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「再配達、恋もできますか?」  作者: ともり。
第一章 再配達の夜

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第一章 再配達の夜 第二話 インターホンを待つ

# 第一章


## 再配達の夜


### 第二話 インターホンを待つ


次の日も、仕事は忙しかった。


朝から電話が鳴り続け、気づけば昼休みもほとんど取れていない。


玲司はパソコンの画面を見つめながら、小さく息を吐いた。


疲れた。


その言葉が、頭の奥へずっと残っている。


ふと、スマホを見る。


昨日開いたままのマッチングアプリ。


通知が一件だけ増えていた。


――みなとさんから「いいね」が届きました。


玲司の指が止まる。


しばらく画面を見つめていた。


偶然、だよな。


そう思う。


でも。


昨日の配達員と、どうしても重なってしまう。


玲司は少し迷ってから、画面をタップした。


プロフィールを開く。


趣味。

映画。

夜のドライブ。

甘いもの。


文章は短い。


でも、不思議と読みやすかった。


写真も多くない。


その“盛ってなさ”が、逆に目についた。


玲司は、小さく笑う。


なんとなく、本人っぽい。


そのままスマホを閉じようとして、止まる。


少しだけ悩んでから、「いいね」を返した。


仕事へ戻る。


コピー機の音。

誰かの電話。

キーボードを叩く音。


いつもの職場。


なのに。


胸の奥だけ、少し落ち着かなかった。


夜。


帰宅した部屋は、昨日と同じくらい静かだった。


玲司はコンビニで買ったパスタを適当に温める。


テレビはつけない。


なんとなく疲れている日は、音がうるさく感じる。


スマホが震えた。


玲司は反射みたいに画面を見る。


【マッチしました】


小さく心臓が跳ねる。


少しだけ迷ってから、トーク画面を開いた。


何を送ればいいかわからない。


こういうやり取りは、得意じゃない。


考えているうちに、先に通知が来た。


【昨日はありがとうございました】


玲司は、一瞬呼吸を止めた。


やっぱり。


昨日の配達員だった。


思わずスマホを持ち直す。


【こちらこそ】


送信。


既読。


少しして、また返信。


【ちゃんと受け取れてよかったです】


その文章に、玲司は少し笑ってしまう。


仕事の延長みたいな会話。


でも。


それが妙に心地よかった。


【配達、大変そうですね】


送る。


既読。


【最近、再配達多いので】


【ごめんなさい】


送信した瞬間、自分でも変な返事だと思った。


でも。


藤堂はすぐ返してきた。


【玲司さんは、ちゃんと帰ってきてくれたので大丈夫です】


玲司は、しばらく画面を見つめていた。


その言葉が。


たったそれだけの文章が、妙に胸へ残る。


部屋の中は静かだった。


冷蔵庫の音だけが響いている。


でも。


今日は少しだけ、その静けさが嫌じゃなかった。


玲司はソファへ身体を預ける。


スマホの画面には、藤堂とのトーク。


まだ数往復しかしていない。


なのに。


通知が来るたび、少し嬉しい。


その時。


マンションの廊下を、誰かの足音が通り過ぎた。


玲司は、無意識に玄関の方を見る。


まるで。


またインターホンが鳴るのを、少し期待しているみたいだった。


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