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滅多斬殺 その7
この日本独特の上下関係が日本人の礼節、勤勉の根幹であり、俺はそれを否定するつもりはない。然し乍らこの関係の最大の欠陥は同学年内でしか相互理解が深まらないという点だ。
今の会社では全く感じないが、銀行時代などは『同期』という括りが会社人生の根幹をなしていた。同期以外との意思疎通が上手くいかないと会社人生での栄達はあり得ない。その意思疎通の手段は上司、先輩へは『胡麻擂り』、後輩へは『見栄はり』だ。
どちらも本当の自分ではない、自分を『粉飾』して見せている姿だ。勿体無い話である。もし本当の自分を上司、先輩、後輩に見せることができ、そして相手のそれを知ることが出来る社会が日本でも成立していたなら、この国はどう変わっていただろう。
今、生徒達と談笑している先生を見て、もしこれがあの頃もこうだったのなら、と思わざるを得ない。他校との抗争に明け暮れていた健太はどうなっていたか。仲間を守るために、社会への不満を晴らすために荒れていたクイーンはどうなっていたのか。
その辺のことを今サッカーJクラブのユースチームのコーチをやっている永野健太に意見を聞こうと思って見回すと、如何にもコーチっぽいジャージ姿で、爆睡中だ。




