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刮目 その6
湯船に浸かり外を見渡す。
鳥の鳴き声が聞こえてくる。
風に揺すられた樹木の擦れ合う音が耳に心地良い。
緑が目にしみる。
仄かに立つ湯気が現実から俺を遠い世界に誘う。
湯の香りとヒノキの香りが俺の自問自答の思考を停止させる。
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どれ程時間が経ったのか。
常に時間に追われていたこの数十年の痼が、嘘のようにほぐれていく。
軽い。
心が軽い。
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喉が渇く。湯船から出て、体を拭き、机に置いた腕時計を見て驚く。三十分経っていた。時を忘れる、とはこの事なのだろう。
俺は今、心の洗濯をしたのだ。入浴は時間の無駄と決めつけていた自分が過去のものとなる。




