表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「再配達、恋もできますか?」  作者: ともり。
第二章 おかえりのある部屋 第二十六話 おかえり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/64

第二章 おかえりのある部屋 第五十二話 触れなくてもわかる

# 第二章


## おかえりのある部屋


### 第五十二話 触れなくてもわかる


夜は静かだった。


藤堂は、玲司の肩へ頭を預けたまま目を閉じている。


冷房の音。

遠くの車の音。

時々揺れるカーテン。


何でもない夜。


でも。


玲司にとっては、もう特別だった。


藤堂が、小さく息を吐く。


「……落ち着く」


玲司は少し笑う。


「最近それしか言ってない」


「本当にそうなので」


その声が、半分眠そうで。


玲司の胸がじんわり温かくなる。


少し前までは。


触れるだけで緊張していた。


手が当たっただけで、心臓がうるさかった。


でも今は。


触れていなくても、隣にいるだけで落ち着く。


その距離感が、少し嬉しかった。


藤堂が、ふいに目を開ける。


それから、小さく玲司を見る。


「……玲司さん」


「ん?」


「最近、前より無理してない顔してます」


玲司は少し目を瞬かせた。


「そう?」


藤堂は頷く。


「前、もっと一人で抱え込んでる感じしてたので」


その言葉が、静かに胸へ落ちる。


たしかに。


前は、疲れても全部一人だった。


仕事して。

帰って。

静かな部屋で寝る。


それだけ。


でも今は。


「お疲れさま」って言ってくれる人がいる。


“帰る場所”みたいに待ってくれる人がいる。


その違いは、思っていた以上に大きかった。


玲司は、小さく笑う。


「……そっちがいるからじゃない?」


藤堂が少し固まる。


それから。


困ったみたいに笑った。


「最近、玲司さんさらっとすごいこと言いますよね」


玲司は吹き出した。


「そっちの影響」


藤堂も笑う。


その笑い声が、静かな部屋によく響いた。


少し沈黙。


でも。


その沈黙が、もう寂しくない。


藤堂が、そっと玲司の手へ触れる。


握るわけじゃない。


ただ、指先が軽く当たるだけ。


それでも。


ちゃんと伝わる。


“ここにいるよ”って。


玲司は、その指へ静かに触れ返した。


言葉がなくてもわかる。


そんな距離になり始めていることが、少しだけ嬉しかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ