天上天下 その1
ほぼほぼ予定表通り、バスは今夜の宿である『アンバサダーホテル鬼怒川 ザ プレミアム』に辿り着く。一般公開をしていないので事前に調べようが無かった為、リフォームされた外観を見て俺は呆然とする。皆は一様におおお、と歓声を上げ、俺を取り囲む。
「す、すげーよキング。お、俺たちココに泊まれるんだなっ」
「金光君、昔からやる時は半端無かったよね…」
「ちょ、みんな、写真、集合写真、早くっ」
歓迎してくれるスタッフは両手に幾つものスマホ、カメラを渡されても、にこやかに対応してくれている。先生は俺の手を握り、
「軍司ー、有難うな。先生、嬉しいわ。オマエらとこんな立派なホテルに…」
クイーンもホテルの威容に驚き喜びながら、
「ったく泣くなよ金八っつあん。まーでも良かったな」
「うんうん。光子ー、オマエもみんなとこんな所泊まれて、良かったな」
「えへへ。うん」
殊勝にも素直に頷くクイーン。本当に嬉しそうな顔である。数ヶ月前に知り合ってから初めて見るあどけなさを浮かべた笑顔だ。不思議なことに、その顔に懐かしさを感じる。はてな? 中学時代に俺は彼女と関わりを持ったことは無かった。口をきいた記憶もほぼ、ない。
きっと、このあいだ二人でみた卒アルのせいだろう… 俺は頭を数回振りながら、
「さ。みんな、行くぞ。荷物忘れるなよ。スマホ置き忘れてないかー」




