはここを歩こうか」
「……うん」
私は指先で、写真の砂漠に足跡をつけた。
先を歩く、お兄ちゃんの指を追って。




