滅多斬殺 その8
「まーた一人で入っちゃってー もっと楽しもうよっ」
生徒会グループの瀬戸さんがクスクス笑いながら俺に話しかけてくれる。
俺は出発から変わらずバスの最前方の席でどっしりと構えているのだ。そんな俺の横の席に瀬戸さんがヨイショといかにも下町のおばさんっぽく座りながら、
「ホント、変わらないね金光君。周りに流されずにしっかり自分の道を歩いているって感じ」
これ食べなよ、と差し出された煎餅を受け取りながら、
「そうかな?」
「うん。結局、三つ子の魂百まで、って本当なんだね。みんなも私も先生も」
その通りだと頷きながら、
「その変わらないみんなと自分自身を確かめてホッとする、それが同窓会の意義なのかもな」
彼女はプッと吹き出しながら、おい、煎餅のカスが俺の顔面に飛来しているぞ…
「まーた深く考えちゃって。禿げるよ」
俺は亡き親父の遺影を思い出し、
「大丈夫。遺伝的に」
そんな話をしていると、車内の雰囲気が気だるいものとなっているのに気がつく。後ろを振り返ると騒ぎ疲れたのか、半分は居眠りだ。起きている連中も騒ぐことなく各々何かに浸っている様子だ。
スマホのマップを見ると、最初の目的地である『日光江戸村』まであと少しである。今回の宿以外の訪問先は、全て先生の意向によるものだ。歴史の教師だったので、今日明日は先生による江戸時代の話が聞けるのが俺は楽しみだ。が、後部座席の連中はどうなのだろう…




