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鼓動 その4
そして部屋付きの内風呂を見て心底仰天してしまう。すごいな日本人、これは文化だ。入浴という習慣を文化にまで高め、その極みを見た気がする。間違いない、この風呂に浸かれば俺の入浴に対する概念が大きく変わる。そう思わせる何かを一人感じていると、
「ビ、ビール飲まねえか?」
「そうだな。俺は一杯くらいなら飲むかな」
冷蔵庫に入っていた箱根の地ビールを空け、グラスに注ぎ二人で乾杯だ。
「プハー、生き返ったー、いやー、参ったわー」
「何なんだよ、さっきからお前、借りてきた化猫みたいじゃないか」
「だからよー、こんな高級なトコ、生まれて初めてなんだよ。お前と違ってアタシは庶民様なんだからよ」
「俺だって同じだって。そもそも温泉旅館なんて滅多に来ないんだからさ。やっぱここは普通の旅館とは相当違うのか?」
「ぜっんぜん違う。何から何まで全然」
「何から何まで?」
「駐車場に止まってる車が違う。全部高級車」
「そ、それは客筋の問題だろ」
「全てがあまりに綺麗すぎて、スッゲー緊張する」
「それは普段薄汚いお前の問題だろ」
「受付とか仲居さんが丁寧で優しいけど目が笑ってない」
「それはお前が不審すぎるからだろー… あれ怒んないのか?」
「お前とかどーでもいいくらい、ここは綺麗で高級で、キンチョーする」




