衝撃 その2
「俺、クイー、えっと、光子さんと中学一緒だったんだけど、その頃は話したことなくって。中学の途中から、そのー、凄い有名になっちゃって… ゴメンな、何言ってるか分かんないよな?」
ところが彼は目をキラキラさせながら、
「『西中のクイーン』、ですよね。中一の時に生活指導の先生に暴行して警察に連行されて、あと駅前のもう無くなっちゃったスーパーで万引きの疑いをかけられた友人の復讐のため店に放火して、それと東中の三年生の女番長と対決して病院送りにして」
「凄いな… そんなんだったっけ…」
思わずゴクリと唾を飲み込む。そんな危険な女に俺はゲ◯をぶちまけてしまったのか…
「ははは。で、金光さんが『西中のキング』。ですよね?」
頭を棍棒で殴られた感だ。やめてくれ… 思い出したくない黒歴史…
「えーーー何それ、だっさー」
案の定、葵が潰れて体液が滲み出たゴキブリを眺める視線で俺を見下ろす。
すると彼は突如大声で、
「それはない! ダサいなんてとんでもない! 凄い人だったんだよ、葵ちゃんのお父さんは」
葵がドン引きする程真剣な眼差しで、彼は滔々と語り出す。
「一年から三年まで学年テスト断トツ一位。廃部寸前のバスケ部を鍛え直して二年生ながらキャプテン、三年では都大会ベスト8。生徒会会長として当時の区立中学では画期的な冷水機を各階に設置。地域一の荒れた学校が三年時には地元警察から感謝状が届き、卒業式では先生生徒が抱き合って泣いたって。未だに地元で語り継がれてる伝説のキング、それがキミのお父さんなんだよ!」
彼が切れ長の目を怒らせながら、葵に浴びせかける。
「「…… そ、そうなんだ…」」
俺と葵が、ドン引きながらハモる。




