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「再配達、恋もできますか?」  作者: ともり。
第二章 おかえりのある部屋 第二十六話 おかえり

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第二章 おかえりのある部屋 第三十八話 朝まで隣で

# 第二章


## おかえりのある部屋


### 第三十八話 朝まで隣で


気づけば。


玲司も、そのまま眠っていた。


浅い眠りの中。


肩へかかる重みと、規則正しい寝息だけがずっと近くにあった。


朝。


薄い光がカーテンの隙間から入り込む。


玲司はゆっくり目を開けた。


ぼんやりした視界。


静かな部屋。


そして。


すぐ隣。


藤堂が、まだ眠っていた。


玲司の肩へ頭を預けたまま、小さく寝息を立てている。


近い。


近すぎる。


朝の光の中で見る藤堂は、昨日より少し幼く見えた。


玲司は、しばらく動けなかった。


胸の奥が、静かに温かい。


こんな朝、知らなかった。


一人じゃない朝。


好きな人が隣にいる朝。


藤堂が少しだけ眉を動かす。


それから、ゆっくり目を開けた。


数秒。


寝ぼけたまま玲司を見る。


そして。


「……おはようございます」


掠れた声。


寝起きの低い声が、妙に近い。


玲司の心臓が跳ねる。


「……おはよう」


藤堂は、まだ半分眠そうなまま小さく笑った。


「やばいですね」


玲司は少し笑う。


「またそれ?」


「だって」


藤堂が、玲司の肩へ少し擦り寄る。


「起きたら好きな人いるの、幸せすぎます」


玲司は、顔が熱くなるのを感じた。


朝から心臓に悪い。


玲司は視線を逸らしながら、小さく息を吐く。


「……寝起きでそれ言う?」


「本音なので」


藤堂は、眠そうな顔のまま笑った。


その無防備さが、愛しかった。


玲司は、小さく髪を撫でる。


藤堂が、嬉しそうに目を細める。


静かな朝。


冷房の音。

カーテン越しの光。

ソファの上。


何でもない景色なのに。


今だけは、全部が特別だった。


藤堂が、ふいに玲司の手を握る。


「……今日、仕事行きたくないです」


玲司は吹き出した。


「社会人失格だよ」


「恋人できたばっかなので許してください」


玲司は笑いながら、小さくため息を吐く。


でも。


自分も少し同じ気持ちだった。


このまま、ずっと隣にいたかった。


仕事も、時間も、全部忘れて。


藤堂が、ぼんやり玲司を見つめる。


それから、小さな声で言った。


「……玲司さんの“おかえり”、また聞きたいです」


その言葉が。


朝の静かな部屋へ、優しく残った。


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