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「再配達、恋もできますか?」  作者: ともり。
第二章 おかえりのある部屋 第二十六話 おかえり

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第二章 おかえりのある部屋 第二十七話 恋人の距離

# 第二章


## おかえりのある部屋


### 第二十七話 恋人の距離


【おかえり】


送信したあと。


玲司は、しばらくスマホを見つめていた。


たった四文字。


でも。


その言葉を送る相手がいることが、少し不思議だった。


静かな部屋。


冷蔵庫の音。

窓の外を走る車。

いつもと変わらない夜。


なのに。


胸の奥だけが、柔らかく温かい。


スマホが震える。


【やばい】


玲司は少し笑った。


【なにが】


既読。


【“おかえり”って破壊力ありますね】


その文章を見た瞬間。


玲司の胸が、またじんわり熱くなる。


恋人になった。


ちゃんと。


その実感が、少しずつ身体へ馴染んでいく。


【玲司さん、今なにしてます?】


玲司はソファへ身体を預ける。


【ソファで溶けてる】


既読。


【想像できる】


玲司は吹き出した。


そのあと、少し迷ってから送る。


【そっちは】


既読。


少しして、写真が送られてくる。


コンビニ袋。

缶コーヒー。

助手席。


たぶん、配達車両の中。


【今から帰宅です】


玲司はその写真を、しばらく見つめてしまった。


今日一日働いて。


疲れて。


その途中で、自分へ連絡をくれている。


その事実が、妙に胸へ沁みる。


【ちゃんと休んで】


送信。


藤堂はすぐ返信した。


【恋人っぽい】


玲司は視線を逸らした。


自分でも思う。


でも。


嫌じゃない。


むしろ。


もっと言いたくなる。


「お疲れさま」


「気をつけて」


「ちゃんと食べて」


そんな小さな言葉を。


藤堂へ向けたくなる。


その時。


スマホが震える。


【会いたい】


玲司の呼吸が止まる。


短い一言。


でも。


それだけで、胸がいっぱいになる。


玲司はしばらく返信できなかった。


会いたい。


自分も、ずっと思っていた。


今日も。

昨日も。


たぶん今この瞬間も。


玲司は静かに目を閉じる。


それから、小さく打ち込む。


【俺も】


送信。


既読。


少しして。


【今から行ったら怒ります?】


玲司の心臓が、大きく跳ねた。


部屋は静かだった。


でも。


胸の奥だけが、全然静かじゃなかった。


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