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「再配達、恋もできますか?」  作者: ともり。
第二章 おかえりのある部屋 第二十六話 おかえり

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第二章 おかえりのある部屋 第六十三話 次の季節も

# 第二章


## おかえりのある部屋


### 第六十三話 次の季節も


スーパーからの帰り道。


空は少しずつ夕焼けへ変わっていた。


オレンジ色の光。

ゆっくり吹く風。

繋いだ手。


藤堂は、買い物袋を片手に持ちながら小さく笑う。


「なんか、夫婦みたいですね」


玲司は吹き出した。


「またそれ?」


「でも、ちょっと思いません?」


玲司は視線を逸らした。


……少し思う。


それくらい。


“二人でいる”が自然になっていた。


マンションへ向かう道。


前は。


会えるだけで特別だった。


でも今は。


一緒にご飯を選んで、帰る。


そんな普通の時間が、幸せになっている。


藤堂が、ふいに空を見上げる。


「もう夏終わりますね」


玲司も空を見る。


夕方の風は、少しだけ涼しかった。


季節が変わろうとしている。


玲司は、ふと最初の頃を思い出す。


雨の日。

再配達。

映画館。

“五分だけ”。


全部、まだそんなに昔じゃない。


でも。


もうずっと前みたいにも感じる。


藤堂が、小さな声で言う。


「……次の季節も、一緒にいたいです」


玲司の胸が、じんわり熱くなる。


真っ直ぐだった。


でも。


今はもう、その言葉を怖いと思わない。


玲司は、静かに繋いだ手を握り返した。


「……いるでしょ」


その瞬間。


藤堂が立ち止まりそうになる。


玲司は少し笑った。


「何その顔」


藤堂は、困ったみたいに笑う。


「玲司さん、最近ほんとずるいです」


玲司は吹き出した。


「知らない」


でも。


少し前より、ちゃんと言えるようになった。


好きだって。

一緒にいたいって。


藤堂が嬉しそうにするたび、自分も嬉しくなるから。


マンションへ着く。


エレベーターの鏡へ映る二人。


自然に並ぶ姿。


スーパーの袋。


繋いだ手。


それが、妙に愛しかった。


玄関の前。


藤堂が、静かな声で言う。


「……来年も、ここで“ただいま”言いたいです」


玲司は、ゆっくり目を閉じる。


その未来を。


自然に想像できることが、少し嬉しかった。


玲司は小さく笑う。


そして。


静かに答えた。


「……待ってるよ」


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