刮目 その8
「今日は土曜日だから混んでると思うけど、平日も混むのかな?」
「はい、お陰様で今月は平日もほぼ予約でいっぱいです」
内湯に向かう途中、フロントで支配人を呼び出し、この宿のリサーチする。支配人は俺と同年配、東京の一流ホテルのフロントマンに匹敵する程の人物、と見た。
「客層としてはどんな感じなんですかね?」
「大まかですが、やはりシニアのお客様が多いかと。若いお客様も少なくはないです」
おおお。大当たりだぜ山本くん。シニアの金持ちがちょいと箱根の湯に入りに来るって訳なんだな。ふと気になったことを聞いてみる。
「外国のお客さんは多いのかな?」
「当館では少ないですね」
箱根湯本は中国人と思しき外国人だらけであった。彼らはこの様な超高級旅館には来ないのか。それはきっと…
「やはり価格のー」
「はい、金額に見合う価値を見てくださるのは、やはり日本のお客様ですね」
「成る程、コストパフォーマンスか。これ程の金額に見合うハード、ソフト、サービス、そして…」
「はい、あと人材ですね」
良い企業イコール優秀な人材。当然のことである。
「ウチの社は今まで若年層相手なんだけど、僕以上の世代にここの良さをどうすれば上手く伝えられるかな?」
支配人は軽くウインクしながら、
「それは当館を出られた後に、必ず判るかと」
俺もウインクを返しながら、
「ははは。期待しちゃいます」




