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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第2章
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決定 その10


 婆娘による二重攻撃を避けるべく風呂場へ向かう。そして葵の成長につい戸惑ってしまう。小さい頃から父としてあまり関わってこなかった娘の成長を今こうして目前で見ていると、この子のことを本当に何も知らなかった事に後悔を禁じ得ない。


 それでも最近、葵が妙に俺と打ち解けている気がするのは俺だけか? それともこの数ヶ月の俺らの身辺の変化が、俺と葵を本物に近づけているのだろうか…


 葵とまともに話をするようになったのは、この門仲の実家に戻って一年位経ってからであろうか、今から二年ほど前である。


 それまでは俺はほぼ葵のことを亡き妻、そして母に全てを委ねてきた。だが二年ほど前から徐々に葵と関わるようになってくる。それまでは全く使わなかったラインでの連絡を取り合うようになったり、母と三人で外食に出かけるようになったり。


 正直、接し方が分からず、出かけるたびに何かしら買い与えてやったのも功を奏したのかも知れない、徐々に葵は俺との距離を近づけ、そして今に至る。



 俺はサッと風呂に浸かり、いつものようにすぐに出る。元々長風呂は嫌いで、何ならシャワーのみでも構わない。それに加え、ネットか何かの記事で、父親の出汁の取れた風呂は年頃の娘はとても嫌う、的な記事を目にして以来、葵の前に入るときには秒で出るように心掛けている。


 脱衣所で体を拭きながら、数日後に控えたクイーンとの日帰り温泉旅行について考え、溜息が出る。予想される事案がすでに七は思い浮かぶ。


 あんな社会の最底辺に棲息している人種が箱根の超高級旅館に行ったなら。間違いなく浮かれてありとあらゆる粗相をするだろう。俺が恥をかくだけならまだしも、会社の名前に傷がついてしまう。


 生まれながらの会社人間である俺が、その状況を看過できるであろうか?


 ここに来て、本当にこれが最適解であったのか、大いに疑問を感じてしまう。もっと他により良い方法はなかったのか。


 例えば、健太の古女房をお借りする… 嫌だ。絶対に。


 例えば、実家の段ボール箱に放置されている卒業アルバムを引っ張り出し、三十数年ぶりに突然女子達に連絡をとってみる… 無理だ。有り得ない。


 高校は男子校だったから、大学の仲間に連絡をとり、あの子の連絡先を聞き出し… ダメだ。面倒くさ過ぎる。

こうなったら、あとは神頼みしか無い、どうか何も起きません様に。どうか仕事を全う出来ます様に。


 後で富岡八幡に行ってお祓い、もとい、お願いしてくるか…


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