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人ノ道 その2
ふと後ろを振り返る。
最悪の雰囲気の中、心なしか嬉しさを滲ませた表情の葵。その喜びはきっと彼氏との小旅行に対するものであろう。俺という家族とのそれのせいではあるまい。
俺はホッとすると共に、軽い悲しみに苛まされる。もっと昔から、葵が小さい頃からこの笑顔を見たかった。そうすればもっとより良い親子関係を構築できたのではないだろうか。
より良い家族関係。互いに嘘をついたり裏切ったりせず、喜びも悲しみも分かち合い、朝起きた時から夜寝る時まで笑顔の絶えない家庭… そんなものは夢だ、幻想だ、と嘯く自分がいる、そんな家族がある訳がない、そう言い張る自分がいる。
そんな事はない。夢でも幻想でもなく、そんな家族だって少なからず存在するのだ、と主張する自分の胸にそっと手を当て、その手を握りしめた時。
「あれ… 強羅って今の所を左折なのでは…」
後ろからエリート中学生が声をかけてくれる。
「あららら… すまんすまん」
違うわ違う、もーしょうがないわね、暫く真っ直ぐ行って左右左よ、とカーナビ嬢も複雑な図形を描き出してくれる。




