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「再配達、恋もできますか?」  作者: ともり。
第二章 おかえりのある部屋 第二十六話 おかえり

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第二章 おかえりのある部屋 第三十九話 帰る場所

# 第二章


## おかえりのある部屋


### 第三十九話 帰る場所


「……玲司さんの“おかえり”、また聞きたいです」


その言葉を聞いた瞬間。


玲司の胸が、じんわり熱くなる。


朝の静かな部屋。


カーテン越しの柔らかい光。


まだ少し眠そうな藤堂が、隣でこちらを見ている。


玲司は、小さく笑った。


「そんな好き?」


藤堂は、玲司の手を握ったまま頷く。


「好きです」


真っ直ぐだった。


照れもなく。


でも。


その真っ直ぐさが、どうしようもなく嬉しい。


玲司は視線を逸らしながら、小さく息を吐く。


「……俺も、好きかも」


藤堂が少し目を丸くする。


「何がですか」


玲司は少し照れながら答えた。


「“ただいま”って言われるの」


言った瞬間。


藤堂が、どうしようもなく嬉しそうに笑う。


その笑顔を見るだけで、胸がいっぱいになる。


静かな朝。


でも。


二人の空気だけは、柔らかく温かかった。


結局。


二人はギリギリまでソファから動けなかった。


「仕事行きたくない」


「昨日も聞いた」


「だって玲司さんいるので」


玲司は吹き出した。


そんなやり取りすら、もう愛しかった。


やっと立ち上がる。


藤堂は制服へ着替えるため、一度車へ戻るらしい。


玄関。


靴を履く。


その姿を見ているだけで、少し寂しくなる。


藤堂も同じだったのか、何度も振り返る。


「……今日も来ていいですか」


玲司は笑った。


「毎日はだめ」


「じゃあ二日に一回」


「営業か何か?」


二人で笑う。


その空気が、心地いい。


藤堂が、そっと玲司の手を握る。


「行ってきます」


玲司は、その手を少しだけ握り返した。


「……いってらっしゃい」


その瞬間。


藤堂が、本当に幸せそうに笑った。


ドアが閉まる。


廊下を遠ざかる足音。


玲司は、しばらく玄関から動けなかった。


静かな部屋。


でも。


今はもう、ただ静かなだけじゃない。


誰かが帰ってきて。

誰かを送り出して。


その繰り返しが、少しずつ生活になっていく。


玲司は、小さく笑った。


そして。


まだ少し残っている藤堂の温度を感じながら、静かに呟く。


「……おかえり、か」


その言葉は。


もう、特別じゃなくなり始めていた。


二人の“日常”になろうとしていた。


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