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「再配達、恋もできますか?」  作者: ともり。
第一章 再配達の夜

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第一章 再配達の夜 第二十三話 名前より先に

# 第一章


## 再配達の夜


### 第二十三話 名前より先に


「じゃあ、また」


コンビニ前で別れたあと。


玲司は、しばらく歩けなかった。


夜風が少し冷たい。


でも。


繋いでいた手だけ、まだ熱が残っている気がした。


最近、ずっとそうだ。


会うたび、離れたあとが苦しい。


もっと一緒にいたい。


もっと声を聞きたい。


もっと近づきたい。


その気持ちが、少しずつ隠せなくなっていた。


部屋へ戻る。


静かな部屋。


冷蔵庫の音。


ソファへ座る。


つい数ヶ月前まで、この静けさが普通だった。


でも今は違う。


藤堂がいないと、少し広く感じる。


スマホが震えた。


【今日も会えてよかったです】


玲司は、小さく笑う。


【俺も】


既読。


少しして。


【玲司さん】


名前を呼ばれる。


最近、それだけで心臓が跳ねる。


【ん?】


既読。


しばらく返信が来ない。


玲司は少しだけ落ち着かなくなる。


そして。


【今、会いたいって送ろうとしてやめました】


玲司の呼吸が止まる。


胸の奥が、じわっと熱くなる。


たぶん。


自分も同じことを考えていた。


玲司はスマホを握りしめる。


言いたい。


でも。


言ったら、もう戻れない気がした。


“好き”。


その言葉を。


玲司は目を閉じる。


窓の外では、夜風がカーテンを揺らしている。


静かな部屋。


でも。


胸の奥だけが、全然静かじゃない。


その時。


また通知が来る。


【……でも、たぶんもう遅いですね】


玲司は、ゆっくり息を止めた。


【何が】


送信。


既読。


数秒。


それから。


【好きになるの】


玲司の心臓が、大きく跳ねた。


言葉が出ない。


スマホを持つ手が、少し熱い。


ついに来た。


でも。


不思議と嫌じゃなかった。


むしろ。


安心している自分がいた。


玲司は、ゆっくりソファへ身体を預ける。


そして、小さく笑った。


【……俺も、多分もう遅い】


送信。


既読。


すぐには返ってこない。


玲司は、少しだけ息を止めたまま画面を見る。


数秒後。


【今、めちゃくちゃ嬉しいです】


その文章を見た瞬間。


玲司は、ゆっくり目を閉じた。


もう。


名前を呼ばれるだけじゃ、足りなくなっていた。


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