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決定 その8
家に戻り、最後の詰めだ。
「いい、パパ、まずは私達を強羅で降ろすんだよぉ」
葵と翔は強羅周辺でデートするらしい。有名な何ちゃら美術館に翔が行きたがっているそうだ。あれ、お前美術に興味あったっけ、とイジるとプッと膨れっ面を披露する。まあいい。いい機会かも知れない、己と彼との知的格差に愕然とするには。そしてとっととお別れして己の智と背に合った男を見つければ良い。ま、健太みたいなのを連れてきたら、クイーンに木場に沈めてもらうけどね。
「俺たちさ、宿に二時には着きたいんだよな」
「そーかー、ウチから箱根までって、どれくらいかかるかなあ。えーと… このアプリによるとー」
神奈川県箱根町。東京に隣接する県だ。車で二時間ほどの距離である。それなのに俺は葵と、家族と箱根に行ったことがない。何だか申し訳ない気分となる。
「木場か塩浜から首都高乗って、3号線経由で東名、そんで厚木で小田原厚木道路か。二時間くらいか…」
葵は目をキラキラさせてスマホのアプリを眺めている。未だかつて見たことのない楽しそうな笑顔である。その理由は、俺との家族旅行なのではなく、彼との小旅行であるのは分かっちゃいるけど…




