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変化 その6
門前仲町の駅から地上への階段を上り、夕暮れ時の街をしばし眺める。大学生までずっと過ごしてきた地元なのだが、未だに地元感が湧いてこない。どちらかというと客人の気分だ。
あの居酒屋までの道すがら、今まで気にしたことのない店をのぞいてみる。こんな店があったのかー 昔はこんな感じの店なんてなかったぞ… 新発見の連続だった。それ程、俺にとってこの街は、これまでの人生でどうでもいい街だったのだ。
俺が生まれ育ったこの街。そして五十一歳の俺が残りの人生を恐らく過ごすであろうこの街。もう少し俺が心を開くべきなのだろうかー
そんな自問自答をしているうちに、あの居酒屋に到着する。
「珍しいじゃんよう、お前が俺誘うなんて。奢り?」
「それはないな、社長!」
「何だよーケチだな、専務!」
そう。銀行から押し付けられた俺は、この会社の専務取締役なのだ。
「で、健太さあ、お前旅行なんて行きたいと思うのか?」
乾杯もそこそこに、よく冷えたビールを一口飲んだ後、健太に尋ねる。
「うん。ウチのババアと普通に温泉とかなー」




