激変 その6
そう、あれ以来、俺は所謂EDなのだ。俗に言う、勃起不全。成人男性の四人に一人が悩んでいるらしい。
元々女好きで妻帯後もバリバリ現役だった俺だが、あの冷たくなった妻の口を見て以来、全く起立直立することが無くなった。そして全く女性にときめく事も無くなった。若くて巨乳の女子にも何も感じなくなった。
おっと。そんな事はどうでもいい。それよりも、この与えられたミッションをどう遂行すれば良いのか全くわからなくなった。
タダ風呂タダ飯ならば肉食獣の如く食らいついてくると思ったクイーンが、全くその気なし。まあ俺も彼女と二人きりで温泉に出かけるなぞ真っ平ごめんですが。
これが社にいる何人かの若い美形の子とだったら、そっちの回復ないしは復活も期待しつつ甘んじて同行したい気分ではある。
五十代の女性、か…… 俺は歩きながら憂鬱な気分になり、一人で近くの飲み屋にでも行って飲み直したくなる。だが、星一つ見えない門仲の夜空を仰ぎ見て、ふと思う。
頑張っている山本くん。重たい腰を上げつつある役員、幹部達。彼らの期待に少しは応えねば男としての矜持に関わる。
俺は何とかして五十代の女性と連れ立って、日帰り温泉旅行に行かねばならない。よし、絶対行こう。まずは結論から始めよう。
で、どうする? タメ近くの女性に伝手も無く、何とか知り合おうとするその衝動さえ全く湧いてこない。
そもそも俺の付き合う女性は大体年下、それも十歳以上離れていることが多かった。同年代、ましてやタメ年なんて、まともに付き合った事は皆無だ。
まさかこの歳になってこんな悩みにぶち当たろうとはな…




